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ドリブルを分析して論理的に理解する!

 今回は「ドリブルを分析して論理的に理解する」というテーマでお話させていただきます。今回の内容を理解してドリブルのトレーニングをすることで、ドリブルの上達は間違いなく早くなります。これまで無意識の中でやってきたドリブルが論理的に理解できるようになります。

まず、ドリブルには2種類あります。「相手を突破するドリブル」と「誰も抜き去らないけれど、ボールを今ある場所から他の場所に運ぶドリブル」です。
 このうち、突破のドリブルの時に大切なのは、ボールを巧みに動かすことではなく、相手ディフェンダーを上手に動かすことです。

 「突破のドリブル」のことをスペインでは「レガテ」と言います。「運ぶドリブル」のことを、スペインでは「コンドゥクション」と言います。ドリブル中に考えることは、「①ディフェンダーを突破して相手の守っているエリアに入っていくべき」なのか、それとも「②今いる場所から違うスペースに自分でボールを運んでいくべき」なのか、です。選択肢としては、この2つに加えて「③他の人にボールを預けるべき」なのかも考えておくと良いです。

 「突破のドリブル」は、相手にボールを奪われる確率があります。ドリブル突破のチャレンジをするときには、ボールを奪われた後のことも考える必要があります。ボールを奪われると、一気にチャンスを与えてしまうことがあります。「チームとしてどんな戦い方をしているのか」というところから、「突破を試みても大丈夫なのか」を判断しなければなりません。同時に、「自分の役割」から考えた時に、ドリブル突破が必要なのかどうかも考えなければなりません。
 チャンスになる確率が高ければ、失敗してもチャレンジするべきと考えるチームであれば、突破のドリブルを試みるべきです。リスクを最小限にして戦うチームであれば、例え突破したらチャンスになる場面でも、奪われる危険性から考えて、ドリブル突破を試みるべきではありません。まずはチームのことを良く知ってから判断すべきです。

 「運ぶドリブル」は、「パスの方がボールの位置を素早く簡単に変えることができる」というパスのメリットを考慮した上で、それでもボールを運ぶべきなのであれば行います。どういう時か簡単に説明すると、「人もボールも一緒に動かした方がいい時」です。この場合は、「運ぶドリブル」を選択してください。例えばカウンター攻撃の時に、攻撃人数を増やしつつ、前にボールを運びたい時などです。また、数的優位性をつくって、そのエリアを崩したい時などにも有効です。(左サイドでウイングの選手が相手サイドバックと1対1の時に、ボランチの選手が左サイドにドリブルをして、2対1の状況を作りつつ、中央にスペースを創る、みたいな時)
 「運ぶドリブル」は、一見すると相手守備陣形を崩せないように見えますが、パスよりもはるかに陣形を崩すきっかけになります。「人」も「スペース」も流動的になるからです。

 「突破のドリブル」が上手くなりたい人が多いと思いますので、ここでは論理的に「突破のドリブル」を分析します。
 「突破のドリブル」は、ドリブラーとディフェンダーの原理から紐解くとよくわかると思います。ドリブルしているとき、相手ディフェンダーはドリブルをしている選手と同じ方向に同じ距離だけ動く必要があります。
 例を出して説明します。相手ディフェンダーが立ち位置を決めた状態で、ドリブルしている選手が右に3m動くと、相手ディフェンダーも同じ方向に3m動く必要があります。ドリブルしている選手の前方を防ぐためです。ドリブルしている選手が前に進むと、ディフェンダーは同じ距離だけ後ろに下がります。ディフェンス能力が高い選手ほど、寸分狂いなくドリブラーと同じ動きをします。

 「ドリブラーが動いた方向にディフェンダーは動く」ということがご理解いただけたところで説明を続けます。ドリブラーが右に行けば、同じ方向にディフェンダーも動きます。ドリブラーが左に行けば、同じ方向にディフェンダーも動きます。ドリブラーが前に進めば、ディフェンダーは抜かれないように後ろに下がります。ドリブラーが後ろにボールを運べば、ディフェンダーは距離を空けないために前に出てプレスをかけてきます。
 この原理を使うと、ドリブラーのアクションに対してディフェンダーがリアクションすることがわかります。つまり、理論上、どれだけ頑張っても、ディフェンダーが少し遅れるのです。上手いディフェンダーほどこのラグが少なくなりますが、どれだけ上手くても遅れます。ということは、これを利用して「突破のドリブル」をすれば、理論上相手を上手く動かすことができるのです。
 ドリブラーは、右に動いてから素早く左に動けば、遅れて動いたディフェンダーを抜くことができます。相手ディフェンダーは、背中方向にすぐ動けません。相手ディフェンダーの背中方向にボールを運び出して突破します。
 
 理論上は、この動きだけで突破が成立します。世界で活躍するドリブラーの中には、フェイントなどを使わずに相手を突破していく選手がいます。彼らは、足が速いだけではありません。こういった論理的な思考によって、ドリブルでの勝ち筋を見極めているのです。

 話をまとめます。ドリブルというのは2種類あります。「相手を突破するドリブル」と、「ボールを他の位置に運ぶドリブル」です。ドリブル突破のチャレンジをするときには、ボールが奪われた後のことも考えてやらなければなりません。チームの戦い方からドリブルに行くべきか、行くのであれば「突破すべきか」を常に考えてください。
 運ぶドリブルは、「パスの方がボールの位置を素早く簡単に変えることができる」というメリットを理解しておく必要があります。人もボールも一緒に動かした方がいい時に、「運ぶドリブル」を選択してください。
 「突破のドリブル」のとき、ディフェンダーは、ドリブラーが動いた方向と同じ方向に遅れて動くので、遅れて動いた相手ディフェンダーの逆を突いてしまえば、簡単に抜き去ることができます。相手ディフェンダーの背中方向にボールを動かすイメージで、素早くボールを動かしてください。

 今回は「ドリブルを分析して論理的に理解する」というテーマでお話させていただきました。
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