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天安門事件から考える現代中国の歴史承継

先週は「八九六四 「天安門事件」から香港デモへ」(安田峰俊著)を読みました。
中国で89年6月4日に発生した「天安門事件」。
当時、北京の天安門に集まった100万人の学生たちに対して人民解放軍が武力弾圧した事件で、14歳だった私にとって衝撃的な事件だったこともあり、時々関連する本を読んでいます。
本書は天安門事件に関わった学生活動家や、事件に影響を受けた人たちのインタビューをもとに創られたルポルタージュで、各賞を受賞しています。
 
本書を読んで感じたのは、当時の学生たちの動きは中国共産党の政治に抗議しつつも、必ずしも政権転覆の意思や具体的な国家像があったわけではないのかな、ということです。
ただ、それを知りつつも、不測の事態などを恐れた政権トップの鄧小平により弾圧されたのでしょう。
 
天安門事件後、鄧小平は国民の不満が再び発生しないように、経済成長に向けた政策に舵を切りました。その後の経済成長は皆さんご存知のとおりです。
そして、中国の経済成長が止まりつつある今、中国共産党、習近平の独裁を強化しているのは、再び天安門事件のようなことを恐れているのもあるでしょう。事件から34年経過していますが、中国政府は今でも天安門事件の亡霊を恐れているようにも感じます。
 
それにしても天安門事件は多くの映像や記録が残されているにも関わらず、恐らく中国政府の情報統制により、現在の中国の認知度は低いと思います。
このことは、映像や記録が残っていれば自動的に歴史として残り、承継されるわけではないことを思い出させます。

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