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ねぇ?熱ない?
ねぇ?今からでもいける?
ねぇ?ねぇ?
ついて回っていつも話し続け?

どこにいくにも、小さな、県営住宅の居室の中を起きている間中ずっと。

小さい時の私はそんな子どもだった。

おばあちゃんが迎えにくる車と会うここまでの距離を走り続けられたら、私は病気じゃない。
家族の誰かが死なない。
パパが来たことがバレない。
上手に話ができる。
今日はウソがパーフェクト。

どれもこれもカケばかり。

どこかの畑で作った泥団子のせいで、おばあちゃんとお母さんのケンカが続いている。壊さなきゃ。

お風呂の蓋は、左から一回お湯をかき出して、真ん中は、そのまま、右はかき出して、、、、


思い出すとキリがない。


おまじないなんて。キリがない。

そしてうまくいくことなんて、
あるのか?

これは。
何?

涙を流すことさえ許されない。
ベタつく汗だけが、額を湿らせていく。

きっと、ちゃんとしなかった、バチが当たったんだ。


2022.3.12     かず。


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