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Aixのルネダンジューに想いを馳せて

2018年、私は作品の出展のためにAix-en-Provenceに訪れ、この街が大好きになると共に、この土地に残る歴史にとても心惹かれました。
そしてこの地を治めたルネ王の歴史ロマンにはまり、「ルネ王の物語」という作品を作りました。

ルネ王の物語

この作品はルネ王とイザベル妃の歴史から生まれました。

ルネ王がナポリ王位争奪戦で囚われの身になった時に、イザベル妃は夫、ルネ王の救援のため、軍勢を率いたこともあり、助かったルネ王と二人でマルセイユに戻ったそうです。国を守る立場に生まれた男女の愛と勇気の物語。

きっと当時のプロヴァンスの人たちもルネ王とイザベル妃が誇りだったことだろうと思いました。

この作品を製作中、とても大きな被害をもたらした台風がありました。その台風がが過ぎ去った翌日、外にでると太陽の日差しがとても眩しく、雨粒を残した草花たちが輝いていました。

そんな景色を見て、ふとルネ王に思いを馳せました。
どんな嵐もいつかは過ぎ去り、太陽が輝き、美しい景色を見ることができる。

ルネ王とイザベル 妃がマルセイユに着いたとき、きっとこんな風な安堵感を感じたことかもしれないと思いました。

作品の中には草の上に落ちた雨粒やマルセイユの海や空を入れました。
天から降り注いた雨は、川になり、海になり、旅をする。その旅は決して、好きな場所、好きな流れを選べない。
それはルネ王とイザベル妃のようだと感じました。
けれども、美しい風景を目にし、大切な人との幸せな時間もある。

作品の中、上下で向き合っているカモメは王と王妃の再会をイメージしています。
また中央のバラはエクスアンプロヴァンスのロワルネ通りの白いバラです。
歴史の記憶を残した土地に咲く白いバラは、いまでもその歴史を知っているかのようです。そして悲しみの記憶を癒し、今を生きる人たちの幸せを願い咲いているかのようです。

エクスアンプロヴァンスに着いて最初にこのロワルネ通りのバラを撮影しました。その時に、街の人から声をかけられました。
といってもフランス語で何を言っているとかよくわかりませんでしたが、カメラを貸してと言っているようしたので、カメラを渡すと、なんとバラの花を背景に私と主人の写真を撮ってくれました。
そうした優しさ溢れるこの街の人たちの心が、こうした美しいバラを咲かせているかのように感じました。
エクスアンプロヴァンスのバラを見ていると、バラの花は過去と現在と未来をつなげる不思議な入り口ように思えてきます。

歴史ではイザベル妃がなくなった後、ルネ王は再婚するのですが、新しいお妃様を笑顔にするためにとカリソンというお菓子を作ったというお話があるそうです。
そうした愛の込められたお菓子が、今もなお、伝統菓子として残っている。

この街の人々が、皆とても優しく接してくれるのは、そうした伝統を守り、優しさ、思いやりを大切にする心を代々つないできたからなのではないかと感じました。

またルネ王は自らも詩人、芸術家であったとの文献がありました。
もし生まれ変わって今の世にいたら、きっとエクスアンプロヴァンスでアーティストになってアートを通して平和な世界を発信したのではないかなと思います。

この作品は、エクスアンプロヴァンスのジュルダン公園で毎年開かれるアートサロンに展示する予定でしたが、コロナのためそれが叶わず、スイスに近い場所での展示となりました。

いつか、ルネダンジューの歴史ある地で、その土地と共に暮らす人たちに見てもらいたいです。

「ルネ王の物語」
ルネ・ダンジュー 美しい音楽を愛し
ルネ・ダンジュー 美しい物語を愛し
ルネ・ダンジュー 美しい絵画を愛し
ルネ・ダンジュー 多くの民を愛した
とても優しい王の とても勇敢な王の 数奇な運命の物語

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