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カスタマーサクセスとしての振り返り。初期の施策や苦労したこと。


ほとんど思い出話です、はい。CS記事の強化月間なので、これまでの経験を振り返ってみました。とはいえ長い間CSをやってきたので、これからカスタマーサクセスを始める人の参考になるように頑張ってまとめました。

※ちなみに先週も別テーマで書いてるので、よければこちらも読んでいってください。


改めまして、かつてカスタマーサクセスを5年くらいやっておりました。小木曽と申します。最近はマーケに異動しており、また1から勉強をし直しているところです。

今回の記事は、これまでカスタマーサクセスに取り組んできて、大変だったことや学んだことが中心なので、これからCS始めるよって人へ何かの気づきになれば幸いです。

大前提として、カスタマーサクセスのやり方は企業によって異なるかと思いますので、全部が全部共感されることはないとは思います。ですが、少しでもカスタマーサクセスの考え方や方法論が前進することで、多くの人々の生活が豊かになっていくとは思いますので、何かのきっかけになればなーと思っています。よろしくお願いいたします。

プロダクトおよびサービスに関して

サービスについて説明しておかないと記事の内容も入って来ないと思いますので、最初に紹介させてください。知ってるよって人は読み飛ばしていただいて構いません。

弊社(Mtame株式会社・スターティアラボ株式会社)はデジタルマーケティングの支援会社です。特徴としては、基本的には全て自社ツールを使用して、サービス提供をしています。その中でも現在の主力となるのがCMSとMAツールでして、特に私が深く関わっていたのがCMSの部分なので、そこにフォーカスして話をしていきたいと思います。

まず、ツールごとの月次継続率はざっくりですが、CMSが99.0〜99.5%前後、MAツールが98.0〜98.5%あたりで推移しています。定性的に特徴をまとめると

・CSに重きを置いて人員構成を組んでいる
・チャーンは(どの市場と比較するかによるけども)比較的低水準
・それなりにアップセル、クロスセルが出てくるような仕組みになっている

みたいな感じです。

常に膨大な課題意識を感じながら改善に取り組んでいるものの、客観的に見ると軌道には乗っているところもあるのかな?と考えており、この水準に持っていった経緯や立ち上げの頃の思い出話を書いていきたいと思います。

※最近はCSツールもリリースしました。フリー版もあるのでよかったら使って見てください。


カスタマーサクセス立ち上げ期の話

2014年から、CMS(Web制作)におけるカスタマーサクセスの型を作ってきました。

と言っても、それ以前からカスタマーサクセス的なマインドを持っている人も多く、前身となる組織はありました。私が入社する以前からも、Web制作を行ったお客様に対して、無料訪問サポートとして活用支援を行っていたようです。

そもそも、顧客とのリレーションの大切さは大昔からずっと言われていることです。最近はSaaSのビジネスモデルが爆発的に増えてきたので、より体系的な”カスタマーサクセス”の方法論も増えてきましたが、マインドとしてカスタマーサクセスは持ってる会社はもともと持っていますし、重要性も理解しています。

※この辺りの考えは以下のnoteでも軽く触れています。



弊社でもそういったDNAはすでにあったので、その前身の無料訪問サポートから脱皮するような形で、カスタマーサクセスを立ち上げた形になります。

ただし、かっこよく”立ち上げ”と言っても最初は泥臭い活動でした。無料訪問サポートで回り切れていないお客様に対して、片っ端から訪問していって、しっかりと成果を出してもらうための提案を1社1社行っていく活動がメインで、今でいうヘルススコアや明確な指標なんてものはありませんでした。

とにかく、お客さんのためになろうという気持ちは強かったので、試行錯誤の日々。量をやりつつ、どんなタイミングでどんな提案をしていくべきなのかを確立していくような流れで、少しずつ少しずつ型を作っていきました。

例えば以下のnoteで書いた現場での流れ(内容自体は数年前の話ですが)も、そうやって実際に自分が実践した末にできたものです。


ちなみに当時のボスからよく言われたのが「お客さんの役に立ったのか」「お前が訪問したことで具体的に何が変わったのか」です。定性的ではありますが、まだ仕組みづくりの途中だったのと、私も社会人2年目かつ営業畑出身の人間なので、しつこいくらいに説かれました。

そもそもCMSというツールの特性上、ツールそのものを使えただけでは成果にもつながらないので、目的に合わせた関連知識も持った上で、全体像から考える必要があります。自分たちで更新ができるのは確かに便利だけど、その結果目的を果たせなければ、導入の意味がありません。

とはいえ、単に役立つことだけを考えたらボランティアになってしまいます。その辺りはバランス感覚が必要で、しっかりと仕組み化をしないと、多くのメンバーがどちらかに偏ってしまいます。

