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【映画】マッドマックス 怒りのデス・ロード

BDを買って何年も放置していた映画。
今度『マッドマックス:フュリオサ』が公開されるのでいいかげん観ないとならないのでした。
マッドマックスシリーズ自体、「観なきゃ」と思いながら40年間放置していたのですが、去年になって配信で1作目と2を観ました。
『2』の方が面白いのはもちろんですが、『北斗の拳』そのまんまという感じがして(元ネタが割を食う、よくある現象)、警察などの体制が存在しつつ機能を失っていく時代の感覚がある1作目が意外と印象的でした。
つまり一種の未来史ものとして面白いのですね。
『サンダードーム』も観ようとは思いますが……

さて公開当時から絶賛されていた本作ですが、想像以上に優れた作品でした。
『北斗の拳』だけでなく様々なフィクションでさんざんコスられた設定ながら、その最前線を走ってやろうという気概の感じられる、極端なデザインがいっぱい。
『チキチキマシン猛レース』のようなバカさを真剣にやっていて、それもイモータン・ジョーによるカルト的な統制のもとで機能するんだろうなって思わせるようになってます。
「なんでギター弾いてるやつがいるんだよ!」って思うけど、祭りの山車で喧嘩することで宗教的な求心力を作り出そうとしてるんだろうとわかり、説得力は十分あると思います。
さらに、アクションシーンを中心に、コマの速度をあげて少しコミカルにすることでスピード感と非現実感を醸し出し、世界観をしっかり構築しています。
そのテンションの高さが持続する演出や編集は素晴らしいです。

その上、物語がとても面白い。
単純明快な見た目の中で、意外なことが次々と起きる脚本もかなり良くできているんじゃないでしょうか。
無口なマックスとフュリオサが中心になることで、状況や周囲のキャラクターがドラマを転がしていきながら主人公たちの存在を浮かび上がらせています。
また、このシリーズの基本的な利点として、多くのアクションシーンが走行する自動車とその周囲で行われていることがあると思いました。
周囲に何もない荒野ですが、自動車はかなりのスピードで走るので常に一定の方向感が出ます。
これによって人物の位置関係もわかりやすくなっていて、複雑なアクションが見づらくならないのは上手いなーと思いました。

一点、マックス役のトム・ハーディがカッコ良くないのは見方が別れそうですね。
その分、シャーリーズ・セロン演じるフュリオサが異常にカッコ良く、その他の女性キャラクター(若い人たちも、おばあちゃんたちも)がどんどん目立ってくるのは、フェミニズム的とは言わないまでも現代に新作を作る意義が感じられました。
もう一人の男性キャラクターのニュークスもとても可愛くて良かったです。

公開当時の映画ファンの熱狂の意味がよくわかりました。
当時とりあえず映画館行っておけばよかったなと思う作品ですので、次の『フュリオサ』は劇場で観られると良いなと思ってます。

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