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山小屋へのいざない

皆さんは、山小屋に泊まったことがあるだろうか。

4つの山小屋に、これまで宿泊した私が
山小屋の魅力を、少しだけ伝えたい。

そして、この素晴らしい世界を
人生で一度でも、味わって頂けることを願う。

山小屋との出会い

きっかけは、2年前の秋
長野の「DILL eat,life,」にて
たまたま手に取った「山と山小屋」


食事が運ばれてくるまでの暇つぶしに
ページをめくったとき、ビビッときた。

「自分が求めていたものはこれだ!」
うまく言葉にできないが
そう思ったことを覚えている。

思い返せば、幼少期のぼくは、
祖父母に連れられ、たびたび山に行っていた。
数少ない、鮮明に覚えている幼少期の記憶。

パンツが濡れて、タオルをふんどしに使ったこと
羽化前の蝉を見つけ、帰りの車で観察したこと
山で食べる「どん兵衛」が何より美味しかったこと

ぼくの記憶では「どん兵衛」だけど味は「赤いきつね」
本当はどっちだろう。帰省したら聞いてみよう。


自然の中で、美味しいものを食べる幸福
生き物が、自分たちが生きている実感
自然の美しさ、感動を共有する喜び

こうした感覚は、
ぼくの身体に、今も深く刻まれている。


余談 その①

DILL eat,life,
食事も素晴らしく、ここだけでも行く価値がある
長野県北杜市に行かれる際はぜひ

身体が喜ぶ味だった(HPより拝借)


余談 その②

初めて向かった先は、三度小屋温泉(栃木県/那須岳)
数メートル先も見えない雪山。
その先に待っていた、日本最古の山岳温泉宿。
あまりにも大きい温度差は、身体の喜びに変わった。

指先の感覚が、無くなるほど寒かった
身体の芯から、あたたまった



山小屋の素晴らしさ

❶生きる喜びを感じる
❷雨具があれば誰でもいける


沢山あるけど、ぎゅっと凝縮すると
この2点かなと、僕は思う。

❶生きる喜びを感じる

山に登ると、感動することが沢山ある。

例えば、食事。
山小屋で食べるご飯は、めちゃくちゃうまい。

山小屋に到着してから、料理を作っている台所から
漏れてくる匂いがたまらない。

あかりが灯っている台所には、自然と目が行く



食事は、季節の食材を使ったものが多い。
中には、揚げ物も用意してくれる山小屋もある。
(三度小屋温泉で食べたアジフライ美味しかった)

マイベストは、三条の湯で食べた夕食。
2週間だけ採れる舞茸をふんだんに使ったらしい。
食材との、その時々の出会いも、楽しい。

冗談抜きで、普段の数倍おいしい
一人2杯以上もある、舞茸ごはん

特に推したいのが、温泉付きの山小屋。
温泉が入れる所は、限られた数しかなく、
本当に最高なので、ぜひ訪れて欲しい。

疲れた体に、染みすぎる(三条の湯)

お風呂上りに、みんなで夕食を囲み
暗くなってから、空を見上げて星を眺めるのも
山小屋に泊まっている人たちの特権だ。

晴れていたら、天の川がくっきり見える。
一つ一つに、感動している。

肉眼でしか味わえない感動


余談 その③

日帰り登山でも十分に楽しめる、おすすめルート。
低山ハイキング→山頂ランチ→温泉〆

関東なら選択肢は無数にある。
年明けに上った陣馬山→藤野やまなみ温泉
すごく良かったです。

山頂には、だいたい茶屋があるので、
お湯を沸かす機材が無くとも問題ない。

陣馬山/清水小屋で食べた陣馬蕎麦

お湯を沸かして食べるカップ麺、
飲む珈琲も最高なので、一度は試してほしい。
声かけてくれたら、知り合い限定で、僕が沸かします。

ドライマンゴーの美味しさに、友達は感動していた。
干し梅も美味しい。スッパイマンが好き。

余談 その④
本当の意味で、生きている喜びを感じるには、
しんどさ、辛さ、恐怖感も
個人的には必要だと思っている。

高山病で、頭痛を抱えながら見た
富士山頂での御来光。

強風で体を飛ばされかけた、
三度小屋温泉の狭い帰り道。

でも、だからこそ、そこで味わった感動は、
何事にも代えがたいとも思う。


余談 ↑の続き
ぼくらの住む街は、雨風を凌げるし、あたたかい。
安全な暮らしは素晴らしいこと。

だが、生きる上で、日々の悩みは尽きない。
周りと自分と比べて、落ち込む人も沢山いる。
(僕だって、その中の一人だ)

