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不登校と中学受験(39)

ある子どもの中学受験と不登校(2)



灘中受験をやめ、確実に合格できるようにとした甲陽学院中に不合格になり、失意のまま小学校を卒業した彼。


春休みには、ご家族が気分転換になればと、何度か旅行に行って、その時はすごく楽しそうにしていたようです。

それでも、中学校の入学式には出席できず、このまま不登校になってしまうのかと、ご家族は心配をしていたようです。

それでも、小学校の時に仲良くしていた友達が誘ってくれることで、なんとか通い始めることができたようです。


遠足があったり、クラブに仮入部したりしているうちに、中間テストが近くなってくると、遠ざかっていた勉強にやっと向き合うことができ、少しずつ勉強をするようになりました。


中学1年生の1学期の中間テストですから、試験範囲も狭く、勉強量は多くないままでも、5教科とも90点以上を取ることができ、クラスでもかなり良い順位だったようです。

これに気をよくして、バスケットボール部でも練習もしっかりやりながら、期末テストでは技能4教科もありながら、クラスで1位になったのです。

そこで、何とか中学受験のリベンジをしたいと思うようになり、灘高校を目指すことを思い立ち、猛烈に勉強をするようになります。


始めた頃は、塾での点数は、まだまだ点数が取れなかったのですが、だんだん、点数も取れるようになってきて、1年も経てば塾でもかなりの上位にいたようです。

学校でも、TOPクラスの成績でしたし、クラブも真剣にやっていましたから、かなり自信も取り戻してきていたと、彼からお聞きしました。


ところがです。


万全の体制で臨んだ中2の学年末テストで、彼は、絶対に学年1位だと思っていたのですが、自分よりも上に2人もいて、1位が女の子、2位が男の子で自分が3位だったのです。


女の子は吹奏楽部、2位の男の子も野球部で頑張っていたので、クラブを辞めてまで勉強することは、負けた気がするので、クラブでも手を抜かず、努力を続けたのです。


春に受けた駿台の中3模試では、女の子は受けていなかったのですが、2位の男の子は受験していて彼には勝っていたので、学校のテストでも負けたくないと思い、頑張ったのですが、1学期中間テストでは、上位3人の順位は変わらず、ものすごくショックを受けてしまいます。

それに拍車をかけたのが、この自分より上位の2人は、私立高校の上位を目指しているのではなく、公立高校の上位校を目指しているとわかり、灘高校を目指しているにも関わらず、自分は、彼らにも勝てないのか、と激しく落ち込んでしまったそうです。

クラブの引退もあり、何も手がつかない状態のまま、中3の夏休みに突入し、夏休みは塾にも通えず、何にも勉強しないまま過ごしてしまうことになるのです。


この時の落ち込み方は、中学受験の時以上で、ご家族が心配をして心療内科に連れて行き、精神科の入院を考えなければいけないまでになってしまったのです。


(つづく)




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