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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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記事一覧

多様性ある組織で成果につなげる

4月30日の日経新聞で、「ファストリ、外国人管理職8割に 30年度めど、海外で採用増」というタイトルの記事が掲載されました。 役員や管理職で女性比率や外国人比率の目標を設定し、多様性を実現させていこうという話をよく聞くようになりましたが、同社の目指す状態は一定の比率目標といった次元ではなく、日本人は国籍のひとつに過ぎないといったレベルまで国籍の別を問わない状態のように感じられます。 同記事の一部を抜粋してみます。 東証プライム上場企業の他社の現状と比較しても、同社の外国

古今東西、「正しい」ことが正解とはいえない

先日、同僚からこんな話しを聞きました。すでに経営から引退された方と食事に行ったとき、なにか大事なパンフレットを挟みながら話しをしていたところ、同僚の不注意でそのパンフレットにウィスキーがかかったそうなのです。しかし、その方は慌てることもなく、お店の方にパンフレットを乾かして頂くことをお願いしながら、「いや、ウィスキーがかかったパンフレットというのもいいですね」と笑われていたというのです。 明らかに同僚を気遣ったお振舞い、お言葉で、この話を聞いた私は、なんて相手の気持ちを考えら

有力株の保有を考える(2)

前回は、京成電鉄が保有しているOLC株についてテーマにしました。京成電鉄株主の投資ファンドから保有分の一定割合を売却するよう求められていることについて、その影響の一端を考えてみました。今回も引き続き考えてみます。 それにしても、東京ディズニーランド開発が始まった当時、多くの人が成功を疑問視していたとも言われる中で、積極的に投資した京成電鉄の経営者の先見の明と実行力には驚かされます。 4月27日の日経新聞記事「OLC、今期最高益 2期連続見通し 新エリア開業で」から抜粋して

有力株の保有を考える

4月27日の日経新聞で、「京成、脱・鉄道偏重に難路 今期、4期連続損益改善見通し 東京ディズニー株巡り圧力」というタイトルの記事が掲載されました。東京ディズニーリゾート運営のオリエンタルランド株を売却し、成長投資と株主還元に関する計画を示すよう、一部の株主から提案されていることに関連して考察されている記事です。 同記事の一部を抜粋してみます。 中長期的な視点で考えた際に、同記事にあるファンドの提案のとおりOLC株を売却し成長投資すべきなのか、それとも保有し続けるべきなのか

創業期や変革期は外部から積極的に学ぶのに、なぜそれが続かないのか

私は企業様をコンサルティングさせて頂く時に、始めに企業様の歴史をできるだけ丁寧にお聞きするようにしています。そのなかで、特に創業時や変革期に共通するストーリーがあります。 それは、創業時、変革期においては、外部からの支援やアドバイスを受けることで、新商品を開発したり、新事業を立ち上げることです。 例えば、新規商品に関わる知見や技術をもっている外部の人から指導を受けることです。そこから生み出された新規商品が、「現在の自社の主力商品です」となっています。また、「新規のビジネスモデ

1年前は出版実現に確信がありませんでしたが、なんとか出版に至れそうです

ふと、昨年のゴールデンウィークは何をしていたのだろうかと思いだしたら、今年6月に出版する『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社、Amazonなどで予約受付中)の企画書やサンプル原稿を作成していたところでした。出版ゼミであるブックオリティさんの「出版社さん向けプレゼン大会」が5月末に開催予定でしたので、そこに向けて準備していました。 「そっかあ、あれは1年前なのね。。。なんかもっと前の感覚がするな。。」と正直なところです。 ブックオリティさんには昨年2月から受講したので

カブトムシインフレは教育上良くない?

