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寄り添ってくれるキャリアアドバイザーとは

今回のテーマは「寄り添ってくれるキャリアアドバイザー」についてです。

相談をした時、親身になって相談に乗ってくれて、希望の求人を見つけてくれて、優しく対応してくれるキャリアアドバイザー。
こういった人に対応されたいと思いませんか?

残念ながら、私は思いません。
人材紹介の裏側を知っているからこそ、単に「気持ち良い対応」をするだけのキャリアアドバイザーとはお付き合いしたいとは思っていません。
「正しい対応」をしてくれるキャリアアドバイザーとお付き合いしたいですし、それが出来ななら「自分が考えるから口出ししないで欲しい」と思ってしまいます。

人材紹介の裏側について少し説明していきます。

①KPIについて
人材紹介の会社のキャリアアドバイザーはKPIを追っていることがほとんどです。
自分が対応した求職者の中で、何割を転職に導けたのか。このあたりを細かく分解されたKPIを追いかけています。
そうすると何が起こるかというと、厳しいことを言って「逃げられた」なんてことが起こったらKPIに影響が出るから困ります。
そうならないように「相手に合わせた」コミュニケーションを取り始めます。
相手が言っていることが多少間違っていても、それを肯定して求人を渡して、そこに内定が出るようにフォローします。
入社すればお金になるので、それで終わりです。
入社後の活躍やその後のキャリアは特に気にする必要はありません。本人が言った希望を叶えたのだから問題ない。というスタンスです。
相手に言われたことをやっただけ。という人がキャリア「アドバイザー」を名乗っていることに違和感すら覚えますが、そういう裏側があります。

②おすすめの求人について
年収が上がる、福利厚生が良い、リモートワークがある、有名企業である、等、耳障りの良いキーワードを基にして、大手企業の求人ばかりを紹介してくる人材紹介会社があります。
「自分がこんな大手に!」「こんな有名企業に!」と心躍る方がいるのも事実だと思います。
ただ、なぜおすすめの求人が存在するのでしょうか。というのも裏側があります。
何が起こっているかというと、、、

・一時的に紹介手数料がUPしている場合
例えば、通常は年収の35%で契約している会社が、一時的に紹介手数料を100%等にUPする場合です。
このパターンだと、年収1000万円の人を転職させた場合、売上が350万円から1000万円になります。約3倍です。
そのため、単純に自分の売上になるから紹介していることになります。

・大手の方が紹介が楽だから
無名のベンチャー企業を紹介するのって、結構大変なのです。
知らない会社、知らないビジネスモデル、成長するかの不安等、いろいろなことを払拭しないと、応募してもらうことすらできません。
そのような中で、超大手企業や有名企業であれば、会社名を伝えるだけで不安を覚えられることはありません。
また、内定が出た際にも、不安がある、家族が嫌がっている等と言われるリスクも低いです。
つまり、紹介してからの応募率が高い、内定が出てからの承諾率が高い。という2点があげられます。
キャリアアドバイザーとして、相手の不安を払拭するという一番面倒な作業を何もしなくてよいというのが楽なポイントです。

・内定が出る求人を紹介する
本人の中長期的なキャリアではなく、目先の目標に対して「内定が出そう」な求人だけを紹介するパターンです。
当然、絶対に内定が出ない求人を紹介することは意味不明ですが、「高確率で内定が出そう」な求人だけを紹介するキャリアアドバイザーがいます。
これであれば、かなり高い確率で「自分の紹介した求人から」「複数の内定が出る」という状況になります。
最終的に「自分の紹介した求人のどれかで承諾する」という率を高めにいってるだけです。
これも本人の中長期のキャリアを意識しておらず、目先のKPIやお金に執着しているだけです。

上記のような観点から、おすすめ求人と言って「大手」を紹介される場合には裏側があるんだろうなと思って判断してしまいます。

③候補者からのクレームになる
人材紹介会社にクレームが直接来ることもあるのですが、ビズリーチやリクルート等の媒体を運営している会社にクレームが入ることがあります。
それを防ぐ意味でも「正しいことを伝える」ではなく「気持ちよくなってもらう」ことをフォーカスしている人材紹介会社は多いように思います。
求職者の方に対して「本気で将来を考えてほしい」と思えば、厳しいことや辛いことを言う場面は必然的に多くなります。
一方、そういう対応をされると凄く嫌な顔をする求職者が一定の割合(定量化しませんが、結構な高確率)でいる印象です。
嫌な顔をされると、応募もしてくれませんし、キャリアアドバイザーのことも嫌いになりますし、クレームのリスクも高まります。
これだけ聞くと何も良いことはないように思います。
しかしながら、求職者の方が本当に進むべき道は「ここだ!」というものが見えているのであれば「それを言わないこと」自体が根本的な問題だと思っています。
多少嫌われ者になってでも、求職者自身に本当のことを伝えて、それによって1人でも多くの求職者が圧倒的に幸せになってもらえる方が重要な気がしています。

■最後に
弊社では、厳しいことを平気で言います。
紹介する求人がない求職者には、そのことを伝えます。聞きたくないであろう背景も伝えます。
結果、嫌な顔をする求職者がいらっしゃることは事実です。

しかしながら、正しいことを正しく理解して頂き、通常だと描けないようなキャリアを描いている方がかなりの人数いらっしゃいます。
弊社では「正しいことを正しく」伝え、ご理解いただける方をお客様だと考えています。
甘いささやきに寄って行ってしまう気持ちも分かりますが、自分を律して、自分の将来を向き合って、進むべき道に進んでくださる方を応援したいと思っています。

求職者自身が想像しているより、更に良い人生やキャリアやを描きたい方にとって、信頼される人材紹介会社でありたいと願っています。