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読むサイクリング ~自転車本レビュー~ シマノ 世界を制した自転車パーツ

ただの自転車好きが勝手に自転車本を批評します。
基本的にネタばれを気にせずつらつらと書いていきますので、気になる方は注意してください。

シマノ 世界を制した自転車パーツ

初版が2003年6月3日と少し古い本ですが、書かれている事柄がそれより以前のことなので、全く気になりませんでした。

著者の山口和幸さんは、今でも一線で活躍されているスポーツジャーナリストの方です。ボート、卓球、陸上競技、シンクロといろいろな競技の取材をされている方ですが、自転車がメインのようです。他にも自転車の著作がありますので、リンクを貼っておきたいと思います。


世界的企業の成功の秘訣に触れられる一冊

釣りや自転車が趣味の方にとってはお馴染みのシマノですが、一般的な認知度はそんなに高くないような気がしますが、自転車パーツ界では圧倒的な世界シェアを誇ります。しかも、ママチャリ、スポーツ車など車種を問わずです。街中でシマノ製品を使っていない自転車を探すのは、かなり困難です。

また、自転車ショップでも「シマノ付けとけば、とりあえず大丈夫」という意識は間違いなくあり、現場からそれだけ信頼されているメーカーです。

そんなシマノがいかにして、世界的メーカーになったのかを記した一冊。
これまでシマノはたくさんエポックメイキングな商品を作ってきましたが、そういった商品にまつわる細かい事柄が詳細に描かれていて、読みながら「へー」の連続でした。
資料としても大変有用に思えます。

また、ビジネス書的にも良かったです。
日々研究する中で磨かれた技術、それに対する自信、顧客に寄りそう真摯な姿勢、チャレンジへの情熱。こういったことが、たくさんのエピソードから読み取ることができます。
時代は変わりますが、これは普遍的なことで、色褪せることない教訓に思えます。


ぶっちゃけ、内容はマニアックで分かりにくい

絶賛ばかりでしたが、オススメできない点もあります。
端的に作りが不親切に感じました。

内容がかなりマニアックなんですが、絵や図がほとんど差し込まれず、ひたすら字だけの解説です。自転車の知識がない人からすると、何言ってるか分からない所はかなり多いと思います。

自転車が好きな私ですら、アルミ冷間鍛造技術の章はチンプンカンプンで、正直とても眠くなりました。(笑)
また、章立てが時系列順でなく、重複する内容もあるため、読みながら混乱することも多かったです。

大切にしたい温故知新

とはいえ、内容的には良書といえるものだと思います。

近年は本当に技術革新のスピードが速いお陰で「何か新しいものを!」といろんな人が躍起になっているように感じます。私の会社では社長が毎日のように口にしています。(笑)

ただ、新しいものというのは、必要から生まれるのであって、生み出す側の要求から生まれるものではないと思いました。

最近流行りのビジネス書ばかり読むのもいいですが、こういった古い本からもたくさんのことが学べますね。
明日から初心に帰って仕事へ向き合えそうです。

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