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嫌われ松子の一生 (映画044)

「嫌われ松子の一生」

原作は山田宗樹の小説で「嫌われ松子の一生」は2006年に公開された中島哲也監督作品です。「嫌われ松子の一生」は映画に止まらずドラマ化もされ漫画にもなりました。なかなか全てがそのようになることはなくて、また、個人的には全てを観たり読んだりすることができたので印象深い作品です。不幸の連続、再起となるはずが一歩及ばず殺されてしまうという結末、独身女性の孤独も強調されていて暗い気分にさせられました。老いやそれに付随した心の病も示されていて動揺もさせられましたが主人公は元々、教師ということも人生の皮肉を痛感させられました。ところが演出はカラフルでポップに加工、物語とのギャップが凄くて狂喜させられました。特にミュージカルに違和感を抱いている立場からするとそれを茶化している演出はお洒落に感じましたし、プロモーション・ビデオみたいな場面も意外性のあるキャスティングもミュージカルが苦手な立場からでも心が躍りました。物語と演出のギャップ、そのコントラストの鮮やかさが本作の素晴らしいところだと思いました。とは言え、原作者の立場になって考えてみるといささかやり過ぎであるような感じがしないでもありません。題名が物語るように中島哲也監督が嫌われないか心配になる作品です。題名に説得力を与える手段としてそのようにしているならしたたかでもありますが、合わせてミュージカルに違和感を抱いている自身も後ろめたさを感じる作品でもあります。

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