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【バトン企画】 #心に残るあのエピソードをあなたへ: カーディナルの呼び声

いつも心に残る記事を書いておられるのーこさんからこのバトンを受け取りました。チェーンナーさんのバトン企画に参加できることとっても光栄です!
ここカナダで巡り合ったお友達のとっておきエピソードを紹介したいと思います。

🌸

カーディナルの呼び声

この地の人々にとってその鳥は特別な存在だった
鮮やかな赤色の鳥
その名はカーディナル


誰か手伝ってくれる人いないかなあ

夫が聞いたのは、当時運営していたオーガニックコットンの通信販売会社のことである。

キミのプリスクールで誰かに聞いてみてよ

それがレノアとの出会いだった。
私はまだカナダの永住権を申請中で、モンテソーリプリスクールでボランティアでお手伝いに入っていたときのことだ。
レノアはそこで臨時の先生をしていた。
ランチタイムにたまたまテーブルの隣に座った彼女に、もし興味があったらと夫の携帯番号メモを渡したのだ。

夫が亡くなったあとも彼女と近い関係でいられるとは、その時予想だにしなかったけれど。
私にとってこの地カナダは異国で、そこに居る人々はまさに”外国の人”だったから。

レノアはオーガニック・コットン・カンパニーを週に何度か手伝ってくれることになった。
しかしほどなくして夫が病に倒れた。
救急搬送された病院から戻ると玄関のガラスドアにメモが挟んであった。レノアの仕事日だったのだ。

私は慌てて彼女に連絡し、夫の病状を伝えたがその後レノアとの交流をどのようにしたかまるで覚えていない。

私はもうそれどころではなくなったのである。
夫はICUであと2週間と宣告された。それでも奇跡的に生還し自宅に戻ったが、1年の在宅緩和ケアを経て夫は亡くなってしまった。

東京から10,000キロ離れたこの異国で私はひとりになった。

呆然として現実とかけ離れた空間に漂っていたある日、テキストメッセージが届いた。

ヨガクラスに参加しない?

レノアからだった。

ときとして、思いがけないことが思いがけないくらい人の助けにることがある。本人自覚のないところで。

もちろん、ひとりになってしまった私を慮って送ってくれたメッセージである。しかし私はこれにどれだけ救われたことか。
全ての意欲を失くしていた私に与えられた毎週決められた時間のヨガクラス。そのルーティーンが大きな精神的支えになったのである。

でもこのあと、今度は彼女が立て続けに身近な人を失くした。
母、叔母、そして一番近い関係だった父親。

共に大切な人を失くしたこと。不幸にもしかしそれが私とレノアをさらに深く結び付ける結果となった。
レノアが父親を亡くして1週間ほどの頃、うちにやって来た彼女が話してくれた。

空に向かってダディに叫んだの。お願いそばにいるサインを送ってって。
そしたら、そしたら、カーディナルがやって来たのよ
すぐそばに、私のすぐそばに!

そう言って彼女は目をぬぐった。

スピリチュアルとか霊魂とかそう言うものとも違う。目に見えないけれど確固としたものの存在。今もそばに居るという確信。
それは私が日本にいた時の亡くなった人への対峙の仕方とも違って。

夫は緩和ケアでありながら私と共に野菜を育てることで、それを示してくれた。
目に見えないものの存在
だから私は夫がいない今もこの地で野菜を作り続けている。いつだって夫と対話しながら。

キュウリの種植えたよ
芽が出て来たよ
花が咲いたよ
このキュウリ、もう収穫していいかな

ってね。

レノアと私
お互い大事な人を失くしたからこそ共有できた、目に見えない存在への確信。それを共有できたことへの安堵。

ここに書ききれない彼女とのエピソードは下記より↓

彼女と私は今、変わらずヨガのレッスンを続けている。夫が残した種から育てたキュウリをレノアにあげたり。レノアは夏の旅先からのおみやげを届けてくれたり。

そしてさらにさらに彼女は、私が東京で運営する英会話教室でオンラインクラスを持つことになったのである。
今度は私の仕事を手伝ってくれることとなったレノア。

I'm so glad you joined me! I'm blessed to have you in my life XO
(あなたが参加してくれてよかった。私の人生にあなたがいてくれてとても幸せよ。 ハグとキス)

ヨガのクラスが私を救ってくれたと彼女に感謝を伝えた時、レノアはこのメッセージを返してくれた。

夫の手書き電話番号メモを彼女に渡したあのとき、彼女とこんな関係を築けるようになるとは誰が想像しただろう。

ずっと異国だと思っていたこの地で。

そんなことを考えていたある日。散歩に出かけたらカーディナルの声がした。見上げると電線の上で仲間を呼んでいる(ヘッダー写真)

それは私にとって日常となった湖畔の家に戻る道
そばで誰かが家の骨組みを立ち上げている
郵便配達の車が行く
犬の散歩で、ランニングで、見知らぬ人がHello!と笑顔で通り過ぎてゆく

この時ふっと思った。
夫が亡くなっていなかったらレノアは夫の会社を手伝う人のままだったわけで。
夫が亡くなったからこそ、
あるいは夫は亡くなってなお
カーディナルの呼び声で
私を彼女につなげてくれたのかなと

この地でひとりぼっちになった私を

この日見つけたカーディナルの呼び声↓ 鳴き声とは言わない。どこかにいる仲間を呼ぶ声である。

カーディナルは幸せを運ぶ鳥と考えられていて、夫も生前裏庭でカーディナルを見るとシッと私のおしゃべりな口を止めた。ご近所友達のリタもローリーも特別な鳥と信じている。


夫との最後の1年実録。
消えゆく命との対峙。奇跡的に残されたサイン。
よかったら読んでみてください↓


🌸

さてバトンは是非みきともさんにつなぎたい。
いつも琴線に触れる記事を、考えさせられる記事をドイツより発信されています。

そして初瑠さん

素朴で癒される作品とともに初瑠さんならではの視点で書かれた記事をアップされています。

どちらのnoterさんも”心に残るあのエピソード”をたくさんお持ちに違いありません❣

以下はのーこさんからのコピペです。
★企画について~バトンのつなぎ方~★

※期間は 9月30日(金)まで です

1.記事を書いてほしいと指名が来ます!
この指名がバトンです。

2.バトンが回ってきたら、
「心に残るあのエピソードをあなたへ」の
noteを書いていただきたいです!

3.指名するnoterさんは、最大2名まで!
あまり多いとご負担になりますので、
1名か2名でご指名ください!

4.チェーンナーさんが記事をシェアし、
マガジンに追加してくださるので
チェンナーさんの下記の記事を埋め込んでください!

★バトンリレーに参加しないときは・・・

1.バトンをもらったけど、noteを書きたくない、
という方は、バトンをチェーンナーさんにお返しください!

方法①「チェーンナーさんに返します」というnoteを書いて、
下記の記事を埋め込んでください!チェーンナーさんが
「心に残るあのエピソードをあなたへ」を書いてくださいます!!

方法②下記のチェーンナーさんの記事のコメントで、
「バトンを返します」とお書きください!

チェーンナーさん、素晴らしい企画をありがとうございます!
この地にいてなお、こんな素敵なつながりを紡げることがとてもうれしいです。


日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。