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「名画座のある暮らし」はじめました。

映画は好きだけど、「映画好き」と言えるほどではない私。
話題の映画が出ても「ちょっと待てばWOWOWでやるから」と待つタイプ。

そんな私が、毎月最低でも2回は映画館に行き、月に最低4本の映画を観るようになって1年以上がたった。 
、、、1年以上!? と書いて自分でもちょっとびっくり。
ぼちぼちフリーランスで就業時間を自分でやりくりできるので、平日昼間の混みにくい時間に外出&観賞できる、というのも理由だろう。けど、そもそもが出不精なので、よほど性に合わないと続かないはず。

というわけで、名画座通いを続ける理由を考えてみました。

名画座に通いはじめたきっかけ&通い続ける理由

昨年から、2週に2本ずつ映画館で映画を観る習慣ができた。都内にある名画座、ギンレイホールの会員になったからだ。
11,000円で会員になると、年間何回でも観れる(シングルカードの場合)。
ここは、映画好きの両親が以前から通っているところで、昨年父から、「名画座の会員券はいるか?」と聞かれたのが事のはじまりだ。

「コロナで映画館も大変で、クラウドファンディングっていうの? やるっていうから、応援(寄付)しようと思って。その応援のお礼に年間何回でも見れるフリーパスがついてくるんだけど、お父さんもお母さんももう持ってるから、あんたが観るならあげるけど」

はいはい、ぜひにと、ありがたくいただくことにした。
通いはじめたら面白くて、1年を過ぎたこの秋は自分で更新をして、せっせと2週に1度、軽子坂(神楽坂のお隣の坂)通いを続けている。

なにがいいって、銀幕とよい音響で観る臨場感はもちろんだが、

自分では選ばない作品にも出合えること
「たくさん観るほどお得」という貧乏性の人間の尻を叩く仕組み(全部観たら、映画1本が約212円!)

これがすばらしい。

もちろん、自分で選ぶわけじゃないから、嗜好にはまらない作品もある。
でも、観たい!と思って見た映画だって、観終わって「……」な微妙なものもある。
逆に、たいして期待していなかったものが面白かったときのお得感たるや、あなた、なんの期待もせずにドアを開けたら、「サプラ~イズ☆」と新しい世界が広がっていた、そんな感じ。
かっこよくいえば、この「新しい世界への扉」を開けたくて、私は名画座に通い続けている。

「37seconds」

「サプラ~イズ☆」といって現れるのは、新しい世界ばかりじゃない。
別の世界、と思っていたものが実はよく知っている身近な世界で、そこにいる人間は、同じような障害や葛藤を、抱えたり乗り越えたり手放したり受け入れたりしていたんだ、ということに気づくこともある。
『37seconds』は、そんな映画だった。

この映画に出てくるのは、私達の周りにもいそうなフツーの人たち。優しい人もいるし、無神経なやつもいる。一人の人間の中に、いいところもあるし、嫌なところもある。
主人公は薄幸の美少女じやないし(ただし素直さと情熱はピカイチ。努力できる才能もある)、王子様が鬱屈した世界から救ってくれてハッピーエンドなシンデレラストーリーでもない。
たぶん、みんながみんな面白い!と思う映画じゃない。

だけど、名画座について書こうと思ったとき、一番最初に浮かんだのは半年以上前に観たこの映画だった。

正直にいうと、「主人公が生まれつき半身不随で車椅子」という時点で、「障がい者のリアリティを描いた社会派なお勉強映画」的なものを思い浮かべてしまい、さらに正直に言うと、「知っておくべきことだけど、心の準備をして見なきゃいけないちょっと気の重い作品」だった。
それが、気がついたらワクワクしながら銀幕に釘付けになっていた。
何コレ、ユマちゃん、行動力ありすぎでしょ!
と主人公の素直なパワーに圧倒されていたた。
「障がい者の映画」と無意識にくくっていた自分は想像力のないアホだと実感。「成長と自立の物語」じゃんか、コレ。

もちろん、半身不随の身体のリアルもいろいろ出てくる。そこは純粋に大変だなと思う。本人も周囲の人間も。
でも、それを他人事じゃない地続きのこととして感じられる。主人公が乗り越えようとしていることが、私たちが直面していること、するであろうことと同種のものだと実感できる。

たとえば、私の親は今はまだ元気だけれど人生の終盤に家族や他人の手を借りて生きる可能性は大きい。
そして、それはまだまだ働き盛りの私自身に起こってもおかしくないことだし、考えたくないけれどまだ若い私の息子たちにも起こりうる事態だ。

そんな当たり前だけど、できれば避けたいがゆえに想定することすら拒否して思考停止しちゃいそうなことを、
「まぁ、でも、そうなったとしても人生は続くのよね」
と自然に思わせられちゃったなぁ、というのがこの映画への率直な感想だ。
そう思えたのは、日常生活での苦労やできないことへの絶望と同じだけ、たとえそうなったとしても、自分の想いで実現していけることが描かれているから、だと思う。
そして、それを応援してくれる人も、必ずいるってことも。

みっともなくて不器用でもいいから、やりたいことをあきらめない勇気、そういうものをを思い出させてもらった。
たぶん、それが半年以上前に観た、この映画を思い出した理由だと思う。

「好きな役者」を見つける楽しみ

もう一つ、『37seconds』で私が知った新しい世界は、役者さんの世界だ。
いい役者ってたくさんいるのねー、とあたり前と言えばあたり前のことを実感した次第。

大々的に宣伝するや映画で目立つのは、売れっ子の俳優さんで、アイドル的な存在にもなっている人たち。
もちろん、そういう人たちは魅力的で演技も上手い(人が多い)。主役やその周辺の役が多い。

でも、ブラックバスターじゃない映画にも、いい役者さんがたくさん出演している。
そもそも、映画通でもドラマ通でもない私は、俳優さんに詳しいわけではないから、いい作品との出合いは、そのままいい役者さんとの出合いとなる(いい監督さん、いいスタッフさんとの出合いでもある)。
今作品では、主人公を未知の世界へガイドする女性役の渡辺真起子さんがそれ。サラッとしてるのに、あったかくて、かっこいいなぁ、と思える女性を演じていた。
調べたら、たくさんの映画やドラマに出演しているベテランだった。ほとんど使っていないインスタでつい彼女をフォローしてしまった。

その他、主人公のお母さん役の神野美鈴さんは、ジャズピアニストの小曽根真さんの妻だと知って、「へぇ~」となったり。

たくさんの新しい世界への扉がこれからも開くといいな。

年内にもう一度、軽子坂を上る予定だ。


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