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人工湖面に建つ「水の美術館」

「新建築」が回覧で回ってきた。
私の中で面白いなと思う建築物に出会わなくなって久しいが、この日、それは突然目の前に現れた!

その名も「水の美術館」だ。

場所は中国山東省。

「水の美術館」と名付けられているが、この建物自体がもう芸術か?と見まごうばかり。

長さ1km。
往復するだけで大変だ。

湖面に建つということはその下に柱があるということで、竣工後の今、とても幻想的だ。

室内に入り込む水。

こんなこと日本では考えられない。

金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」。
これですら驚いたのに。

ちなみに私は金沢は元より、これが見たくて金沢に行ったと言っても過言では無い。
上からも下からもとても楽しかった。


話を戻そう。

今回の場所は中国。
行くにしては私にはハードルが高い。

だから私は雑誌を食い入るように見た。

久しぶりに、文字も読んだ。
何しろ回覧。
読む時間はあまり持てない。

それでも、久しぶりに建築の話題を書こうと思うには十分過ぎるインパクトだった。

上空から見る美術館は、湖面と同じ長さで儚げにのびる屋根。
印象としては「天の橋立」のようでもあった。
そこに妹島和世氏のような細い柱が建ち並ぶ。

少しうねりを見せる屋根がまた、龍の様でもあり、幻想的だ。

室内は砂州のような佇まいの多目的廊下。
ここを「廊下」と呼んでいいのだろうか?と思うほど美しい。
全体的に白いのがまた、湖面の透明さと合っている。

水面が室内に入ってくるという発想がまた突飛でもあり美しい。

実際に写真上、ネット上で見ても惚れ惚れする。
遊び心も感じる。

湖面と陸(廊下)の際で、湖面に触れてみたい衝動にも駆られる。

何より歩いてみたい。

湖の上にある廊下。
なんて不思議なんだろうか。
建築はここまできたのか!と思わされた。

湖上を歩いてるが廊下を歩いてる。
パラドクスのようでありリアルでもある。
この建物の真髄のような気がする。

現在、カカオの展示スペースもあるという。
どのくらい先までこの香りはただようのだろうか。

そうして私のこのnoteは終わる訳だが、最後に建築家の引用で締めたい。

これがまさしく、この建築美を物語っているから。

敷地である湖の上に、湖と同じ1kmほどの長さで、端から端まで、その水面にそっと触れるように、建築と環境を新たに同時に静かに延ばしていく。湖という透明な水平面を建築の内側に引き込み、水面という人間が歩くことが叶わない環境に、まるでその湖面を滑るかのように延びていく床面を新しい陸地として想像する。水の中に沈んで建つ列柱とその上に帯のように浮かぶ屋根面。その内側に引き込まれる新しい水面と地面との境界。これらのことを同時に想う。等間隔に反復する柱は新しい水面を規定し、その水面がつくり出す水際は新しい地面を規定する。建築の内側に新しい外側が生まれる。

僕たちと優しく寄り添うことができる新しい自然が建築の内側に現れるのである。

建築家のテキストより

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