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「ここにいるから、大丈夫」

「どこか、具合でも悪いのかな。」

ついさっきまで催促していたのに、ちらっと見て手をつけようとしないのです。

「お腹、すいていなかったんだろう。」
そう思うことにしました。

しばらくすると、姿が見えないことに気がつきました。窓際か、ストーブの前か…。

いました、いました。息子の部屋にです。ベッドの上に、ちょこんと座っているのです。いつもはいない、ベッドの上です。安心するのと同時に、また心配になりました。

「どこか、具合でも悪いのかな。」
あれだけ一緒に過ごした、息子のにおいを探しているのでしょうか。家族が揃っていると、真っ先に乗る、あの膝を。

「いつもの病院、今の時間やっているかな。」
「今、何歳になったっけ?」

毛並は悪くないので、しばらく様子を見ることにしました。
「どこも悪くなければ、いいのだが。」

私たちは、買い物をさっと終え、家に戻ってきました。

ご飯は…しっかりとなくなっているのです。ペロリと食べた模様です。そして、ソファーに座った、妻の膝に飛び乗ってきました。
ごろごろ、ごろごろ。あごを膝に乗っけています。リラックスモードの始まりです。

「そう言えば、今日は一日忙しくて、いつもの場所にいられなかったわ。」
「すねていたのかな。」

毛の艶は、良さそうです。一安心。

「今日は、もうずっとここにいるから、大丈夫。」
探していたのは、大好きな、大好きな…ひとだったのかもしれません。

「ここにいるから、大丈夫」

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