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これは”分かってる”人たちが作ったアニメなんだよな...(大歓喜)

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2023年春アニメの覇権再筆頭は覇権で終わりました。完璧という言葉をあげたいです。1話から尻上がりにぶち上げてるのはうれしすぎる誤算。面白かったというよりこの原作をここまで完全無欠にトレースしてくれてほんまにありがとうございましたって気持ちが勝ってる。鬼滅、呪術、東リベ、、、この流れに完全に乗ってしまったか。。。見つかってしまった喜びを噛みしめながらキーボードを叩く

感想

「この芸能界せかいにおいて嘘は武器だ」
地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。
ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。
彼女はある禁断の秘密を抱えており…。
そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。

アニメ「【推しの子】」公式サイトより

推しの子との出会い

まずは推しの子の出会いから書き記す。夜のスーパー銭湯、休憩所のコミックコーナーで何冊かマンガ読んでから岩盤浴に行こうかなと考えながら前日に大酒を飲んだせいで収まらない二日酔いの頭痛と共に本棚に無気力に視線を向けていた。タイトルの「推しの子」を見てアイドルの話なんだろうなというのは10年近くアイドルオタクをやってる自分には容易に想像できた。自分の属性を顧みて、一読はしておくべきだろうと判断し1巻を手に取った。これが2021年11月。初めての出会いである。最初はアイドルをブヒブヒ言わすオタクの内輪指数高めの作品なんだろうなと根拠もなく邪推していた。読了後の感想も言わずもがなである。1巻だけ読んであそこまで高揚したマンガはまだ出会っていない。そして、推しの子を聞かれた時はこう答えるようにしている。

今まで読んだマンガの1巻だけを比べたらぶっちぎり、
掴みが最強すぎる

その日は推しの子全巻を読んでしまったせいで岩盤浴に入りそびれたは言うまでもない。

推しの子1巻 

アニメ化への喜びと不安

そんな岩盤浴未遂の後、「次は推しの子が来る、これはマジ」と吹聴しまわったのは言うまでもない。そしてアニメ化が発表された。その瞬間は喜びで声が出たが次第に不安を抱いた。というのも、メディアミックス作品の下馬評が高すぎる事にあまりいい思い出がないから他ならない。下馬評が高いのは原作に強烈な人気を誇っているからであり、それは同時にファン1人1人に作品に対する”イメージ像”を持ってしまっているからだ。そのファン全員の”像”を満たすのは至難を越えて困難である。界隈の中で根強い人気があった推しの子のアニメ化はそんなファンの”像”の壊すことになりかねのではないかという可能性を否定出来なかった。そんなアンビバレントな気持ちで放送日を迎えるぐらいには作品にのめりこめんでいた

1話の新しい試みとそれの反響

長ったらしい自分語りはこれぐらいにして、アニメ1話は90分拡大で劇場で先行公開の方式を採用した。自分としては大英断。手のひらが赤くなるまで拍手しするぐらいに大拍手です。推しの子1巻の掴みを完全に映像で再現するのは嬉しすぎる大誤算。通常のアニメ放送だとぶつ切りになってしまうため新鮮な衝撃を作り出せなかった。それを90分一気にやる判断は素晴らしすぎる。映画館で見に行って大正解でした。残念な話としては、アニメで1話の放送が開始された直後に散見した「90分は長い」指摘。狂ったファンなのは自覚してるけどはっきり言わせてもらいます。F*ckです。そもそも90分の映像作品をホームシアターもない家で見る行為自体相当きつい。映画大好きポンポさんを見てないのがバレバレです。今すぐ見に行きましょう。そんなデメリットを踏まえて映画館で視聴する迂回路を制作陣は作っていたのにそれを通らずに一丁前に批判するのは反則技。正直、エンタメの観る姿勢は視聴者の数だけあると思うしあって良いものだとは感じます。けれども、批判する場合は制作陣の意図などを理解した上で視聴するべきです。最低限の"筋"は通していきましょう。
そして中身は言わずもがな完璧すぎる。星野アイに狂わされても仕方がないよなって思わせるストーリー構成と作画。星野アイは諺の嘘から出た実のようにアイドルを通じて嘘をついて本物の愛を求める。最後は嘘をつき続けた代償を払い、そして本物の愛にたどり着く。なんと切ない結末なのでしょうか?あそこまで業火の炎を燃やして人を惑わせてた究極アイドルが突然いなくなったらそりゃみんな狂っちゃうよねって感じです。アイドルという概念の掘り下げが完璧すぎた。そんな極太の人生を送った星野アイの一生をこの1話でまじまじと描いてる。星野アイの説得力が強すぎる。それだけでメディアミックスした意味がある。