特にインセンティブの設定は重要だと思っていて、組織がスケールするほど肝になってきます。おそらくこの辺りは各社で悩まれているところではないでしょうか。

”カスタマーサクセス”なんだし顧客のために尽くすべきだ!という考えもわからなくはないですが、それにより利益が出なくなってサービスの改善に投資ができなくなれば、最終的に品質低下という形になって顧客にしわ寄せがいきます。いいサービスを提供するためにも、約束された水準を満たしつつ、しっかりと対価を受け取ることが健全な関係(リレーション)です

幸い、我々のようなデジタルマーケティングの支援会社は、お客様の成果が出ていれば追加投資がいただけます。そのため、価値を工数ではなく成果に置くことで、良好な関係構築が可能なのです。

立ち上げの時に大きく変えたところ

このような考え(それすらも走りながら考えたもの)で、少しずつカスタマーサクセスの組織拡大してまいりました。ここからは前身の組織から変えたところを、話せる範囲でお伝えして参ります。

まず結論として、初期に変えたところで言えば指標と顧客管理の方法を変えています。

既述の通り、弊社ではもともとカスタマーサクセス的な文化はありましたし、前身の組織もあったものの、指標に関しては「ツールが使えている」「満足度が高い」「自立している」等のツールの活用度合いが中心でした。

もちろん現場ベースではその先にある成果を見越してサポートをしていましたが、指標として明確に決められているものはなかったのが実情です。

この辺りもサービスにもよる話なのですが、「ツールが使えている」「満足度が高い」は必要条件であっても十分条件ではありません。

CMSはWebマーケティングやデジタルマーケティングのための”ツール”でしかないので、いくら気持ちよく使えていても、コンバージョンが発生していなかったり、商談に繋がっていなければ意味がありません。

ましてや満足度という極めて主観性の高い指標は再現性もないので、やはり成果で測るのが一番だと考え、指標の再構築を行いました。

参考までに一部をご紹介すると、

目標設定ができている。
目標に向けて行動ができている。
行動の結果KPIが達成できている。

などを落とし込み、各自が何件、どこのフェーズにいるのかを管理しました。

月間で何件の訪問でどれだけの顧客の目標設定を行うのか、前の月に目標設定をした顧客の進捗確認を何件するのか、何ヶ月後にKPIを達成する想定で、いつ連絡するのかなどをウォッチし、成果に繋がるまでのロードマップを1件1件引いていきました。

この時の目標も、「最終的な売り上げ目標から逆算して、結果コンバージョンがこのくらい必要ですね」といったビジネス目線での目標設定をしています。そのため、デジタルマーケティングの全体像から話をすることも多かったです。

もちろん全てのお客様に対してうまくいくわけではなく、中には目標設定からつまづく案件もありましたが、ツールの活用や満足度よりもシンプルかつ本質的に顧客の状況を把握できたので、やっておいてよかったと考えています。目標設定がうまくいかなかった場合ですら、その状況をしっかりとシステムに登録しておけば、後々の資産になるからです。

また、長期的かつ高い目標を設定していく中で、有料のコンサルティングサービスの受注もできるようになりました。

デジタルマーケティングのいいところは、顧客が心から達成したい目標に対して、ある程度シミュレーションができることです。良くも悪くも投資対効果がどれくらいかが予測がついてしまう部分があるので、信頼してもらえさえすればコンサルティングサービスも契約いただき、作業費もいただけ、より早い速度でPDCAを回すことが可能となります。

つまり、しっかりと目標設定を行うことで、ツール屋ではなくデジタルマーケティングのパートナーとして認識してもらうことができ、成果が出るなら信じるよと、コンサルティングサービスを契約してもらい、より早く成果に繋げる。そんなサイクルが、カスタマーサクセスの延長で回すことができました。

ちなみに私は有料コンサルタントとしても実務経験があるのですが、カスタマーサクセスもコンサルタントも顧客と目指す最終的なゴールはほとんど同じです。広義の意味でのリソースが違うだけですし、すぐに必要な顧客とそうでない顧客も存在します。

なので、カスタマーサクセスとコンサル部隊はどっちも共存するのがベストだと考えてはいます。

細かなところでいうと他にも変えたところは山ほどありますが、一番大きく変えたのはこの辺りだと思います。なんとなく持っていたカスタマーサクセス的なDNAを、ちゃんと指標にも落とし込んで、それを追うことで他のメンバーも一定水準の本質的な支援をできるようにしました。2015年とかの話です。

