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写真展『ここで種を蒔く』
幼かった頃、両親が共働きだったので、学校から帰るといつも祖父母と過ごしていた。
祖父は、朝早くから畑仕事に精を出し、祖母は夜遅くまで薄暗い明かりの下でミシンの内職をしていて、一日中休むことなく働いていた。
祖父母からはいつも土の匂いがして、僕はその匂いが好きだった。
実家を離れて生活するようになり、写真に興味をもつようになってから祖父母にカメラを向けるようになったことはごく自然なことだった。
あ
写真の中に“自分”を探す
「ヒトは他者の中に自分を見たがる動物である」これは霊長類研究者の山極壽一氏の言葉である。ヒトは1400万年前にオラウータン、700万年にチンパンジーと別れ、その後、群れの中に「家族」を作るという二重構造の社会を進化させた。そして、家族は自分と他者の境界線を引いてくれる最初の存在であることは揺るぎない事実である。そして、写真は、写真機が発明されて以来、ヒトが古来より持つその欲望を満たしてくれる存
いってらっしゃいの記録
娘を保育園に送るとき、ポケットにはいつもカメラを忍ばせている。
長女が4月から小学生になるため、姉妹揃っての登園も残り数ヶ月となり、その記録を残しておこうと思ったのがきっかけだった。
朝は次女のお昼寝布団などの荷物があるため、片手で操作できて、日付けが入るフィルムカメラが使いやすい。
僕は毎朝、車から降りて保育園の玄関まで送るわずか時間を記録し続けた。
姉妹仲良く登園。
そして、4月になり
キミの瞳がボクをパパにする
以前取材を受けた某カメラ雑誌で、娘の写真は、未来の娘へのプレゼントと思っていると、書いたことがある。それから数年が経っても、その思いは全く変わらない。
7年前に娘が生まれたとき、僕は1台のフィルムカメラを買った。HASSELBLAD500C/Mという中判フィルムカメラで、僕の年齢よりも古いカメラだった。当時すでにデジタルカメラに時代が完全に移行していて、妻の反対を押し切って購入したカメラ。フィル