2話以降の嬉しい誤算

大満足の1話を終えて、自分の意識はこのカタルシスを最後まで保てるかになっていた。初速の強さが最大の魅力であり、ここからは作品の風速は凪に徐々に近づいていくものであると思ってた。まじで杞憂。回を追うごとに完成度と満足度が高まってくる。テキスト多めでありアニメ映えしそうな原作ではあるがここまで高めてくるとは誤算すぎる。まずはEDの入り方。最近で言えばリコリスリコイルの方式ではあるがメフィストの前奏が秀逸すぎる。個人的には2話と5話の入り方が好き。2話は緊張と緩和が効いてて笑ってしまった。有馬かなの「なんでよぉ!」。最短距離のツッコミで好きすぎる。表情豊かすぎて後述する有馬かなの魅力に繋がってる。5話に関してはアツい。ただただアツい。アイのB小町を紆余曲折めぐってルビーで復活させる展開。高校野球よりアツい。やけどする。それと汗かいてる女の子はただ最高。性癖に刺さるとかそういうことじゃなくて美しい。汗をかいている女の子は最強というあまりまだ認知されていない真理に制作陣はもうすでに気づいてたっぽい。そして7話。下手なネットリテラシーの教科書より教科書してる。セリフが強すぎる。無駄な贅肉が一切なくて必要最小限でえぐってくる感じ。贅肉しかなくてメタボに診断されかねない自分の文章が恥ずかしくなる。

「SNSは有名人への悪口を可視化」
「表現の自由と正義の名の下、
毎日のように誰かが過剰なリンチに遭ってる」
「みんな自分だけは例外って思いながら、しっかり人を追い込んでるのよ」
「なんの気なしな独り言が人を殺すの」

アニメ推しの子7話 有馬かなより引用

6話放送直後のアレ

知らない人は読み飛ばして下さい。この騒動に個人的に思うところはなぜこのタイミングなのかということ。原作サイドからインタビューも受けていると考えれば原作が発刊された時点でこの題材を扱うことは確実。そうすると原作の時点で批判があるはず。この疑問だけが取り除けない。言い分は尊重出来るし寄り添うべき意見ではあると思う。けれどもこの疑念が消さないしそもそもをきな臭くしてしまってる。そしてどこまで人を寄り添う必要があるのか。全人類お気持ち表明主義なこの時代はエンタメの死へのカウントダウンを進めてしまうのか。今こそ全員が考えるべき問題なのかもしれない。

有馬かなの魅力

辛気臭い話をさせてもらいましたが、有馬かなで始まって終わったと言っても過言ではなかった。これぐらい有馬かなが配合された1期であった。もはや「かなの子」なのではと錯覚するほどに。そもそも有馬かなが推せる。たしかにアクア、ルビー、アイとみると脇役なのかもしれないが、天才と持て囃された子役時代から斜陽な学生自体を経てB小町で救われていく流れ。控えめに息ができないぐらいに好きなんだが。クサいことを書いてるかもしれないが”努力は必ず報われる”。そんなありきたりなことを有馬かなは見せてくれたしその過程でここまでかってめんどくさく女の子で描かれてて大満足。ひたすらに真っすぐでアイドルに夢中なルビーとの対比も良かった。考えすぎる有馬かなと突っ走るルビー、相性抜群。

アニメ推しの子10話より

最後に


令和を代表するキラーコンテンツがここまで綺麗にアニメとなったことは動画工房の制作陣の方々に感謝がとまらない。完全に”分かってる”人たちが作ってたアニメだった。ただでさえハードルが上がった中で2期もこれ以上を叩きだしちゃうことを1ファンとして祈る。今日あまみたいになったらなったでそれはそれで面白いけれども

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