学会スライドを考える その2

学会や講演会では様々なデザインのスライドにお目にかかれる。そのほとんどがPowerPointで作成されているが、中にはこれは・・・というものも少なくない。今回は、その中でも特によく見かける残念な見本をいくつか紹介したいと思う。

①背景
スライドの背景はシンプルなものに限る。よくワンポイントの模様がはいった背景が使用されているが、たいていの場合、文字や写真が無造作にその模様に重なっていてとても見苦しい。邪魔になるのなら、最初から消しておくべきである。

②フォント
フォントに明朝体を使っているスライドをしばしばみかけるが、これはやめてほしい。会場からは明朝体の文字はとても読みにくい。さらに、日本語と英語のフォントが異なるスライドも時々みかけるが、これも統一感がなくて見苦しく感じる。

③半角カタカナ
カタカナのみ半角にしているスライドもたまに目にするが、これも全く理解できない。なぜ、わざわざ読みにくくするのであろうか。スペースがないのなら、フォントサイズを小さくするとか、文章を短くするとか、やり方は色々あるはずである。

④強調色
ほとんどのスライドは検査データの異常値を赤色にしているが、背景が青系の場合は気をつけた方がよい。強調するつもりがかえって目立たなくなっている。電子カルテでは異常値は赤かもしれないが、スライドまでその色にこだわる必要はない。

⑤アニメーション
最近ではあまり目にすることはないが、文字のアニメーションほど腹立たしいものはない。特にムーブインは最悪である。どうして文字が動く必要があるのだろうか。アニメーションの使用は、メリットがある時だけに限定するべきである。

世の中に見るに堪えないスライドが蔓延しているのは、PowerPointが標準になっていることと無関係ではないと思われる。よほどのセンスの持ち主でなければ、パワポでまともなスライドを作ることは、実は難しいことなのではないだろうか。