例年、この時期はカブトムシの幼虫を採りに行っています。しかし今年からは幼虫を採りに行くのはやめることにしました。 カブトムシの幼虫はポイントさえ見つければかなりの数を採集することができます。これまで何年も育ててきたので蛹化・羽化もかなりの確率で成功させ、夏には多くの成虫が誕生します。幼虫・蛹・成虫と全てのステージを観察することができますし、数も確保できるので効率的です。 良いことずくめな気がしますが、なぜ幼虫を採りに行かないことにしたのか?それはカブトムシ採集による子供の感

労働契約を超えた人事移動は、これまで以上の丁寧な対応が必要

もう1週間前の日経記事ですが、4月27日の日経新聞朝刊1面「同意ない配置転換、職種限定では違法 最高裁が初判断」の記事は、正直、休日朝の眠気を覚ますのに十分な記事でした。 本事案は、原告の男性は滋賀県の社会福祉協議会が運営する福祉施設で、福祉用具などを改造する技師として約18年間勤務されていました。施設側は2019年、事前の打診なく総務課に配転する人事移動を内示したところ、男性は配置転換は違法として訴訟を起こしたものでした。 一審と二審は、職種限定の合意があったとした

【読書メモ】ユニクロ

やはり、その問いが肝か。 「ユニクロとは何か」「ユニクロの服とは何か」 ユニクロが事業の節目を作ったのが、この問いであることに深い感銘を受けました。 ユニクロの創業期から現代までを詳細につづったドキュメントです。著者は杉本貴司さん、日経新聞の記者です。綿密な取材で、柳井さんをはじめとした人物一人ひとりの葛藤がつづられています。 葛藤や挫折からの学びが人生を豊かにする 人も会社も葛藤やときに挫折があって歩んでいくのだと思います。読んでいるうちに"Fail fast, l

26年大河ドラマの主人公は、現代にも通じる最強のNo2

少し先のことではあるのですが、2026年の大河ドラマは「豊臣兄弟!」というタイトルで、豊臣秀吉(1537年~1598年)の弟、豊臣秀長(1540年~1591年)が主人公となります。 「豊臣秀吉は知っているけど、弟?秀長?って誰?」という人も多いかもしれません。日本史の教科書でもほとんど取り上げられていないので、それも仕方ないところです。もし扱われていても、1591年に亡くなり、豊臣政権の先行きに影を落としたくらいの記述しかないと思います。 しかし、私はこの26年大河の発表

雇用条件に沿った配置転換を行う

4月27日の日経新聞で、「同意ない配置転換、職種限定では違法 最高裁が初判断」というタイトルの記事が掲載されました。 同記事の一部を抜粋してみます。 上記が裁判官4人全員一致の結論ということです。今後同様の訴えが起こった際に、上記が重要な判例となっていくことが想定されます。 同日付の別記事「働き方、労使合意を重視 最高裁 「一方的な配転不可」初判断、丁寧な協議が要に」からも一部抜粋してみます。 前回、必ずしも個人発の意思決定ではない配属に関する「配属ガチャ」について考

配属ガチャを考える

4月26日の日経新聞で、「「配属ガチャ」の結果に悩むな」というタイトルの記事が掲載されました。 一昔前は、「企業に就職したらどこに配属になるか、いつ転属になるかわからない。決まった配属先でがんばるのみ」という考え方が一般的でした。この考え方も変わり、しばらく前から「配属ガチャ」などと言われるようになってきています。配属先に対する納得感は、働く側の満足・不満により大きく影響する要因になってきたようです。 同記事からの引用です。 配属というテーマにどう向き合うか。いろいろな

中堅企業という区分

4月22日の日経新聞で、「小さくても勝てる(1)「隠れチャンプ」に光を 中堅・中小、大企業上回る潜在力 経済再生の主役に」というタイトルの記事が掲載されました。 「大企業」と「中小企業」の間に、新たに「中堅企業」の区分をつくることの意義について各所で聞かれるようになりましたが、その動きについて取り上げたものです。 同記事の一部を抜粋してみます。 日本では、法人税の観点で、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人で、さらに一定の条件を満たした企業が中小企業として、さま

親鸞の親子対立から考えるリーダーと迎合者の違い

日本で最大規模の宗教団体の一つである浄土真宗。この浄土真宗を創設したのは親鸞(1173年~1263年)ですが、この親鸞、浄土真宗を創設しながらも、その運営のなかで親子が対立し、とうとう晩年には長男と絶縁しているのです。 その経緯は次のようなものです。親鸞は京都を拠点として浄土真宗を広めていたのですが、そのなかで関東では、悪いことをしても念仏さえ唱えておけば救われるのだ、という悪行集団が生まれてきたのです。このような事態を望んでいなかった親鸞は、長男(次男という説も)であっ