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優しい強者の責任感

イギリスドラマの「ダウントン・アビー」が大好き。煌めく貴族文化を垣間見つつ、様々なキャラと人間模様…世界中に熱いファンがいる作品です。
で、DVD見返してそうだったのか、と気付いた。グランサム伯爵がすごくいい人だってこと。温かな心の持ち主。だからすべてのキャラが輝いていたんだ。
作品で描かれるのは、タイタニックの沈没から第一次大戦後の時代。女性の社会進出はまだまだ少なく、様々な身分差が大きかった。グランサム伯爵はイライラしたり怒ったりすることはあっても…結局は優しく理性的な決断をします。当時の城の主といったら、何ごとも自分の思い通りにする暴君の方がリアルだったかもしれない。でもこの、懐深い愛すべきキャラのグランサム伯爵だったから、安心してドラマを観続けることができた。
グランサム伯爵は、城の主として、貴族、つまり裕福な者の責任を自覚している。使用人を簡単にはクビにはしないし、社会の平和のために貢献するという行動原理を持っている。
身分差が大きい社会がいいとは思わないけれども、今も昔も貧富の差がなくならないのだったら、富裕層の人々にグランサム伯爵のような精神は不可欠と思う。困窮している人々を救おうとする試みは、多くの善意ある人々で進められているけど…日本ではお金持ちがそうした活動を胸を張ってしにくいよう。
超お金持ちは日本にも存在していて、その世界を垣間見た人たち…一流飲食店の従業員とかハイブランド主催の講座の講師とか…から話を聞くと、そんな世界が!って驚く…普段は見えにくいけど、確かに日本にもあるんだーと。
スペシャルお金持ち…海外口座を持ったり多様な節税対策をするような…を取材してきた方の記事を新聞で読んだことがある。日本の超富裕層は周りからそう悟られないようとても気を遣っているとのこと。さもありなん。金持ちが堂々と金持ちであるように振る舞うことが難しい。嫉妬をかうリスクが大きいし、“質素が美徳”の美学が社会に深く浸透していることもあるし。
お金っていくらあってもすてきと思う。節約を楽しむのもお金があるからできること。多くの人が、そのゾーンで暮らしたいのが本音。金持ち臭を露骨には漂わせず、そこはかとなく匂わせるような上品な金持ち、が理想とされているかと。
富ある者は、何より心に余裕ができる。もちろん人それぞれに深い悩みはあれど、今日食べるお米もない的な恐れはまずない。
精神的余裕のある強者が、弱者を労わり余裕を分け与える。それが、どんな封建的な世界であったとしても、人間が社会を長年維持できた、大きな理由に感じます。

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