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べっこうリング

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同じ型の鼈甲の指輪を何度も買い替えている男がいます。 彼は「読書は食事と同じ!」と悪い魔法使いに呪いをかけられてしまい、以来それほど多くない量の本を楽しく読んで暮らしていました。… もっと読む
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記事一覧

べっこうリング 2022/5/11

べっこうリング 2022/5/11

今日の読書:森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』

 2年ほど前に購入した上妻世海氏の『制作へ』という作品を、3度目の手合わせにして一旦の読了に至った。その足で向かった本屋さんで森田真生氏の『数学する身体』を手に取り、早足で入店した喫茶店で目を上下させ、チャイの氷が溶けきった。
 最寄り駅最寄りの本屋さんで小林秀雄氏の初期論考集を見つけた。氏が22歳から30歳の間に書いた論考に25歳で出逢ったことに心

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べっこうリング 2022/5/2

べっこうリング 2022/5/2

今日の読書:森田真生『数学する身体』

 現代人は常に「このままで大丈夫だろうか」という疑念に似た思いを抱えている訳であるが、コンディショナーの使用法と、コンディショナーを毎日使っていることに対して妥当な結果が得られるいるかどうかが明確になることはないだろう。

べっこうリング 2022/5/1

べっこうリング 2022/5/1

今日の読書:森田真生『数学する身体』

 デパコスフロアに足を踏み入れるたびに綾瀬はるかが目に入るように、日曜日の夕方には月曜日がちらつくようで、それは綾瀬はるかを仰ぎ見る視線とほとんど変わりない。人類は必ずしも100分の600スケールの綾瀬はるかの顔面ー太陽系全域から集った元野球部がトンボで丁寧に整地した月の表面のようなーを見て畏怖の念を抱くことも、己のイニシャルに“-Ⅱ”を加筆しようとも思わな

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べっこうリング 2022/4/30

べっこうリング 2022/4/30

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 ドライヤーをかける際、最後に冷風モードにすると髪の毛のためになるという話を聞いたことがあり、聞きよう聞きマネで実践してはいるが、毛が冷えて乾いているのか乾いていないのか分かりにくい。ということでドライヤーの労働時間が延びる訳であるが、散髪したばかりの20代男性でこの乾き様なら、小雪や小雪に準ずるロングヘアーの方々は一日のどれくらいをドライヤーに費やしているのだろ

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べっこうリング 2022/4/29

べっこうリング 2022/4/29

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 「今日1日何をしていましたか。」と問われれば「何もしてませんでした。」と、赤子をなでなでするように容易く答えられる訳ですが、仮に今日たまに見かける近所のクロネコにソリティアの遊び方を口承伝授したとしても、23時ごろに同じ質問をされれば「別に何も。」と答えるだろうから、眠たい時間に匙は持てないのである。

べっこうリング 2022/4/28

べっこうリング 2022/4/28

今日の読書:マルセル・デュシャン ピエール・カンバス『デュシャンは語る』

 避けては通れないことの中でも避けては通れないものの1つに、「これは避けては通れないな」と自答する際の何とも言えない主人公ヅラがある。
 そして、毎日インターネットの容量を蝕まないでもない筆者の駄文に目を通すことは、避けて通れることの代表格である。

べっこうリング 2022/4/27

べっこうリング 2022/4/27

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 朝目が覚めて、ふくらはぎが張っている日と張っていない日があるが、ふくらはぎの弾力で今日の調子をおおかた推し量ることができる。なんてことはない。
 昨日と今日で何が違っていたのか、ふくらはぎ以外は特段変わりなく、あるとすれば朝から目が開いていて可愛い日があったり、ほうれい線がアウトバーンの如き日がたまにあるくらいである。
 

べっこうリング 2022/4/26

べっこうリング 2022/4/26

今日の読書:マルセル・デュシャン ピエール・カンバス『デュシャンは語る』

 真の強さとは、スキンケア用品のお試しを手の甲で実演してもらった後に、毎晩歯を磨くかのように何も購入せずに店を後にすることである。しかし、人間はそういつでもどこでも肝がリビングでくつろいでいる訳ではなく、実際に試した商品が良かったりしてPayPayが唸りをあげるものだ。
 筆者も「非ところてんヒューマン」の1人なので、コッ

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べっこうリング 2022/4/25

べっこうリング 2022/4/25

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 寝る前にストレッチをすることは、蕎麦に七味をかけるようなもので、無くても成立するけれどあるとより良い。ストレッチが一向に七味にならない。

べっこうリング 2022/4/24

べっこうリング 2022/4/24

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 「イタリアンにはワインでしょう」と語りかけるでもなくプリウスのように音も立てず走る電気信号によって、案の定の赤ワインを注文してしまった筆者。

 ビールの国に留学していた頃にワインの世話をしてくれた友人がいて、彼が筆者が帰国する数日前に筆者の生まれ年のワインをプレゼントしてくれた。20年余りの歳月を彼のワインはワインとして樽か瓶か何かの中でじっくりと過ごして来た

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べっこうリング 2022/4/23

べっこうリング 2022/4/23

今日の読書:上妻世海『制作へ』

 岩盤浴に行きたい場合、「岩盤浴行きたいわ〜」と言うわけであるが、1度しか行ったことがない。1度の経験だけで「行ってみたい」から「行きたい」に転身できるのは、特筆すべきことではもちろんない。こうした浅い経験を水増しする叙述トリックは、もはや擦られすぎていて、JUJUのハイヒールであればとっくにキトゥンヒールになっている。

べっこうリング 2022/4/22

今日の読書:中島敦『山月記・李陵 他9篇』

 

べっこうリング 2022/4/21

べっこうリング 2022/4/21

今日の読書:中島敦『山月記・李陵 他9篇』

 特に雨が降ると知っていたわけではない日に折り畳み傘をすっと鞄から出す時、「滞りなく準備してます」という風に得意げな顔をしていないだろうかと考えてしまう。荷物の軽量化と雨への備えを日々天秤にかけて、折り畳み傘を持っていたりいなかったりして、たまたま入っていたらラッキーなだけなのに。

べっこうリング 2022/4/20

べっこうリング 2022/4/20

今日の読書:中島敦『山月記・李陵 他9篇』

 「肉食いて〜」とはなっても「貝食いて〜」とはならず、されど貝類は贅沢ものぞろいでなかなか魅力的である。「ピーマンの美味しさがわかった」という風に、味覚が徐々に進化しているのであれば、食欲に関わる欲望の枢機卿が未だ貝の次元に到達していないとも考えられ、彼の成熟によって今後私たちは「今日めっちゃ貝食いたいですね」的な会話をするようになるのだろうか。