故郷を追われることが繰り返されないようにするために
冬休みを利用して、根室を訪問。
バードウォッチングや美味しい海鮮を楽しむのが目的のひとつ。
そしてもう一つの目的が、北方領土について実際にこの目で見てみる事。
納沙布岬を訪問して、目の前に見える歯舞諸島、遠くに見えて近い国後島など、北方領土について、思いを馳せる。
岬にはいくつかの施設があり、それぞれ国際法上北方四島は日本が保有している事が正しいとして、様々な根拠や主張がなされている。
日魯通好条約からはじまり、千島・樺太交換条約、日露戦争後のポーツマス条約、その後のサンフランシスコ平和条約による根拠などが記載されているが、それはあくまでも片側の主張にすぎない。
1945年のポツダム宣言受諾の直後にソ連に攻め込まれて、やがて引き上げざるを得なかった当時の住人の方々のお話が映像や本に沢山記されている。
そして、時間が経つ後に過去にそこに住んでいた経験のある日本人はどんどん少なくなってきている。
故郷を追われる人が、そのまま帰る事ができずに亡くなっていく。
この問題が続いているのには、幾つもの理由が重なっているから。
そもそも国によって国際的な法秩序のイメージが異なるからというのもある。
国際法に対して、それは守るべき絶対的な正義としていなければ、そもそも守られる事はない。
そして一度手にした領土は、返却すると言う価値観は存在しないと言うもの。
さらにその場所を持っていることの利益が大きいのならば尚更のこと。
人から奪ったものをわざわざ返すのは、そのことに対して周囲からのプレッシャーやネガティブな要素があるからこそするというもの。
そして、力がまだこの世界の正義であると言うこと。
力の弱い相手の話を、力の強い側が聞くような社会になっていない。
他にも、日本が真の意味で独立していないため、返せないと言うもの。
というのも今の状態で日本に4島が返還されたとしても、おそらくすぐにそこに米軍基地が出来るのは間違いない。
というのも、日本はまだまだ実質的には米国の占領下であり、外交的な自主権があるようには見えないから。
それをロシアが恐れているのはとてもまともなことであるように感じる。
そして、このことが続くような世界である限りでは、日本に返還される事はない。
もし返還されることになったらどうなるのか。
立場を変えて、今北方四島に住んでいるロシアの方の視点で見るとどうなのか。
もし生まれてからずっと北方四島に住んでいるとしたとき、そこが故郷という人にいきなり出て行けと言えるのか。
国際的に日本の土地だからという理由で、追い出されてしまう事は、さらなる不幸を生み出す温床になりかねない。
イスラエルとパレスチナのように、どちらも故郷として主張する事が悲劇につながることもあるかもしれない。
実質的に共存するという選択をしっかりと取れない限り、不幸の連鎖はいつまでも続いてしまう。
では2カ国による共同管理という形を取ればいいのか。
そもそもそれが成立するだけの土台があるようにはあまり思えない。
国と国同士の問題、なかなか難しい事が多いように感じる。
だからこそ、まずは民間同士の交流がどこまで進める事が出来るかということが重要な気がする。
果たしてどこまで物事が進んでいくのか、そしてこの問題は21世紀中にある程度進んでいくのか。
少なくとも、どのようなひとであっても、故郷を追い出されるという悲劇はこれ以上あってほしくないように感じる。
ありがとうございました。
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