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17年かけて叶えた夢

職業、プロサッカー選手。
17年前、サッカーを本格的に始めた自分が、海外で、しかも、モンゴルでプロになっていると想像できただろうか。
その時の、自分に17年後モンゴルでプロになっていると言っても信じないと思う。

夢を叶えるまで17年。このストーリーには沢山の書きたいことはあるが、今日ここに至るまでの約1ヶ月間のことを書いていきたいと思う。

いつもより少し長くなるが読んでほしい。

1月26日に日本を出た。片道チケットの行き先は、ヨーロッパにあるリトアニアだ。2年前、夢に初めてチャレンジをして叶えられなかった国にリベンジするためだ。

イスタンブールを経由して、リトアニアの首都ヴィリニュス。懐かしい光景に、思い出す記憶。思い出す記憶に浸りながらも、そこから車で約4時間ほどかけて、クレチンガという街に向かった。

そこでリトアニア2部のチームのトライアウトを受けた。代理人からは2週間と言われていたが、最終的にはそのチームで3週間トライアウトを受けた。

1週目は練習試合がなく、平日は練習で、週末に紅白戦があった。練習から常に結果にこだわって取り組んでいた。練習の試合も紅白戦でも得点を取れていて自分的には良い感触はあった。

2週目は週末に練習試合があり、そこで合否が決まると思っていたので、かなり気持ちも入っていた。そして試合当日、スタメンではなく後半からの出場だった。前半は0ー0で終わった。良い展開だなと心の中で思っていた。ゴールを決めて勝てば、契約できるだろうと。そして本当にそうなりゴールを決めて1ー0で試合に勝った。

帰りのバスの中で、明日契約の話が来るだろうなと思いながらクラブハウスまで帰った。

だが、やっぱりそんな簡単にはいかなかった。クラブハウスに着き、監督たちに呼ばれて行くと、契約の話ではなくもう1週間見たいから次の試合までトライアウトを受けてくれと言われた。
まだ契約出来ないかと思いつつも、もう1週間残れたので、また頑張った。その間、トライアウトがダメでチームを離れていく選手に新しく受けにくる選手。

そして、3週目の週末の試合。スタメンで45分出場した。だが、インパクトのある結果を残せなかった。試合が終わり、クラブハウスに帰り、先週と同じように監督たちに呼ばれ、そこでトライアウトは今日で終わりで契約は出来ないと言われた。

結果も出した、自信もあった、それでもまだプロになれないか。そう思いながらも、契約出来ないという結果が全てなので、そこからすぐ次のチームを探して貰いながら、自分でも探した。リトアニア国内から他国含めて。

でも、時期的に外国人枠の関係などでリトアニア国内は中々チームがなく、時間だけが過ぎ、そして頭の中でよぎる帰国という文字。

最初のチームを落ちてから3日後、自分で探していたリトアニア国内のチームから連絡が返ってきてトライアウトを受ける事になった。

あらかじめ契約内容に条件付きの連絡があって、それでもいいなら受けにきてと言われたが、なりふり構ってられなかったので、すぐクレチンガからパネヴェージェスという街に移動した。トライアウトを受けた初日の夜、条件について詳しく聞くため連絡をした。内容はプロと言えるような条件ではなかった。なので、次の日からトライアウトに行くのをやめた。

そして、振り出しに戻り完全に足が止まった。帰国が現実味を帯びていき、心もほぼ折れていた。
もう年齢的にもプロを目指すことを諦めた方がいい?でも、帰国して何をする?この先、自分の人生どうする?今の自分に何が出来る?何を持っている?
そんな事ばっかり考えながら刻々と擦り減っていく時間とお金と精神。
今振り返ると今までで、一番精神的にきつかった時間だったと思う。

連絡もどこからも返ってこない上に時間だけが過ぎていくので、もう帰国しようと思っていたところに、連絡をとっていた他の代理人からモンゴルで自分にダイレクトオファーを貰っていて契約出来るチームがあると連絡があった。正直、本当に契約出来るのか半信半疑だった。キャリアも無いのにトライアウトも無しで、プロ契約出来るのかと。

だが、自分に選択の余地はなかった。帰国することだけは1番嫌だったのですぐに契約したいと伝え、リトアニアからモンゴルにすぐ渡航した。物事が急速に展開したので頭も気持ちも追いついていなかった。

空港に着き、クラブのマネージャーが家まで送ってくれて、そのまま夜練習に行き、そして、次の日契約書にサインをして、プロサッカー選手になった。
展開が急過ぎて頭と気持ちが追いついていなくて、どこか心の底から喜べていない自分がいた。
それでも、親に連絡したら、凄く喜んでくれて、次第にやっと夢が叶ったんだなと実感した。

そして先日、プロデビュー戦で初ゴールを決めて、Man of the macthに週間ベスト11に週間ベストゴールとこれ以上ないスタートを切った。
サッカーの神様が少しだけご褒美をくれたのだと思う。

やっぱり人生、上手くいかないことばかりで思い描いてるようにいかないことの方が多いと思う。
でも、もがき、あがき、うごき、続ければ良いこともあると僕は思う。

ヨーロッパでプロになりたくて、なるためにテストを何回も受けたけど、それでも叶わなくて、プロになることを諦めかけていたところに、最後ヨーロッパではないけど、アジアでチャンスが転がってきて、プロサッカー選手になることができて、やっとプロのスタートラインに立つことができた。

ここからは結果が全てだし、結果を出せば、新たな道も見えてくる。

良いときも悪いときも全てを楽しんでいきたいと思う。

17年かけて叶えた夢だから。

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