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チームのバランサーとは?

 今回は「チームのバランサーとは?」というテーマでお話させていただきます。今回の話は、ミッドフィルダーの選手に読んでほしい内容です。サッカーの試合で確実に勝利を手にするためには、90分間安定して自分たちのチームの良さを出し続け、戦わなければなりません。サッカーの試合というのは、前半で2点3点得点していても、後半終了間際で同点にされたり、逆転されたりすることが普通にあります。今回のテーマである「チームのバランサーになるために」を読んでいただければ、試合で勝つ確率はかなり高くなるでしょう。チームにとって不可欠な選手、監督に大切にされる選手になるために、是非最後まで読んでください。

 まず「バランサー」とはどのような選手を思い浮かべるでしょうか。言葉の通り、「バランスをとる人」のことですが、サッカーにおけるバランスとはいったいどのようなものなのでしょうか。
 「人数」のバランスでは、「攻撃の時に必ず5人は上がる」や「守備の時は必ずディフェンスライン4人+ボランチ2人の6人が下がって、ゴールキーパーを含めた7人で守備陣形を形成する」といったように、攻撃と守備の「人数割合」みたいなものがあります。アンバランスになると、攻撃に7人、守備にゴールキーパーを含めた4人しかいない、といった状況が当てはまります。
 「スペース」のバランスもあります。左サイドに相手選手も味方選手も集まっているとき、右サイドにスペースが広がっていれば、これはスペース的なアンバランスです。(ちなみに、人数的なバランスもスペース的なバランスも、別に「アンバランスな状態は良くない」とは言い切れません。)
 スモールフィールドで味方選手を密集させて数的優位を作ったりすることもありますし、攻撃的なチームは守備のリスクをある程度承知で高い位置までみんなで攻め込むこともあります。

 サッカーにおける「バランサー」を定義するのであれば「チームに安心と安全をもたらす選手」だと思います。簡単に言うと「ボールに対する安全」と「選手たちにメンタル的な安心」をもたらしてくれる選手です。

 「ボールに対する安全」というのは、相手選手からボールを奪われる危険性の少ない状況を作れるということです。例えば、相手からボールを奪った後、相手もネガティブトランジション時に集団でプレスをかけてきたとします。このときバランサーは、ボールを受けてから、後ろに下げて攻撃を仕切り直したり、サイドの広いスペースにボールを送ったりして、ボールを安全なところに動かすことができます。(技術的なことだけではなく、その判断も大切です。)

 「選手たちにメンタル的な安心」をもたらすというのは、簡単に言うと「ホッとできる状況を作ること」です。例えば、連続して攻め込まれ続けているときに、やっとボールが奪えたとします。このときに、焦ってむやみにボールをクリアしてしまう選手は多いです。ですが、これだとすぐに相手にボールが渡ってしまい、またピンチが続きます。バランサーと言える選手は、こういった際、ボールを大切に相手からのプレスがかからないところにボールを送ることができます。クリアするときも、全体を押し上げることができるエリアにボールを送ることができます。
 実は攻撃の時も「安心」できない状態というのがあって、何度も攻め急いで味方選手たちの「疲れ」が見えてきたときは注意が必要です。これは、安心できる状態ではありません。こういった時に、バランサーはボールを受けてからボールを下げて落ち着かせたり、空いたスペースでキープをしたりすることで、速攻を遅攻に切り替えることができます。要するに、マイボールの時間が長くなるように、選手たちに負荷がかからないように、90分間戦い続けられるように「安全」と「安心」をもたらすことができるのです。

 バランサーとしてプレーできる選手は、チームにとって不可欠な選手として大切にされます。ミッドフィルダーでバランサーとしての役割をこなせる選手は、かなり貴重な選手です。「ボールテクニックがある」「ミドルシュートが打てる」「単体の武器を持っている」よりも、バランサーとしてチームの舵を握って試合の流れを作ることができる選手は、選手としても価値が高いです。

 話をまとめます。チームのバランサーとして大切なのは、ボールに対する「安全」と、選手たちにメンタル的な「安心」をもたらすことです。常に試合の流れを読み取ってプレーを選択することが大切です。プレーの選択は、「安全」と「安心」から考えていきます。ボールを安全なところに動かすために、自分の立ち位置を決めてボールを受けて、ボールをさばきます。選手たちにメンタル的な「安心」をもたらすというのは、ホッとできる状況を作ることが大切です。攻め急いで疲れが見えてきたときには、ボールを下げて落ち着かせたり、相手からの猛攻を受け続けているときは、マイボールの時間が長くなるようにボールを大切に安全なところにボールを送ります。試合の流れ、展開が早くなっているときは、仕事をする絶好のタイミングです。試合展開を落ち着かせて、流れを切って仕切り直すことが大切です。そこから、流れを作り直すことがバランサーの役割です。チャンスの流れなど、自分たちのチームが勢いづいているときに、試合の流れを断ち切らないようにしましょう。勢いづいているときは、バランサーとしての仕事は、そのまま勢いが続くように円滑に攻撃を続ける補助的な役割を全うすることです。ボールが奪われたときのファーストプレスの準備や、攻撃が行き詰った時のパスコースの確保など、仕事は攻守にわたってたくさんあります。すべてのプレーは、「安心」「安全」から自分の役割を見つけるというところがスタートです。

 今回は「チームのバランサーになるために」というテーマでお話させていただきました。

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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。
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