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ワークショップデザイナーが考える、熱狂を共につくる場作りで大切なこと

こちらは、WSD(ワークショップデザイナー育成プログラム)修了生 のアドベントカレンダー。WSD Advent Calendar 2023のDay13の記事になります!

WSDって何?ワークショップデザイナー育成プログラムとは何?という方は、公式ページをご覧ください。

YouTubeで参考になる動画も見つけたのでシェアしておきます。10年前のものなので、変わっていることもあると思いますが、大切なことが語られているなと思いこちらも共有しておきます。


この記事を書いている人

アドベントカレンダー経由で初めて来ていただいた方もいると思いますので。

株式会社LITALICOで、ワークショップデザインの考え方をベースに、学びのデザインや組織変革、チームづくりに取り組んでいます。モトキカズヨシといいます。(あだ名:モックン)

それ以外にも、企業の理念の策定をするための場づくりをしたり

高校生に、アントレプレナーシップを体験できる場づくりをしたりしています。


記事の内容について

今回対談している小笠原さんことてっちゃんと、熱狂を共につくる場づくりを学ぶコミュニティ「プレイフルリーダーズ」というプログラム、実践コミュニティーを2024年2月からスタートします。

そこで、キーワードになっているのが、熱量のある場、熱中してしまう場はどういう要素が大切なのかについて、対談した内容を記事にしました。前後編の記事になる予定で、後編は12月18日のてっちゃんが公開しますので、そちらもお楽しみに。それでは本編スタートします!



熱狂を共につくる場作りのために大切なこと

モックン:熱狂を共につくる場作りのために大切にしたいことっていうことで、最初にイメージしたのは「コールアンドレスポンス」。イメージしたのはクイーンの映画ですね。

モックン:地元、北海道のライジングサンロックフェスティバルというフェスに20年以上参加しているという原体験もあって、アーティストがセイオーオーと言うと、お客さんもオーオーって言う風景。
フェスでは小さい声だとしてもレスポンスが返ってくる。最初にちょっと手拍子が小さい人もいたり、声が出ない人もいるんだけど、徐々にやっていない方がちょっと恥ずかしくなってくるような感覚。どんどん盛り上がってきて、自作自演じゃないけど。もし、これがファシリテーションだと捉えたときに、めっちゃ危険かもと思っていて。要はシーンと何も反応がないってこともある。

このフェスの場をより良くするきっかけ作りはもちろん、アーティスト側とかこの場を仕立てている側ではあるんだけど、一緒に混ざらない方がつまらない、混ざった方が面白いよねという感覚。その会場の温度に合わせていくと、提供側もノリに乗りはじめ、いいパフォーマンスをしてくれる。そういったコールアンドレスポンスと言われるような、場の温度が1度でも2度上がるようなマインド、もしくは行き来してつくっていく、そういう場作りを私は大事にしてるなって思ったんだけど。これ聞いてどう?

てっちゃん:TEDxでも紹介された動画、裸踊りの人の動画。1人が踊り始めて、次は、フォロワーが入り始めて、同じように踊り始めてから、5・6・7・8…って増えていってティッピングポイントから一気に変わって、熱狂するしみたいな。

ティッピングポイント(tipping point)とは、小さな変化が急激に変化する転換点を意味します。臨界点や閾値と呼ばれることもあります

てっちゃん:ポイントは2つあるなと思っていて。一つはフォロワーがいるからこそ熱狂ってやっぱり大きくなってくるっていうのもある。でもやっぱり一番最初に参加者が何かやってくれるかな、できるかなと運営側の方が怖気付くんじゃなくて、1回ちょっとやってみるっていう、こんな感じでやってみるんだよっていうのをやっぱ見せてあげたり、ロールを見せたりも大事かなと。主催者側・運営側の方がちょっと1回馬鹿になるじゃないけど。
1回、熱狂するっていうことをすること。みんなが同じようにこうやったらいいんだよって。この2つが大事だよね。自分と自分自身を熱狂するための振る舞いを、反応してくれるかどうかなじゃなくて、反応なんて関係ないんだ、1回まずやるぞみたいな!