これまでに苦労したことなど

とはいえ、全てが盤石にいくわけがありません。ここからは徒然なるままに、苦労したことについて書いていきたいと思います。

・顧客と自社の成果のバランス感覚
これは既述の通りです。バランス感覚がないとボランティアもしくはセールスになってしまうので、しっかりと考え方を伝えたうえで、指標も策定する必要があります。私自身も、最初の頃は1社1社に時間をかけ過ぎてしまい、パンクしそうになったことがあります。

仮にそれほどの支援を顧客に求められていたら良いのですが、必ずしもそうとは限らないんですよね。その辺りがわからないと、お互い不幸にしかならないことを学びました。

・ハイタッチの再現性
これもかなり悩みました。自分がやっている水準のことを、資料さえ作っておけば誰でも当たり前にできると考えていたこともあるのですが、実際はそんなに甘くなかったです。資料だけあっても、ある程度の経験や理解がなければ適切な提案ができないことを学びました。(と、言いつつも自分が現場で話していることを200ページ強の資料にまとめています。プレイブックってやつですね。用途にあわせて自由に使えるようにはしていて、それ自体はめっちゃ役に立ちましたし、生産性の向上には寄与しました。)

何度もお伝えしている通り、CMSはツールそのものの習熟度以外の部分が、成果に大きく影響します。そのため、お客様に学習していただくか、カスタマーサクセスとして適切な道を作ってあげる必要があり、こちらの提案の質が低ければ、結局は成果につながらないのです。

Webマーケティングやデジタルマーケティングといった限られた領域とはいえ、ビジネスで成果を出すことはそんなに容易なことではありません。その全体水準をどう引き上げるかは、非常に悩んだところではあります。

・コンテンツのデリバリー
最近ではコンテンツを使って顧客に学習してもらう活動もしていたのですが、このコンテンツのデリバリーもめちゃくちゃ悩みました。一番読んでほしい人、視聴してほしい人ほどコンテンツが届かない問題は、多くのカスタマーサクセスが頭を抱えているところではないでしょうか。

・コンテンツをつくれる人間の教育
これ、めっちゃ難しかったです。これは、カスタマーサクセスに限らず苦労されている人が多いのではないでしょうか。私の最終的な結論としては、苦手な人を書けるようにするよりも、最初から書ける人を採った方がよいと思いました。

ちなみに、私も元々は全然書けないほうでしたが、数年かけて現在の水準には到達しました。そのため、一生懸命やればある程度はできることはわかっているのですが、今月のコンテンツが欲しいのに、”数年かけて”なんて待てません。なので、最初から得意な人に依頼した方が、双方幸せだと考えています。

WebマーケおよびCS関連の学び

それ以外にも、活動の中で気づいたことが多々あります。どうまとめるか迷ったのですが、普通に箇条書きにしていくので気になるところだけ読んでいってください。

・Webマーケティングの成果について
当たり前のことなのですが、Webマーケティングの成果はシンプルに「やり方を知っている→やる→成果につながる。」これだけです。もっと広いマーケティングとか組織とかの話をすると複雑になりますが、Webマーケティングに限って言えば、ちゃんと知識があって実行すれば、ある程度は成果がでます。

知らないの粒度すら人によってばらばらですし、やらない人にやってもらうためには人と人とのリレーションがとても大切なのですが、「ちゃんと伝えて、動いてもらう」がカスタマーサクセスの基本だと実感しました。

・昔は今よりも成果につながりやすかった
2014年からBtoBのWebマーケティング領域でカスタマーサクセスをやってきたのですが、この7年で成果につながる難易度が全体的に上がってきた感じがします。

昔はしっかりとWebサイトを構築すれば、それだけで成果に繋がることも多かったのですが、今はどこの企業も最低限のことはしているので、しっかり運用までしていかないと成果につながりにくいと感じています。

だからこそ、カスタマーサクセスがどんどん重要になっていくのだろうなとも。

・CS自身が一生懸命勉強しないと、誰も幸せにできない
すごく当たり前なんですが、カスタマーサクセス自身が一生懸命勉強しないと、顧客を不幸にします。とくにデジタルマーケティングやWebマーケティングの領域は、情報が古かったり知らないことがあると、それだけで機会損失に繋がったりします。

だからカスタマーサクセスたるもの、当たり前だけど常に勉強はし続けていかないと、ダメだと思っています。(まあ、これはカスタマーサクセスに限った話じゃないですが。)

・超強いハイタッチがいればある程度は”サクセスはできる。
これもサービスにもよりますし、どこまでの目標を目指すかにもよりますが、めちゃくちゃ強いハイタッチがいればある程度のサクセスレベルまで持っていけるんじゃないかと思いました。特にWebマーケティングは。

ただし、成果を最大化するためにはそれだけではダメですし、支援側の利益も度外視って感じになるので、まったくもって健全な形ではないですが。いざという時って感じですね。

