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第19話:推論の飛車角「演繹法」「帰納法」

前回のおさらい

考えることが得意な学問が哲学を紹介してきました。これからマーケティングの実践やマーケティング論を考えるときに哲学を知っておくと有利です。
その中でもマーケティング論と相性が良いのが科学哲学です。
科学哲学で研究されている論理的思考をうまく利用して現象を掴んで売上拡大に寄与できるようにしたいという話をしました。
今回は、まだわからないものを考えるときの方法、「推論」のをお伝えしていきます。

なぜりんごが木から落ちるのか

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アイザック・ニュートンが発見した「万有引力の法則」はあまりにも有名です。この引力があることをどう証明していくのか、法則であることなのかたまたま落ちるものなのかを考えなければいけません。

表題にある、「演繹法」と「帰納法」をつかってこれを考えていきましょう。

推論の方法:「演繹法」

まずは、「演繹法」を見てみましょう。

演繹法:「前提を論理的に組合せて結論を得る方法」

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前提の正当性や実証的妥当性が高いならば、結論の部分まで正しくなります。

・PならばQ、P、ゆえにQ。
・PならばQ、Qでない、ゆえにPでない。

前提に暗に含まれていた情報を取り出します。

万有引力の法則の法則で言えば、
P「物質にはその量に比例して互いに引っ張り合う力が働いている」のであるならば、Q「大きい物に小さい物は引っ張られる」のです。
ここにQ「大きいものである地球に小さいリンゴが引っ張られて落ちる」という観測事実があって、ゆえにP「物質にはその量に比例して互いに引っ張り合う力が働いている」のです。

推論の方法:「帰納法」

帰納法:「具体的事実の集合から一般性を保つ方法を抜き出す方法」

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枚挙的帰納法

ある特殊な命題から一般的な命題を導く方法です。

a1はPである。
a2はPである。

(きっと)すべてのAはPである。

個々の事例から一般化する。

万有引力の法則の法則で言えば、
・りんごは万有引力の法則でりんごより質量のある地球に引っ張らられて落ちる。
・重い石でも万有引力の法則でりんごより質量のある地球に引っ張らられて落ちる。
・東京タワーは万有引力の法則でりんごより質量のある地球に引っ張らられて落ちる。
すなわち、きっとすべての地球上に存在しているもの(地球より質量が小さいもの)は、質量が地球より小さいので引っ張られて落下する。という事柄が一般化するのです。

その他の推論の方法:「アブダクション」「アナロジー」

まずは、アブダクションです。アメリカの哲学者パースによって定式化された科学的探究の一段階のことです。演繹および帰納に先立って、観察された現象を説明する仮説を発想し、形成する手続きを指します。

Aである。
Hと仮定すると何故Aなのかうまく説明できる。
(きっと)Hである。

一番良さそうな説明へと推論する。

続いて、アナロジー。特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程のことを指します。

aはPである。
aとbは似ている。
(きっと)bもPである。

類比的に知識を拡張する。

まとめ

以上見てきたとおり、演繹法は正しい前提を使い正しいルールを正しく利用すれば、「正しい」回答に至ることが出来ます。
一方、帰納法は法則を「抽出する」「見抜く」段階で主観やセンスが入らざるを得ず、飛躍が生じてしまいます。しかし、現実の問題は演繹法で説くことが出来ることはむずかしいです。両方共使いこなさなければならない方法なので、うまく利用していきましょう!

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