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社内発、ドバイ経由、高校生行きの琥珀糖


「娘がね、あの黄色いカケラがなんだったか知りたいらしくって」

そんな連絡が来たのは2週間ほど前。メッセージの相手は去年の6月に退職した元同僚だった。
旦那さんのドバイへの転勤が決まり、大変なご時世ながらも移住することになって日本を発った彼女。
バリバリのキャリアウーマンというよりはふんわりおっとりとしていて、いつも優しく穏やかな人柄に、殺伐としている社内が癒やされるような、とても魅力的なオーラを纏う女性だった。

2人の娘を持つ立派なお母さんだったが、すらっとしたプロポーションにナチュラルな服がよく似合い、日によって変わるシンプルなラインの指輪やピアスなどのアクセサリーに私はいつもびっくりしながら感心していた。
彼女はおばさんでもお母さんでもない、お姉さんだ。
うちのお母さんとは大違いじゃないか。
私の母の、彼女と同い年の頃と言ったら。指輪もピアスもしているのなんて見たことがない。(それは今でもだが)
いつだってジャージにエプロンで、スイカで宇宙船を作ったりそのへんから持ってきた板にワニやらおばけやらを描いて釘を打ちまくっていた。

いや、時代も違うし住んでいる場所も趣味も生き方も違う。
比べてはいけない。母のお母さんっぷりもとても好きだ。
「みんな違ってみんないい」のはわかっているのだが「言うてもオシャレなママがいい」感もぬぐえなかった私は、彼女のお洒落で年齢を感じさせない永遠のお姉さんのような姿に密かに憧れを抱いていた。

そんな彼女が連絡をしてきたのは、私が去年のバレンタインデーに職場の人にあげた琥珀糖のレシピを知りたいという内容だった。

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