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『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(Netflix 16話)』を観ました。

どうしても見たくなった作品で、このドラマ観たくて3年ぶりにNetflix復活してしまったくらい。チラッと動画で見て気になってしまったのがウ・ヨンウの自己紹介のシーン(「私の名前は逆から読んでもウ・ヨンウ(우영우)。キツツキ、トマト、スイス、子猫、南」)

天才的な頭脳と自閉スペクトラム症を持つ、大手法律事務所の新人弁護士 ウ・ヨンウ(パク・ウンビン)が様々な事件を解決し、真の弁護士に成長する、ヒューマン法廷ドラマである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウ・ヨンウ弁護士は天才肌

まるでペンギンのような独特の歩き方といい、ドアをノックした後に自分で数を数える動きといいウ・ヨンウの動きがあまりに可愛いらしい。フワフワと漂うようなゆっくりした目の動きとか、本当に自閉スペクトラム症の人が演じてるのかと思うほど(他のパク・ウンビンさんの作品も見はじめてしまった)。

観てますます引き込まれたのは、ひとつひとつのお話があまりによくできているということ。一話一話が一本の映画作品を観てるかのように見事に完結していて、どれも同じパターンに収まっていない。そして、登場人物のキャラクターがクセがあるがみんな愛おしい。全部で16作あるが、どれも面白くて「全くハズレなしって、神作かよ!」って驚いた。

ウ・ヨンウがクジラやイルカが異常に好きということで、ビジュアルイメージに泳いでいる姿なんかが出てくるが、これが自閉スペクトラム症というとっつきにくくなりかねない題材への架け橋みたいになって、圧倒的に作品が見やすくなっている(文字の色使いとか漫画風の絵とか美術が見事すぎる)。以下オープニング。


それでいてきれいごとだけじゃなくて、学校時代に回想ではことごとくイジメに遭うウ・ヨンウの姿。「ホントにみんなそういうのやめてあげて」とくやしくて泣けるが(あまりにイジメられるので休み時間に職員室にチョコンと座っているのが愛おしい)、そんな場で出会う親友のトン・グラミ(ウ・ヨンウとの挨拶が最高!)に本当に救われる。そういうキツイ部分の描き方のバランスも見ていられないほどにはしていなくて見事。

こんなドラマを観たら「私もいつかこういうドラマを作ってみたい」っていう若いやる気のある人が育ちそう。そう思えるくらいキャラクターに対する愛情や、お話に対する愛情をこんなにビシビシ感じる作品にはなかなか出会えないと思う。
見て見て欲しい。「1ヶ月だけNetflixに入ってみようか」っていうのでもいいから一度見て欲しい。

基本は法廷サスペンスドラマなので、そこで出てくる事件がどれも興味深い。女性ばかりが職場をリストラされた件や、宝くじが当たって三人で分けるって言ってたのに分けない件なんかはわかるが、かなり攻めた話もいくつかある。
学校終わって塾に行く子供のバスをジャックして、山で思いっきり遊ぶハーメルンの笛吹き男な件はかなり好き。ウ・ヨンウと同じ自閉スペクトラム症のある女性がボランティアの健常者の男性と性交渉をしてしまい、その女性の母親が健常者の男性を訴えるような件とかは、「好きなのかもしれないが、もしかして利用されているだけなのかもしれない」というかなり難しいところに踏み込んだお話。

ドクドクしい蛍光色の炭酸飲料のような騙し合いや殺し合いのお話が多い中で、今作は逆に天然水のミネラルウォーターみたいに清々しい作品であるが、こういうやさしい作品もアリなんだということを見事に証明して見せてくれたような気がする。
(今作はNetflixで見れますが、元々は韓国のケーブルテレビのENAチャンネルで制作されたとのこと。よくぞ作ってくれました)

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