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涙なんか使い捨てだと、つよくてよわい女が笑う / 舞台『あれは確か、いつもより少し澄んだ空だった。』@下北沢駅前劇場

タイトルは、映画『セブンガールズ』の告知映像用に募集されたキャッチコピーで採用いただいたもののひとつです。

セブンガールズを2度観賞、さらに大分出身の堀川果奈さんと新聞記者の友人を繋がせて頂いたご縁もあり(はてなさん小野寺さん大変お世話になりました!)、劇団前方公演墳の新作なら是非観たいと思っていました。

そこになんと、セブンガールズ再上映の観賞をきっかけに我らが『カメラを止めるな!』市原洋さんも客演で参加されるとは!観ない理由がなくなってしまった!

という訳で冬休みを合わせて、観劇しました。

端的に言うと、セブンガールズの後日譚でした。娼婦だった過去を捨て、それぞれの道を歩んでいる彼女たちがまた集うことになった理由。

何一つ接点を持たない人々の、それぞれの日常。
その中の1人、人気小説家、薫の元に突然現れた新聞記者によってその日常は壊される。
そして次第に無関係であるはずの人々の生活までが狂い始め、誰もが想像しえなかった結末へと、人々は、引き寄せられていく。

ネタバレ厳禁だったので全く気づかず、このふたりは夫婦役をやるという不文律でもあるのかしら?と見つめていたら、雲行きが怪しくなり、イボ痔…もとい寺庵先生がそのままの姿で出てくる訳です。よく見たら、はてなさんの服、猫いるし。

市原さんや他の客演の方目当てでセブガを観ずに来た方には、すこし入りづらかったかもしれません(それでも解るように説明されていたとは思いますが)

セブガを観た身としては、、、ご褒美みたいだなと思いました。

それは単純に彼女たちとまた逢えた喜びも然り、セブガのパンフへ詰め込まれた情報量に「なんでこれをもっと描いてくれなかったの!?」と思っていたからです(本編が充分長いので致し方ないと思いつつ…)。たとえば、客の取れない郁子は単なるウザキャラ(笑)ではなく、結婚もしていたし男性に対するトラウマも抱えていたのだ、とか。ハマさんが婦長に上り詰めていたとか、猫の妹の真奈が人気娼婦になり葬式に多数の人が来たとか。あれ空で、続きを覗けたのが嬉しかった。

客演の皆様も、とても良い形で参加されていて…劇団の長年の空気感がある中、どんな風に?と思っていたら、予想以上の溶け込み方で本当に素敵でした。迎える側も飛び込む側も並々ならぬ努力があってのことかと思いますが、とても良いスパイスの形を見せていただき、感動してしまいました。

最後、仕舞った過去を取り戻し、再び歌い踊る彼女たちの頭上に広がる、澄んだ空。

"明日雨でも わたしは晴れ"

うつくしい、だけでは形容できない、まさに一生"懸命"な女たちの姿勢は、決して"昔"ではなく現代に通ずるものがあると、セブガから続く未来にも思えたことが何よりの収穫で。

それは奇しくも再度の東京五輪を控えた、有難いことに未だ"戦後"である(戦中でなく/戦前ではあるのだけれど)日本の今にこそ上演される意味があったと確かに思えたのでした。

6月の新作舞台は是非とも他の演目も観てみたいなと思いつつ、セブンガールズがまた多くの方に観られる機会が生まれたらと、切に願っています。

とりとめのない長い感想ですが、今日はここまで…。

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