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写真集を読む:02 『しあわせ インド大地の子どもたち』

 前回、鬼海弘雄さんの『東京夢譚』の読んだ感想を投稿しました。
せっかくなので、同じく鬼海さんの最近購入したインドで出会った子どもたちを写した写真集『しあわせ インド大地の子どもたち』 の感想を言葉にしてみようと思います。

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テーマは「しあわせ」
いわゆるハピネスというような幸福という意味合いではなく、ヒンズー教の人々における”心しずかで平和な状態”=シャンテということであると、表紙をめくると表記されていました。いや、「シャンテ」が先にきて、日本語でいうならば「しあわせ」にあたるのかもしれないということなんですね。

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まず、ぱらぱらと写真を眺めてみます。
こちらの写真集は、『東京夢譚』や『ペルソナ』にみられる6×6のスクエア写真とは異なり、135フィルムによる縦構図が多用された写真集です。表紙のようなモノクロの子どもたちが写されています。
やはり前回同様、僕には写真だけ見て”これはこんなことを感じた!”とか"こんな風によんでいいのかな”なんて考えに行き着く感じではありませんでした。

そういえば写真集にかかわらず、美術館における絵画の展示なんかでも同じような体験は有ったように思います。
もしかしたら、この体験はすこし深掘りして考えてみるともう少し幅広い分野でもただただ”わからない”で通り過ぎることなく楽しめるようになるのかも知れませんね。

考えてみました!
わからない分野で考えても仕方がないので、身近ななにかで置き換えてみました。

それでは、さっそく話は写真集から脱線します。
僕は、仕事でお客さんにとある提案をすることがあります。提案を作成するにも、事前に要望を軽く聞いた上で作成しているので大概はその延長線上に修正や追加の要望などを組み込んで行きます。
しかし、まれに僕たちの予想を超える要望や方針をまるっと変えてしまうお客さんがいることもあります。
その場合、一度その案にのって提案を作成してどういう意図や要望が隠れているのか探ってみています。
特別なような書き方してしまいましたが、いや、普通のことですよね。

仕事におけるお客さんの価値観と僕たちの価値観が合っていないことで起きる”なんだこれ””どういう意味なんだ”ということを分析することって普通なのに、美術展の展示や写真で作品を一瞬見て"よくわからないな”って思うのってなんか勿体無いような気がしてきました。
たぶん趣味趣向って偏りがあるとわかっている分、わからない事に触れなくてもいいかという傾向になってたのかなと自分なりに考えてみました。
共通の言語や同じ認識、異なる認識を持とうとしないと感想も出てこないんだなとわかりました。

では、内容に戻ってみます。
写真は、ガンジス川やヒンズー教の巡礼に関わる地域などの子どもたちをスナップ写真のようなポートレート写真です。鬼海さんの存在を意識した目線がはっきりとわかるようなものから全く目線が別な方向に向き気にもしていないようなものまで。
ぱらぱら見ただけではわからないとは言いましたが、あきらかに目の印象が強いのはわかります。モノクロの中に浮かぶ黒目と白目の存在が日本人以上にはっきりと見えるからなんだと思います。

写真集の中には、そこまで多くはないですがエッセイというには簡易な文章が載っています。出版社が福音館書店ということもあり、絵本の雰囲気が出ています。
やはり、このように写真の背景がわかるように文章があるのは助かります。

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では、見た感想として感じたことを書いていきます。

まず、この子どもたちは、僕が生きてきた境遇とは全く違うということが写真を通してわかります。それは、単純な身なりや教育、宗教、働くとか遊ぶとかそういうこともあるけれども、なにか根本的に違うような気がします。言葉にするって難しい。

そして、テーマにある「シャンテ=しあわせ」これに関して注目してみたいと思ったのは”目”でした。"目は口ほどに物を言う"と知ったように書いていますが、やっぱりみるべきポイントではあると感じました。
写真のセレクトなどあるのでインドだから全部そうなるとは思っていませんが、この写真集における子どもたちの目は鬼海さんのレンズに対して興味を持ったかのような目を輝かせていたり、ポーズをとったり、逆に気にもせず寝転ぶ姿(警戒しないという意味で)。でも、今の日本で田舎だろう都会だろうと、こんな表情を海外からきた人に撮らせてくれるのかなとか思いました。いや、日本との比較をしたいわけではないですが…説明が難しいですね。

写真を撮った瞬間の鬼海さんと子どもたちの間には平和な状態があるのだろうと感じました。結局タイトルとおりの感想しか出てこないのが悲しい。いや、素直にそう受け取れたということでいいんですかね。
でも写真はじめてそんなに立ってはいませんが、一貫してそう感じることができた写真集でした。作品をまとめるってすごいですね。
なんかもっと書きたいことあったような気がするのにな…

あとわざわざ書くことはないと思いますが、やはりモノクロの写真ってとても綺麗ですね。知り合いの写真の先輩から中判用のモノクロフィルムたくさんいただいているので、もっともっと挑戦していきたいです。

さて次は何の感想書こうかな。

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