モデリングと熱狂の共通点と違い

モックン:面白いね。これを学習理論的にいくと、モデリングに近いニュアンスも見方によってはありそうだなと思っていて。こういうふうにやるんだよって見せるみたいな。ただ今日の話は文脈が少し違っていて、踊ってた人は別に、モデリングしたくてやっていた訳ではない、そこが大事な気がして。何か研修講師みたいな人がこうしたらいいんですよ、と見本を見せてやってくんじゃない、そこが大事な気がしていて。
結果として気づいたら2・3人ついてきてくれてたみたいな。
そこにはやっぱ音楽、またはリズムがあって、そこにリズムが発生してると、勝手に動き出す。それは多分、実際には音楽じゃなかったとしても、何かその場にあるリズムとかテンポを感じ始めると、それに合わせていろんな声とか顔の表情とか、もしくはファシリテーターと言われるような人の何か雰囲気で、場の温度が上がってくる、すごく大事な要素かもね。

てっちゃん:よくあるモデリングってこういうふうにやったらいいですよ、こういうふうにやるんですよっていうさ、進め方のモデリングであるけど、裸踊りの最初の人のスタンスのモデリングは教師的なモデリングとも違う、心を動かすモデリングだよね。

モックン:わかる。それって個人的には、根源的にみんな本当はやりたいんでしょって?笑 でも、なんか普段の自分の肩書きとかロールだと、やりにくい。何か別に誰かに言われたわけじゃないんだけども、ここで泥だらけになってはいけないとか、人前にいきなり出て喋るのは避けたい。それをとっぱらうために出る人自身が熱狂して出る。するとフォロワーがついてくることって、場作りにとって大事だったね。

てっちゃん:結局1人1人のエッジはあって、その所属するコミュニティ全体のエッジっていうものがある。コミュニティの中に1人1人のエッジもある。

モックン:エッジという言葉をわかりやすい言葉にすると、越えるにはちょっとストレスのかかるような行為、行動とかマインドがもしあったとして、これを集団でえいっと越えるにはどうしたらいいんだろうね?

てっちゃん:そうするとやっぱ全体の前にまず1人1人。ちょっと超えたっていう人たちが増えていくことで、それを見て周りもこういう感じでやるんだなと、流れができてくる。

モックン:それを丁寧にやることはできる気がしてるんだけど、ワークショップの場と、割と短い時間、3時間4時間とかの実施をもっと色んな人が出来るようになるにはどうするんだろうって。

てっちゃん:それは当日の瞬間じゃなくて事前からそれをつくっているよね。

事前の準備

てっちゃん:その準備運動やストレッチが、事前のいろんな案内とか持ってくるものだったりとか、そういうことなんじゃないかな。それをやることで、エッジを一気に超えるんじゃなくてミニマムで、小さく越えていく。その一歩って、例えばドレスコードのように、事前に考えてきてもらう。自分がその場でどういう振る舞いをしたいかとか、それを持っていくことによって、どういう自分なのかを伝えたいっていう話じゃないかな。あれも何か一つを越えてくるアクションなのかなって思って。

モックン:すごく面白いね、その話を聞いて思い出したエピソードが2つあって。自分の中の原風景として、自分はずっと学園祭の前日が好きだって昔から言っていて、あのワクワク感は何かエッジを越える瞬間なのかなと。みんなで準備してそこに向かっていくっていう、集団でその時間を味わうことがすごく大事で。いきなり当日来て手伝いますではなく、そのプロセスの中にあるっていうのがやっぱ重要なんだろうなと思ったが一つ。

もう一つは、Party of the Future NAOGYAっていうイベントを10年前に実施して。そのときに初めて企画者側として、何か自分にとって大事なもの、人生にとってのターニングポイントとか、何かそういったものを持ってきてくださいって言ったときに、一番大きなものを持ってきた人がね、初代 Macintosh のキーボードを持ってきてくれたんだよね。

大変じゃないですか、なまらでかいし。笑 ただ、自分にとってとても大事なものを持ってきたときに、みんなが「おっ?」「えっ?」って言ってくれるかなとか、前日や当日までの間で考えて、イメージしてくれていたはずで、そのプロセスがあるから、当日いい場ができる。自分もすぐに声かけに行ったのをよく覚えていて、改めてフェスやライブに参加するときの自分もそうだな、一人自宅でいつも凄く悩んでいるなと。

てっちゃん:何を着ていくとか、何をもっていくとか?

