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沢木耕太郎インタビューに感じたこと…凡人も自由に生きるために闘っている

先日、NHKクローズアップ現代で沢木耕太郎さんのインタビューを観ました。「自由」の意味について、改めて考えさせられた。
彼の著書で有名なのは「深夜特急」…何冊かは読んだはず。…当時、世界を旅するバックパッカーのバイブル的存在だったイメージがあります。
私にとって印象的だった本は、藤圭子さんのノンフィクション「流星ひとつ」。彼女が自死したあとに出版されました。昔のインタビュー会話をまとめたもの。新潮社HPによれば、1979年に彼女が歌を辞めた直後に行ったインタビューで、33年間封印されていたのだとか。歌手として売れた彼女につきまとう父親って最低、前川清さんってなんていい人なんだ…藤圭子さんがすごく頭が良い子だったったことも印象的。
確か沢木氏は、藤圭子さんが生まれた娘のことをどんなに慈しんでいたか本人に知らせてあげたい、と語っていた…そう記憶しています。
新刊は、終戦末期に大陸でスパイとして生活した方のノンフィクション。面白そうね。終戦後も8年間大陸で旅をし続けた…物乞いの群れにまぎれながらという過酷さ…そうです。読んでみたい。旅人というのが何か沢木耕太郎的…と感じますが…。著者のシンパシーは、そうした旅話よりも、帰国後淡々と日常を過ごしていた彼の生き方にあるようです。そこに理想を見出したとか。
大沢たかおさん…沢木耕太郎を演じた経験がある…の言葉が、胸に響きました。自由は求めないと得られないがそれはけっこう痛いもの、私たちはある程度の枠の中でしか自由でなく、それも自由と言えるだろうけど、沢木さんが求める自由は少し違うことろにあるような、誰にも入り込めない自由、世界中の誰も何も言えない自由…etc
沢木氏曰く“文章を書くということの中で何らかの制約は受ける。いい仕事をしていれば選択の基準は広がる。その制約をできるだけ排除していって、自分が選択できる幅を広くする”“大げさに闘う必要はないけれどひそかに闘って自由の幅を広げていいんじゃないか”
どんな生活でも、なんらかの制約を受けざるを得ないのが私たち。でも、自由がなくては、息をしているだけでは、生きられない。安冨歩さんが書かれている「別チャンネルで自愛を育てる」生き方とも、通底するものを感じました。
どんな凡人も、自由なしには生きられない。その、質は違っても。
彼らのような才能がなくてもどんな凡人も、自分の自由を広げるたに、その人なりに闘っていることを、改めて感じた番組でした。

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