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記録3(夢と魔法の王国行き夜行便)

 関東に行く時だけ夜行バスに乗る。新幹線はフリーターの賃金では厳しいものがあるし、バスの昼の便では遊べる時間が限られてきてしまう。体力の許すうちは夜行バスで十分だ。
 関東に行く時と言っても基本的には夢と魔法の王国にしか行かない。一度だけ友人と東京観光をしたが、これは一人では無理だとその時判断した。(街の複雑さに疲れ顔色が悪過ぎたのか親切なおじ様に優先席を譲ってもらった、その当時私は18歳だ)それ以来、東京には誘われてないので行っていない。王国は人こそ多いが人の流れは読めるし、地図も頭に入っている、物価が高いのは問題だがそれは東京も同じだ。最近一人で行ってきたので、その時のことについてその中でも夜行バスに乗っている時のことを書こう。王国内の観光も楽しませてもらったが今回は割愛。
 私は夜行バスが結構好きだ。友人は時間がかかり過ぎるし、着いた後が地獄だと言っている、それには概して同意だ。しかし、長時間暗闇の中で過ごすのはなかなか乙なものだと私は思う。市街地を走る間はバスも細かく曲がり車体も揺れる、だが一度高速に乗ってしまえばあとは気にはならない。カーテンの隙間から高速道路の照明が規則的に差し込んでくる、私はそれが好きで眺めてしまう、BGMはなし、隣を車が追い抜いていく音がひたすら続く。
 それには一瞬で飽きてしまう。そうしたら、ひたすら頭の中で考えを巡らせる。ずっと頭の中で連載してるお話を練る。頭の中にあるお話は世の中に出さない限り永遠に名作、時には真剣に泣いてしまう。夜行バスの中で嗚咽を漏らしてしまわないようになるべく思考の浅瀬でチャプチャプする。途中途中でサービスエリアに泊まったら飲みのものを買い。また脳内再生をする。そんなこんなで5、6時間はいける、残りの2時間は夜行バスにはもう乗らないと唱え、そうしたら到着する夢と魔法の王国。
 しんどいけどやっぱり好き夜行バス。

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