ついさっき
テレビに出てきた琥珀糖

これを見て思い出した記憶で潤む私の目
あぁ。まだ乗り越えてないのか？
んー。でもちがう気がする
ただ、その時の気持ちが大きかったから、簡単にその時の切なさを思い出すだけなんだと、そう思う

娘が不登校になる直前だったな
ネットで話題になっていた琥珀糖を作っていた
とっても綺麗でしょう？って、出来上がったことを喜んでいるように見えた

つくりあげた琥珀糖は、タッパーに入れて、冷蔵庫の中に保存されていた

わたしはてっきり学校に持って行くものだと思って手をつけなかった 

デザートを作るのか好きで、それをお裾分けにどこかに持っていくのは、私の習性
それを見て育ったうちの子は2人とも、よく学校に持って行って、友達に分けていたのを知っていたから

でも、砂糖と水とゼラチンで出来た琥珀糖は、悪くなることも無く、ずっと冷蔵庫の中にあった
何ヶ月も、ずっと

そう。作った直後から鬱で学校に行けなくなった
きっとあの時も辛かったはず
なのに、作っていた
食べないでね、という一言と共にその琥珀糖はずっと冷蔵庫の中で保存されていた

きっと、作った時は友達と分けようと思って作ったはず
だから食べないでね、と言った
娘は学校に行こうとしていた

絶対に手をつけない！いつか学校に行くんだ！って私はどこかに希望を残していた
娘はどんな気持ちでいつも冷蔵庫を開けていたのだろう

その、娘の気持ちが切なすぎて、苦しくて「琥珀糖」と聞いただけでその気持ちが蘇ってきた

その琥珀糖は、娘が転校し、気持ちを入れ替え、新しい希望を持った後に、私が全部食べた
一応娘の承諾を得て

娘は手をつけなかったから

ひと粒も残さず私が全部食べた

いつまでもあの時の気持ちに引きずられて欲しくなかったから、全部食べた
食べてやった
どこかでコノヤロウ！ってどこかに悔しい気持ちを抱きながら、全部食べてやった

喉元に涙の塩っからさを感じながら、甘い甘い琥珀糖を飲み込んだ

もう、全部記憶の中の娘
今は天真爛漫
本当の娘の姿で楽しんでいる様は、心からありがたく感じる

よく頑張ったね