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コンサルの経験はベンチャー経営で役にたつか

はじめに

私は監査法人→経営コンサル→ベンチャー経営陣(CFO)というキャリアを歩んでます。
キャリア戦略があったわけではなく、目の前のことを愚直に取り組んだ結果論なので、振り返って見てどうなっているか(スティーブジョブズのConnecting The Dots)という視点でまとめてみます。
ちょうど3年前に監査法人→コンサルの記事を書きましたので、本日はコンサル→ベンチャー経営陣の話です。

結論、経営するための総合力がついた

私がいたコンサルは極めて守備範囲が広く、事業再生2年、戦略案件2年、M&A関係(FA/DD/プリンシパル投資)2年といった形でかなり幅広にやってました。

当然ハードスキル(知識やコンサルスキル)は身につきましたが、一番はソフトスキルでした。
そのスキルは経営するための総合力で、別の言い方をすると不確実性に向き合い結果を出し続ける姿勢と思っています。

以降で、経営するための総合力の3要素を記載します。

①意思決定力

経営の仕事は、なにはともあれ経営意思決定をすることです。
意思決定力を上げるには、当該事象を構造化し、オプション化した上で、リスク・リターン(Pro/Con)の観点から優先順位をつける力が必要と思います。
これはコンサルタントの一丁目一番地であり、コンサルファームで生き残っていれば嫌でも身につくと思います。

意思決定を行う際は、①目的/背景、②(オプションの)判断軸、③前提とできた情報の3つを明確にしていれば、後で振り返る事が可能となり、意思決定のPDCAを回すことができます。

ただ、意思決定は不確実性が高く、不完全な情報の中で判断するための胆力が必要です。この胆力は構造化してオプション提示をするだけでは身につかず、コンサル時代から自分だったらこう判断するというポジションを取り続けたため、少しは鍛えられたと思います。
とはいえ、実際に意思決定する立場になり、ここの負荷がコンサル時代に比べて非常に高く感じてます。

②なんとかする力(≒グリット)

こちらはプロファームであれば、どこでも問われると思っており、
・頑張ったではなく、結果が出せたのか?
・○○のせいでできませんではなく、自責として考え○○を解消する/○○前提として結果を出すべきではないか?(ビルゲイツの花屋の話が大好きです(笑))
・勝手に制約を設けず、結果を出すために全ての事を考えられたか?

最後の3点目はコンサルPJではスコープの握りがかなり重要な要素であるが故に、事業会社でアンマッチになること(「それ、スコープ外です」的な発言、スタンスを取ってしまう)が多いと感じます。

経営陣という立場になると、全てが変数であり、かつスコープという概念がなくなります。(その代わり優先順位が常に変わっていくイメージ)

コンサル時代からでも、あくまで制約があるPJの中で結果を出す話と、結果を出すために本質的にすべきことを別で提案できることは、両立は可能だと思っております。前職はそれができる環境だったので、ここも役にたったかと。

③人に動いてもらう力

コンサルファームだとPJの成果物という分かりやすい共有目標があり、同じある程度Value/行動様式を持った人たちがチームのため、あまり困ることはなかったのですが、事業会社だとやはり色々な価値観の方がいます。
多様なメンバー各自がやる気になる目標設定を行い、頑張ってもらうというリーダーシップが必要になり、一番コンサル時代とギャップがあったポイントかもでした。(やなら、向いてないですよ。とは言えない。。)

一番痛感したのが、CFOとしてHR、広報、経理、経営企画という幅広く管掌(一応)している中、各領域には私より詳しく、頼もしい方がいらっしゃいいます。これをPJマネジメントのようにコントロールしようとすると、私の視野・スキルがアッパーになってしまうと同時に、スタートアップでの成長スピードに対応していくことができません。

なので、ゴール状態をしっかり共有してKPI等の結果は確認させてもらう代わりに、細かい手法は任せる!といったことをしております。
正直、「何でこんな進め方をしているのか?自分がやれば3日でこのOutPutを超えれると」思う事はなくはないですが、それは業務のほんの一部で、その他自分では想像できない手法や進め方でゴール状態に向かって成果を出してもらってます。
改めて、人に頼ることの重要性を痛感しました。

ただ、コンサル時代の事業再生や実行支援ではクライアントの内部の方に動いてもらう必要があり、ゴール状態を示す、感情をくみ取りながら、数字で結果を示す、自分ごとにしてもらうために、自ら考えさせ、作らせるといったことを実践できていたことは大変助かりました。

最後に

タイパ意識される時代ですが、やはり自分としてのDotsを風化させずどれだけ深く打ち込めるかが振り返ってみて重要と感じました。

特にコンサルのPJは経営層~部長~メンバーまでを相手にし、テーマもバラバラですが、クライアントがお金を払う以上、例えくだらないテーマだとしても事業会社としてはリアルな困りごと、ここにしっかり向き合えば将来経営(当事者/サポート含めて)を生業とする以上、しっかり取り組めば必ず自分の力になると信じて、ひとつひとうのPJに取り組んでました。

こんなことを書くなんて自分も年を取ったと思うのですが、一意見としてご参考まで。

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