・顧客の協力体制がないときつい。
そんな強いハイタッチがいたところで、顧客が協力してくれないと成果が最大化されないなと思いました。むしろ、協力体制がなければミニマムの成果にもつながりません。

先ほど述べた「やり方を知っている→やる→成果につながる。」の「やる」がボトルネックになると、どうしようもありません。そしてやってもらえないのはカスタマーサクセスの力不足でもあるので、とても反省します。

・同じレベルの人間を量産するのは現実的ではない。
また、そんな強いハイタッチを量産するのは正直難しいです。スケールすれば型化が必要で、そうするとオペレーショナルなメンバーが増えて質が下がる、というジレンマが生まれるので、これは一生の課題だと感じました。

・ロータッチやテックタッチの目的は会社によって異なる。
いきなり型から入るのもよくないとはよく言うけれど、これはロータッチやテックタッチのルールや組織作りについても同じです。例えばSMBはロータッチとか、ABM的な観点でテックタッチとか、一発できれいに作れたら天才だと思っていて、走りながら作っていくのが結局は近道ではないかと考えています。

・ビジネスがわかり、かつコンテンツを作れる人間は希少。
先ほどの話です。コンテンツ作りの教育で悩んだからわかるのですが、ビジネスのことを深く理解してコンテンツが作れる人材はとても希少です。

・デジタル化が進んでいる、本当にそうだろうか。
昨年末に思ったことです。いまだにZOOMを初めてやる人とか、基本は訪問をしている企業が、日本にはたくさんあります。ですが、勝手な思い込みで「コロナの影響で日本全体のデジタル化が進んだ」という前提で進めてしまうと、ギャップが生まれるなと思いました。

Webマーケティングやデジタルマーケティングについても同じです。ただ、前向きになっている企業が増えているのは間違いないので、是非ともそこは力になりたいところです。

・細胞レベルでサクセスを目指せる会社であればCSはできる。
これまでの経験を通してです。仕組みを作ったり指標を決めたりするのは大事ですが、実行するのは人です。なので、細胞レベルでサクセスを目指せる(シンプルに人のために頑張れる)メンバーが、一生懸命に試行錯誤すれば、ある程度CSはうまく回るのでは無いかと思います。

これからやっていきたいこと

ここからは、個人的に考えているこれからのことを書いていきます。便宜上プロダクトの話も入ってはきますし、あとがき的な内容なので、興味がある人だけ読んでいってください。

・デジタルマーケティング領域のサクセスの数を最大化する
抽象的ですが、サクセスの数を最大化していきです。適切な人に適切な情報が届いていくことで、豊かな世の中が出来上がっていくと考えている派なのと、やっぱりカスタマーサクセス畑出身なので、誰かの成果に意識がいってしまうんですよね。

・Cloud CIRCUSのサービスたちを広める
そうはいっても、なかなか自分1人では難しいので、サービスに考えを落とし込んで、広めていけたらと考えています。

会社の方向性の最終決定はもちろん経営ですが、例えば以下の記事広告の内容にはすごく同意していて、サクセスの数を最大化するところにも重なるので、「一丁頑張ってみっか!」って気持ちです。


もちろん、私たち自身も今のやり方やサービス形態がベストとは限らないですし、時代に合わせて変わりながらサービスを広めていく必要があります。ナレッジと経験から導き出した成果の道筋は、自分たちだけでなくてより多くの方々に伝えていくところまでをセットにしたいと考えています。

少なくともテレアポばかりやっていてたくさん残業もしていた会社から、デジタルの会社に変わってきた「自社」というサンプルがあるので、辛さも大変さもわかります。私自身たいへんな経験はしてきました。

だからこそ、私たちと同じような場面で苦しんでいる人に、限りなく正解に近いソリューションを伝えられるよう、頭を使っていきたいです。

うちの強さはやっぱりカスタマーサクセスなので、より多くの企業の役に立てるよう、自社の思想やサービスを広める活動に注力していきたい。

ただし気をつけたいのは、広めることが目的になってしまったり、押し付けがましくなることです。常に自分のやり方は正しいのかを疑っていきたいと思います。現場感覚も失わないよう、時々お客様にも会いにいきたいと考えています。

そんなことを、今後は漠然とやっていきたいと考えておりますので、BtoBのWebマーケティング、デジタルマーケティングでお困りの方は是非ご連絡ください。

もうCSも離れてしまいましたし、あまりメディアとかで話す機会もないのですが、たまにはnoteに書いておこうと思いたち、わーっと書いてきました。少しでも何かの役に立てていたら幸いです。

小木曽

Twitter→小木曽



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