IMG_0580のコピー

空とぼく。移りゆく、この世界で。

自転車に乗って、風をきる。

生ぬるい。
湯のような、布のような。
そんな風を浴びながら。

僕はふと、空を見上げた。

都会はやっぱり、星が見えない。

星空っていうものは地球の自転の影響で、
毎日、1度ずつ見せる姿を変えているらしい。

プラネタリウムをやってる友人が、
この前ぼくに教えてくれた。

本当は雲の上に満点の星空が広がっているのかもしれない。

けれど、いずれにせよ明る過ぎる都会の夜には星の光は見えない。

でも考え方次第では、年中変わらず同じ姿を見せてくれるヤツとも捉えられる。

移りゆくこの時代と、ヒトの感情。

様変わりするこの世界で、ひとつ変わらないものがあるということは、ぼくをそっと見守ってくれる存在みたいだ。

同じこの空を見上げ、
毎日絶望に打ちひしがれていたいつかのぼくを思い出す。

いつか、家もなく、お金もなく、途方に暮れた。仕事のストレスで身体が動かなくなってしまったこともあった。

もう、どうしようもなく、これからの人生に行き詰まったことが。

あの時も、
ぼくは同じ空を見上げていた。

でも、今日はなんだか違う。

同じ空をみているはずなのに、心はとても豊かで穏やかだ。

相応の人生を送り、ありのままの自分を愛せるようになったからか。

時を経て、移りゆくものと、変わらぬもの。

なんだか、素敵じゃないか。

そんなことを考えながら、
ぼくはまた次の場所に向かう。

いつかのように、
この生ぬるい風を浴びながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?