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“言っていること分かる?”

「伝わる」と「伝える」について思うこと

よく耳にする言葉で「俺の言ってること分かる?」が気になっています。
というか好きではない。

話を単純化するためにシンプルな例をあげると、
「つまりさ、野球って、ピッチャーよりキャッチャーの方が大事なんだよ。・・・、 言っていること分かる?」

音声としては聞き取れているけれど、「だから何が言いたいのか?」は分かったとも分からないとも答えにくい。

ピッチャーよりキャッチャーが大事だと考える理由が理解できるかを確認したいのか?
この言説に同意するのかを知りたいのか?
だから一番良い選手をキャッチャーにしようと言いたいのか?
キャッチャーは守備に専念させて打撃成績は気にしないでおこうと言いたいのか?


分からないとは言いづらい

よく耳にするんですね、エライ人がこういう表現をするのを。
特に自分でも「あれ?話の道筋が混線してきたな」と感じているんでしょう。だから、なおのことタチが悪い。

多くの人は「あなたの言っていることは分かりません」とは言いづらい。
本当は「あなたが何を意図しているのかによって、分かっているのか、分かっていないのか違ってくるから、まずあなたの意図を教えてください」と言いたいのだけど、言いづらい。

なんとなく曖昧な肯定をしてしまい、結局何が伝わったのかボンヤリしたまま会話は続いていく、、、。
「理解度の高さ」や「抽象的・不明瞭な言葉から意味を抽出する力」が「優秀さ」を示す、そのような組織文化の中ではコトサラです。
こういうのを大企業病と言います。

「俺の言いたいこと」はまず伝わっていないと思った方がよいでしょう。


「上司=伝える人、部下=理解する人」という構図を手放す

ではどうすれば?ということですが、ここに「対話」の大切さが表れてくると思います。

自分の伝えたいことがうまく表現できていないなと感じたなら、そのことを開示することから始めましょう。
「あれ?ちょっとうまく伝えられていない感じがしている」

自己開示が心理的安全性を高め、分からないことを分からないと言える場を作り出します。
特に大企業病に罹患している組織では「分からない」発言は自分の能力の低さを露呈するものと多くの人が恐れを感じています。

そして相手の考えていること、感じていることを出してもらいましょう。
「ここまでのところ、どう思う?」

対話は上下の関係やタテの関係ではなく、ヨコの関係です。
上司のみなさん、あなたが一方的に伝達する責任を負わなくても大丈夫ですよ。
不完全である勇気をもって、相手の力や知恵を信じて、オープンになってしまえばよいのです。

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