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第18話:科学哲学とマーケティング

前回のおさらい

前回までは、経営学についてお話してきました。主に、マーケティング登場前夜までご紹介してきました。特に、沢山の人が関わる組織の中でモチベーションを維持しながらどう生産していくのかということが主な命題でした。
特にテイラーは自らがおかれた状況の解決のために科学的管理法を編み出して工場経営を効率化してきました。これは鋭い観察眼がないと生まれなかったと思っています。今日からはその鋭い観察眼や思考の仕方を知っていこうと思っています。

哲学と言っても千差万別

先ほどお話した、鋭い観察眼や思考の仕方と相性がいいのが哲学です。「コギト・エルゴ・スム」すなわち「我思う故に我あり」というデカルトの有名な存在の証明の話は、デカルトは方法序説で全てを疑っても残るものがあるんだ、それが私。疑っている私を疑うことが出来ない、だから、我思う故に我ありだ!と言ったわけです。

また、ニーチェは「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。」と言ったり、結構哲学の名言はこういう考え方の根幹を問うものが多かったりします。

特に、マーケティング論や現在あるマーケティングを分析するのにおすすめの哲学があります。それが「科学哲学」です。マーケティングもリサーチしたり過去の成功事例をまとめたり科学的な方法論、すなわち成功法則を辿ろうとする行為は多くあると思います。その法則性を疑うことから始めるのが科学哲学なのです。

科学哲学とは

科学哲学とは、

科学の存立根拠、科学的認識の確実さや妥当性を問う批判的哲学の総称。特に論理実証主義と分析哲学にこの傾向が顕著。
(出典:デジタル大辞泉)

と言われています。
まずそもそも科学ってなんぞやとなると思いますのでおさらいしていきたいと思います。

科学とは?

《science》一定の目的・方法のもとに種々の事象を研究する認識活動。また、その成果としての体系的知識。研究対象または研究方法のうえで、自然科学・社会科学・人文科学などに分類される。
(出典:デジタル大辞泉)

なるほど、一般的に思われている、

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これではないってことですね。
第2話ぐらいで自然科学と社会科学、人文科学の話ししたと思いますが、まさに学校で習う「理科」の話を科学としてはいけません。

自然や社会など世の中で起きている現象を、法則的認識をしようとする学問です。法則的認識は、論理的に立証されなければならないわけです。その立証の方法として、実験や観察や論理的推論などを用いります。
マーケティングだとABテストとかテストマーケティングしますし、動やったら成功するだろうとロジカルシンキングをすることは多々あります。

ただ、科学という言葉に踊らされてしまって科学が正しい!なんて勘違いしてしまうことがあります。先程もお伝えしたとおりその科学は万能ではないことを教えてくれるのが科学哲学です。

マーケティングと論理的思考

起きている事実(現象)を説明するのはとても大変です。
さらにそのメカニズムを解き明かす(推論)のも大変です。

例えば、、、
自分が店長をしているお店の売上が上がったとします。

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普通ならその原因を振り返ると思います。

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なるほど、売上が上がったタイミングで、購入特典をつけるキャンペーンを実施したようです。
普通なら、来年も同じキャンペーンをやりますよね?
しかし、、、

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がーーーん!
売上が上がるどころか下がってしまいました。

きっとオーナーや本部の人からはこう言われるでしょう。

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でも、全然原因がわからないから上司に報告ができない状態に陥ってしまいます。

起きている事実(現象)を説明するのはとても大変です。
さらにそのメカニズムを解き明かす(推論)のも大変です。

先程、こう言いました。
大変だけれどもしっかりと現象を掴んでそのメカニズムを解き明かすためには論理的思考が大切になっていきます。思いつきで物を伝えるのではなく、しっかりと論理的に今起きている現象を伝えましょう。
次回以降、論理的思考や推論のお話をしていきます!

エセ科学にもご注意を!

自分が今ある現象を掴んで分析して話すこともありますが、人が話していることは本当に正しいことなのかを考えることも重要です!
特に、嘘つきセールスマンには騙されないようにしましょう。彼らが使う言葉はごもっともなように見えて全然正しくありません。
今から話すことは、人を騙すときに使う方法なので悪用しないようにしましょう。

・二項対立にならないのに勝手に二項対立にしたがり片方を正とするやり方をする。
・都合のいい情報だけを並べてあたかも正しいかのように見せる。
・言葉のアヤだと言う。
・違う話にすり替える。
・相手の質問を曲解して別の議論にする。揚げ足を取る。

こんな人には騙されないように、論理的思考をする癖付けをしましょう!

まとめ

マーケティングの実践もマーケティング論の研究も事実の把握とそのメカニズムを解明することが重要です。考えることが得意な学問が哲学なのですが、その中でも特に得意なのが科学哲学です。科学哲学で研究されている論理的思考をうまく利用して現象を掴んで売上拡大に寄与できるようにしたいという話をしました。また、現象を掴むというのは人の話を聞いて考えるということも中にはありますので、そこで陥る「嘘つきセールスマン」に騙されないように彼がよく使う方法をご紹介してきました。

次回は、推論の方法をお伝えしていきます。

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