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その渦中にある人に、どうすれば言葉が届くのだろうか

 2015年当時、わたしの残業時間は月平均80時間くらいでした。

 そのころも今と同じように、過労死や過労自殺のニュースが世間を騒がせたりしていました。高橋まつりさんが電通に入社するちょっと前の時期です。

福井県若狭町立上中中学校の当時27歳の男性教諭が、2014年10月に自殺。この教諭は同年4月から同校で勤務していたが、同年6月までの3ヵ月間に残業が月120 - 160時間超に上ったとされる。
西日本高速道路に2013年から勤務していた男性が、2015年2月に同社の寮で自殺。この男性は(中略)最長で月に約178時間の時間外労働を強いられたほか、約36時間連続の勤務もあったことで、うつ病を発症していたとされる。

 さて、こういった報道に触れるたびに、わたしはこう思いました。

「自分の残業時間なんて少ない方だ。まだまだ弱音を吐いてはいけないな。もっと頑張らないと」

 あとから考えれば、狂ってるとしか思えない感想です。しかし、当時のわたしにとっては自然な発想でした。もっとたくさん残業をしないと、辛いと感じてはいけないのだと。それは甘えなのだと。そのように感じました。

 このニュースを報道した方々は、そう伝えたかったわけではないと思います。



 自分自身がその渦中にあるときは、メッセージは曲がって届くのだ、と後になってみればわかります。でもそれを自覚することは難しい。

 だから、なにかを伝えたいと思ったとき「その渦中にある人に、どうすれば言葉が届くのか」を、自分なりに一生懸命考えるようになりました。



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