モックン:何のTシャツ着て何のリストバンド持っていくかだけで1時間ぐらいかかっちゃうわけ。笑 それは、自分のアイデンティティなんだよね。それを身にまといたいとか、持ち込みたいとか。自分はこれが好きだとか、自分はこういう人ですっていうことを、何か目に見える形で持ち込むと、周りとの関係性に変化が起きる
ドレスコードなのか、何かこの場に何か持ってきて欲しいものを決めておくことが、結果として当日のその瞬間に一気に越えられたり、場が熱狂するってことはあるね。

てっちゃん:準備なくエッジを超えることなんてあるのかなって思ったんだよね。だからいきなり準備運動なしで、いきなりみんな踊り狂いましょうって言われても、ハードル高いと感じる人もいるよね。

頭で理解するために動くこと

モックン:難しいなとも思ったのが、とはいえ頭で理解しないうちに、まずは動かしちゃうってことも大事だなと思っていて。少し前に法政大学の長岡先生のカフェゼミで実施した、真ん中に問いを置いて、その問いとの距離や、体の動きで、表現するワークを一緒に実施したけど、あのとき大切だったのは言葉にする前に、まずは動いてみることが一つ大事。てっちゃんはよく、場の真ん中に行って走ったりたり動きで見せたりするけど、意識していることはある?

「創造的なコラボレーションのデザイン」というテーマを掲げる法政大学経営学部・長岡研究室。 街の中でオープンゼミを展開しながら、大学や企業の垣根を越えた「創造的な対話の場づくり」にチャレンジする、「カフェゼミ」にお邪魔させていただきました! ...

Posted by 元木 一喜 on Thursday, October 26, 2023

てっちゃん:そうだね、あんまりやりすぎない方がいいかなっていうのもあるけど。笑 モデリング的なところはあると思っていて。それって、皆の前に出て、実演し伝える、体現してみせることで、参加者の気持ちを強く動かすというのがあるんじゃないかな。もちろん必要なステップを伝えることも大切な上で。
でも、あの瞬間はやっぱり明確な説明はもう仕切ったから、あとは前に進むためのアクションが必要。前に進むために説明だけじゃもうわからん感覚ってない?たとえば、わからない描写ね。情景とか、そういうときほどやってるかも。「皆さん動いてみましょう!」って言ってもどう動くかわからない。1回こんな感じでっていう、もう120%-130%ぐらい大げさな感じて、1回やってみて。ここまではやらなくてもいいだろうも含めて伝えているかな。

てっちゃん:あと最近思ったのが何か期待を伝えることって重要だなと。例えば何回やって欲しいかを伝える。5回やってねと言うと、本当に5回までしかやらないんだよ。基準がわかんないから。だからこの基準を大きめの基準を伝えておくと、それに合わせてくるなと思ってて。

カフェゼミの場も、別に良い悪いじゃないけど、いろんな表現の仕方っていいんだよっていうのを、俺がこうやって座ったりとか寝始めたりとかやると、円の外に座ってる人も出たりして。1回なんかエッジ超えて、ファシリ側やコーチ側がエッジ越えないと周りが越えないんだよね。こういう感じだよっていうのを体現していくためにも、やってるのはあるかな。あとこういう楽しみ方があるんだよっていうね。


終わりに

いかがだったでしょうか。長文を最後まで読んでくれた方、ここまでスクロールしてくれた方、本当にありがとうございます。後編も近日中に出ますので是非お楽しみください。

WSDアドベントカレンダー他の記事もとっても学び溢れているので、こちらも是非!

また、対談した2人とが発起人の熱狂を共につくる場づくりを学ぶプログラム「プレイフルリーダーズ」の説明会が、12月22日(金) 20:00から行いますので。気になった方は是非遊びに来てください。申し込んでもらえれば録画データも共有いたします。

これからも、学びあふれる冒険をしていきましょう!

ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。