話を大きくするつもりはないが、
簡単に死ぬことは無くなった、この世界で、
自ら命を絶つ人だっている。

野山を駆け回っていた頃の人間はどうだろう。
食べ物を確保できて、飢えと寒さをしのぐ日々。

今日も生き延びられたと思い、
全身の心地よい疲労感と共に床に就く。
昔の人類が、今のぼくらを見たら、どう思うだろうか。
(贅沢な悩みだ、なんて言うのだろうか)

2023.8.7 4:52 富士山頂にて

脱線しすぎた。本題に戻ります。


❷雨具があれば誰でもいける

ぼくが思う、最大の魅力はここ。

ちょっとそこまでの感覚で行けちゃう。
リュック1つ、電車、バスで行ってます。

これまでに山小屋に誘った計7人
全員が山小屋は初めてだったけど
すぐに装備を揃えられた。

ワークマンは、お手頃で質も良い。
雨具上下シューズ
8000円払っても、おつりがくる。
ここに運動着で、今日から登山に行けます。

登山用具は、普段使いもできる。
雨の強い日、台風の日も活躍してくれる。
フェス、サウナ、アウトドア、汎用性高すぎる。

登山の洋服は、日々の生活で
十分すぎるほどに活躍してくれる。
(この辺りは、また別の記事で書きたい)

余談 その⑤
山小屋では、友達が増える。

グループごとにテーブルが用意されているが、
「炊きたてのご飯、余ったから食べる?」
「あなたたち、若いのに珍しいね」
なんて、何気ない会話から、自然と仲良くなる。

その場限りで、また会うことはほぼ無いが、
同じ釜の飯を食った仲というのは、
不思議なもので、どこか他人ではない感覚がある。

年齢当てゲームをして、仲良くなった子供たち


おわりに

これだけ便利になった世の中で
自分の足を使わないと、たどり着けない場所がある。

味わえない喜びがある。
心が動く美しさがある。
それだけで、一度行くには、十分な理由になる。

山小屋がぼくらにくれる感動は、
今日も、ぼくたちを生かしてくれる。

ここまで読んでくれた皆さま
ぼくらに素晴らしい体験をくれる
全国で山小屋を営んでいる皆さま

いつも、ありがとうございます!
今年も、またいきます。


ぼくが泊まった山小屋のご紹介

三度小屋温泉(那須岳/栃木県 那須塩原)
難易度:★
 食事:★★
 温泉:★★★
初めて行くならイチオシ。
宿まで約2時間と、難易度は最も低く、
ご飯、温泉は最高です。
この宿のおかげで、山小屋が好きになった。

1142に発見された温泉が、今でも湧いている
ご飯は部屋まで運んでくれるスタイル


温泉小屋(尾瀬/福島県)
難易度:★★
 食事:★★
 温泉:★★
登山というより、ハイキング。
宿まで約4時間だけど、道が平坦で歩きやすい。
国立公園に指定され、景観が素晴らしい。
僕が行った時は曇りだった。次は晴れると良いな。

愛くるしいロゴの、手ぬぐいを貰った
歩荷と呼ばれる、物資を小屋へ運ぶ仕事


三条の湯(雲取山/山梨県)
難易度:★★★
 食事:★★★
 温泉:★★★
宿まで4時間、山頂まで更に4時間
登頂は難易度は高いけど、
宿までの往復なら、割と行きやすい。

奥多摩からバスと、アクセスは最も良い。
ご飯が美味しくて、子供たちと仲良くなった。
米もたくさん食べて、個人的には思い出深い宿。

木漏れ日のトンネルを、まっすぐ歩く
実写版ぼくのなつやすみ


8合目トモエ館(富士山/山梨県)
難易度:★★★
 食事:★
 温泉:×(ナシ)
番外編。
富士山の御来光を見るために利用。
宿を楽しむ感じではなかったけど、
山頂の御来光は本当に良かった。
みんな人生で一度は行ってほしい。

日本で最も、宇宙に近い場所
やわらかな日差しに包まれて

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