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名刺2.0 〜概念を壊した名刺制作〜

名刺の定義とはいったい何だろうか。

相手に情報を伝える物。
相手と交換する物。
相手に印象付ける物。
そんなイメージですが、
最近は情報の交換はweb上で行われ、
名刺交換が必要となる場面が減りました。

今回のクライアントであるPYROのタカオミさんも名刺を持っていませんでした。
タカオミさんにとっても名刺はそれほど必要なものではなく、名刺交換は儀式であるという考えを持たれていたようです。
そんなタカオミさんの名刺が出来るまでの過程を記録しようと思います。
(完成まで8案くらい作ったのでちょっと長いです ^^;;)

タカオミさんからの依頼

実はタカオミさんからは直接名刺デザインの依頼があった訳ではありません。
依頼の流れはTwitter上での会話から始まりました。

この頃はタカオミさんとはほとんど面識がなかったのですが突撃しました。

そこから直接メッセージのやりとりがあり、
見積もりを出し、
話はどんどん進んで行きました。

そして具体的な依頼内容を頂くと

・名刺自体あまり必要性を感じていない
・名刺交換から仕事の連絡が来たことがない
・名刺交換は単なる儀式だと思ってる
・名刺の役割を果たしてなくてもいいくらい
・動画クリエイターだとわからせる必要もない

というような内容でした。
そこで僕はシンプルで遊び心ある感じが良さそうだと伝え、
さらに話し合ったのち、

・シンプルで遊び心ある
・ちょっと悪ふざけ感もあり
・尖ってる感じ
・名刺ケースに入る

というイメージに固まり、まずは2案作ってみました。


A案

画像1

社名の「PYRO=火」を燃焼して焼けた名刺で表現しました。
燃えるような会社が所持する名刺だからこそ焼けているというデザインは
見た目のインパクトもあり、会社のコンセプトも記憶に残る効果があります。


B案

画像2

あえて動画のイメージを表すビデオテープを使用し、
社名のPYROの熱で溶けた状態を表現。
ポップな可愛さと、遊び心のあるデザインとしました。


この2案の反応は上々でした。

燃えてるwwwメールアドレスとかも燃えてるせいで前半が読めなかったら何の意味もなくて面白いですね…
マジでめっちゃいいですね。ビデオテープが溶けてるっていうのも、ぼくはSNSメインの動画屋なので、そういう意味にも捉えられるな。
 だめだ…
この時点でもう選べない…

しかしその後、さらにもう1案見たいという依頼がありました。
内容は下記のようなものでした。

・色気を感じるような、それでいてちょっとカオスのような。
・名刺を渡して、わーおもしろーい可愛いーとかってなるのもすごくいいんですけど、こいつヤバいなってなるのが理想。
・良い意味で「こんな名刺ありかよ、誰がデザインしたんだろ」ってなってくれたら。

ちょっと難しくなって来ましたが面白い方向なので楽しみながら次の案を制作しました。

C

画像3

色気とカオスを文字のない色だけのデザインで表現しました。
「名刺交換は儀式に過ぎない」という考えを形に。
名前や連絡先などの情報はその場で伝えれば、名刺に記載する必要はない。


D案

画像4

カオスを文字のない真っ黒なデザインで表現。
色気を人の体温に反応する素材で表現しました。
常温では何も見えない名刺に、人の熱を加える事によって文字が浮き出る仕組みは、熱量のある人に届くという意味もあります。

この2案の反応も上々でした。

C案もめっちゃ好きです笑これ渡したら流石にやばいかなww
D案すごすぎるこの発想はなかったヤバさは十分です!こういうの作りたかった〜〜!!って感じです

D案は世界初の名刺になるのでは!?というくらい珍しい案でしたが、
その分印刷代も高く、1枚単価700円くらいでした!
それでもタカオミさんから「D案を作りましょう!」とGOを頂きました。

そこでD案の中身のデザインを正式に考える作業へ進みます。
中身の要望は下記のようなものでした。

温めて中の情報が出た時に、もう1段階サプライズがあると面白いですよね。

そして出来たのがこちらの案です。

D案-1

画像5

熱量で探し出す名刺。
常温では真っ黒で、指などで温度を与えると下のデザインが浮き出ます。
浮き出る文字をランダムに散らす事で、文字を探し出す仕掛けを楽しめる効果があります。

D案-2

画像6

熱量で探し出す名刺。
常温では真っ黒で、指などで温度を与えると下のデザインが浮き出ます。
浮き出る文字をランダムに散らす事で、文字を探し出す仕掛けを楽しめる効果があります。
下地も黒いので探すのが難しく、よりエンターテイメント性のあるものに。

この案はウケは良かったのですが、少しイメージと違ったようで、追加の依頼が来ました。

・名刺に必要な要素が全部含まれてる一つのロゴデザインみたいな
・怪盗団のカードっぽいデザインが出て来たらかっこいいなあ

ということで、方向性がちょっと変わりましたが、次の案が出来ました。

D案-3

画像7

熱量で探し出す名刺。
常温では真っ黒で、指などで温度を与えると下のデザインが浮き出ます。
下から浮き出るデザインは怪盗のカードのイメージ。
赤く浮き上がる怪盗のマークに心を盗まれるほどのインパクトを期待。

かっけえええええこれだ!

と、ほぼ合格点を頂きました!
が、
さらにもう少し考えたいという事に。
本人が仰っていたけど、タカオミさんは意外と決められない性格らしい、、、、
そんなタカオミさんを即決させたい!
そして、このタイミングで東京に行く予定があったのでタカオミさんに直接お会いして打ち合わせする事が出来ました!
(それまではメールのみのやりとりで会った事がありませんでした。)

そして最終案へ

ちょうどそのタイミングで僕がAdobeのコラージュコンテストで受賞した事もあり、そのコラージュを生かしたデザインにしようと言う話になりました。
タカオミさんの顔でコラージュ。
エグく、グロテスクに、という依頼で。
そして出来上がったのがこのデザインです。

E案

画像8

コラージュアート名刺。
本人の顔の印象は残しながら、PYROの熱で燃えているイメージ。
そして内なる狂気と色気が殻を破って出てくるイメージを表現しました。

こちらで即オッケー出ました!
ようやく(笑)

やばwwwかっこよすぎる…
やりたい放題やってもらった方がいいものが出来上がるということを学びましたw

という言葉を頂きました。

これはデザインというよりアートで、入れた情報もTwitterのIDのみ。
もはや名刺と言うよりはトレンディングカード。
情報を伝えると言うよりは、カードをプレゼントするような感覚。
最低限の情報と、最大限のインパクト。
これが概念を壊した新しい名刺の形なのかもしれない。
すなわち名刺2.0なのではないでしょうか。

終わりに

長々と最後まで読んで頂きありがとうございます。
名刺のご依頼はDMでも受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。
名刺以外のものもデザインします。
詳細はHPで
kazushi-design.amebaownd.com

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