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だいふくくんのケース3

飼い主さんは不安で押しつぶされそうです。


暑いんじゃないのかな?
大丈夫かな?
朝起きたら死んでないかな?

そんな不安と心配で
居ても立っても居られない。
そんな感じでした。

まずお話したのは
だいふくくんは自分のスペースがないために
落ち着いて眠ることができていなかったこと。


音は聞こえなくても
目もうっすらしか見えなくても
気配は感じます。


飼い主さんの不安と心配は
飼い主さんの吐く息から
どんどん出て、
唯一の頼りのだいふくくんの鼻から
匂いとして伝わっていました。


ストレスの匂い
不安の匂い
心配の匂い

耳の聞こえない
目もほとんど見えない
だいふくくんにとっては
それがどれだけ負担で眠ることすら
出来なかったのかを
説明させてもらいました。


眠れないことがどれだけ辛いのか
落ち着くことができる場所がないことが
どれだけ辛いのか

そして不安を抱えて落ち着かない
飼い主さんと共にその不安の中で
暮らすことがどれだけ辛いのか

1つ1つ説明しながら
飼い主さんにだいふくくんの今まで数ヶ月間の
心理状態を説明していきます。

飼い主さんの目から涙がこぼれます。

良かれと思って
一生懸命にしていたことが
全く正反対だったとは・・・・。

と涙声でやっと言葉が出ています。


散歩の時にあれだけ元気だったのは

不安と心配が充満した部屋から
出ることができること

飼い主さんが
散歩で走るだいふくくんを見ている時だけ
心配も不安もない嬉しくて
楽しい様子だから
だいふくくんはとても気持ちが軽くなるということ。

今の飼い主さんとの暮らしは
繁殖場での毎日と比べたら
どれだけ清潔で快適でしょう。

だいふくくんはそれだけでも
十分に満足していて
安心、安全を感じていたはず。

それがいつの間にか
飼い主さんの不安と心配が募り

その不安と心配は
目の見えない、耳が聞こえないだいふくくんにとって
何も問題がない犬に比べて
何倍も強く感じられてしまっていたのです。

なんだかわからない
不安と心配の空気の中で暮らすことは
だいふくくんの小さな体では
耐え難いことだったに違いありません。

僕は大丈夫だから。

なんども訴えていたに違いありません。

でも、
その声は飼い主さんには届かず
どんどん悪化していった・・・。


だけど飼い主さんは悪くないのです。
それどころか
本当に一生懸命だったと思うのです。


『だいふくのため、だいふくのため・・・』


実は
この状態は
どこにでもありうるのです。

なぜなら
本当の犬を知っている飼い主さんは
ごく一部。


だいふくくんの飼い主さんは言われました。

何もわからないし、どうしていいのかも
全くわからなくて・・・。

誰に聞いても
納得のいく答えを聞くことができず
心配になると夜間の救急も
駆け込んでいました。
と。

病院は確かに病気を直すところ。

けれど
だいふくくんは、心臓が悪い以外は
病気ではないのです。

犬たちの行動は
飼い主さんの鏡です。

飼い主さんがいつも心配していると
犬たちも不安になり
不安を解消したいがために

様々な行動に出ます。

飼い主さんが
こうなったらどうしよう。
ああなったらどうしよう。

と思えば思うほど

犬たちはそのように行動してくれています。

だいふくくんの飼い主さんに伝えました。

だいふくくんの気持ちがなぜわかるのかというと
私も同じ経験をしたからです。

私も犬の気持ちがわからず
こうなったらどうしよう
ああなったらどうしよう
そう思い続けて悩んでいた時

大事な大事な自分の犬が
壊れそうになったからです。

その時に
飼い主である私の気持ちを
小さな体で一生懸命受け止めて
不安と心配に負けそうになっている
犬の立場に立ちなさい。

そう言われて
初めて自分がしてきたこと
自分が依存して犬たちを
潰しかけたことに気づきました。

犬たちは
体は小さくてもれっきとしたいのち。

人間たちのエゴやわがまま
そして不安や心配を受け取らないように
飼い主さんがメンタルを整えること
それも良い飼い主さんであるための
条件の1つです。

犬たちは飼い主さんしか
信頼できる人がいない。

だったら全力で犬たちを守ってあげる。

そう考えると
必要以上に口を出したり
必要以上に手を出したり
最悪な状態を想像して心配したり
そして不安になることが
犬のためになるかどうか
わかるはず。


ところが
わからないことだらけで
見失ってしまうのです。


というか
本当に何が起きているのか
どうしたらいいのか
わからないのです。


~続く~

犬の声をお届けし、あなたの声を犬にお届けします。あなたと犬のシアワセな生活、関係のお手伝いをさせていただきます。