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GitHubが好きすぎるので、Githubの軌跡を辿ってみた

kenjiです。普段はCocodaというデザイナー向けのサービスをつくっていて、PMとエンジニアをしています。

前回、自分がエンジニアになっていった話を書きましたが、エンジニアになっていくために勉強する過程でも、実際にチーム開発をする現場でも非常にお世話になっているGithub。

最近買収が完了したそうで、それをきっかけに大好きなGitHubについてそのストーリーを辿ってみようと思いました。

今回のエントリは、GitHubへの好きが余ってそのプロダクトとしての歴史を詳細に紐解いてみた話です。完全に自分の趣味全開で、好きなプロダクトを解剖していこうと思います。

1. GitHubがとにかく好き

GitHubが大好きな理由を3つに分けてご紹介。

まずオクトキャットがかわいすぎる

先日渋谷で行われた、GitHub Universe アフターイベントというイベントに行ってきました。

ツイートの通りたくさんのオクトキャットステッカーをもらってきました。(最高だった...)もうとにかくオクトキャットがかわいいというのが僕がGitHubを好きな理由の1つ目です。

でもこのオクトキャット、実はかわいいだけじゃなくて、オクトキャットがつくられた背景もすごく素敵なんです。

実はオクトキャットは、エンジニアがエラーをして落ち込んだ時に、少しでも気が和むようにとつくられたそうなんです。

ぼくもエンジニアリングをする立場なのでわかるんですが、度重なるエラーと闘うのはなかなかに骨が折れる仕事です。その苦労を思ってあいつができたっていうのを知るとますます好きになってしまいますね。

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たしかにこれが出てきたら和むかも?


プロダクトが素敵

オクトキャットがかわいいのはもちろんなんですが、GitHubというプロダクトも本当に良いプロダクトだなと思っています。

後ほどGitHubのリリースについては詳しく触れますが、正式リリース初日からユーザーがGitHubのことを好きでお金を払ってくれたり、リリースから1年ちょっとでユーザーが10万人を超えるなど、順調すぎる成長を遂げています。

しかし、プロダクトやビジネスとしての成長だけがGitHubの魅力ではなく、GitHubがクールな点は、プロダクトを通して、オープンソース文化という文化を加速させたことだと思っています。

オープンソース文化とは、簡単に言うとソースコードを世に公開することでみんなでソフトウェアを良くしていこうぜ、という文化のことです。

GitHubが "Social Coding" というコンセプトを一時期掲げていたように、GitHubによって多くのオープンソースが生まれ、技術は世界にもっとオープンになっていきました。

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プロダクトの思想が素敵


創業チームも素敵

プロダクトが本当に素敵なのはもちろんですが、それをつくっているチームも本当に尊敬すべきチームでした。

GitHubというプロダクトは、GitHub創業者たちが一番ほしかったものであり、自分たちもGitHubを大変愛用していたそうです。Appleのスティーブ・ウォズニアックがMacを愛用していたように、自分たちの熱狂的な思いや当事者意識がプロダクトを愛されるものにしていったのですね。

ちなみに創業メンバーの思想に触れられる記事としてはこの記事がぼくは一番好きでした。





ではいよいよGitHubの歴史を辿ってみましょう。(やっと)

オープンソースの立役者の素顔に迫ってみたいと思います👀

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⚠️noteの最後に参考文献を載せていますが、もし記載している内容に間違いがある場合はtwitter等でメッセージを送っていただけると幸いです。


2. GitHubの軌跡 〜Launch of GitHub〜

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Gitが2005年にリリースされてから2年後、2007年10月にGitHub構想は2人の若いエンジニアによって爆誕しました。

GitHub構想が生まれたきっかけは創業者の一人、Chris Wanstrathの過去の体験にあったそうです。

Chrisはもともと大学では、英語専攻のコースに所属しており、プログラミングを学ぼうと思って本を読んだり授業を受けたりしたそうですが、軒並み挫折。。

そんな中、PHPのオープンソースプロジェクトに参加する中で、コードを書き、教えてもらうことで腕を上げ、エンジニアになっていったようです。

そのような経験が彼にGitHubという概念を誕生させたのだそう。

そして、サイドプロジェクトとして走り出したGitHubは2008年1月にβ版をリリース。創業者たちもよく通っていたエンジニアのミートアップにて初期のユーザーを獲得していきました。(ザ・スタートアップみたいな話で好き。)

その後はYahoo!やTwitter社などの著名なテックカンパニーにGitHubを利用してもらうこと、NPOなどの非営利組織にも利用してもらうことで、確実に存在感をあげていきました。


また、2008年の11月にリリースされた静的ページ作成ツールのJekyllはのちにGitHub Pages として生まれ変わり今もなお多くのユーザーに使われています。


3. GitHubの軌跡 〜Growth of GitHub〜

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次は、GitHubのグロース期についてまとめてみました。

2009年から2012年のこの時期の特徴は、

プロダクトの加速
マネタイズの加速

の2つと言えます。

プロダクトの加速という点では、2009年の7月にユーザー数が10万人を突破し、2011年4月には200万レポジトリを超えました。2010年の3月のようにいくつかの機能改善をリリースし、よりプロダクトとしての完成度を高めていった印象です。

そして、2012年の7月にはシリーズAで1億ドルの調達、日本円にして100億円ぐらいの資金を調達しました。日本のスタートアップでの一般的なシリーズAでの調達は1桁億ぐらいなので、よくアメリカは調達額が1桁多いと言いますが、それにしても大型の調達...!

また、マネタイズの加速という点では、GitHub Jobsをリリースしたり、GitHub Enterpriseをリリースしたりと企業を巻き込んだプランがリリースされ、マネタイズの手段を拡充するような動きがみられます。

ちなみに今回のリサーチでGitHub Jobs の存在を初めて知ったんですが、今も動いているっぽいです。幅広いですねGitHub

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GitHub Jobs




4. GitHubの軌跡 〜Diversification of GitHub〜

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次の3年間はGitHubの多角化(Diversification)についてのまとめです。

ここでのハイライトは、

組織の拡大
独自エディタのリリース(多角化①)
学生用のプランのリリース(多角化②)

の3つです。

組織は順調に拡大し、1年半で3倍以上に成長しました(2012年12月の部分)。一方で、2014年3月には、当時CEOだったTom Preston とその夫人が従業員に、会社を去るようなハラスメントをした、と言うことを従業員からの告発を受け、CEOが交代するという事件も起こりました。

組織の拡大は、海外展開としても現れており、2015年6月にはGitHub日本法人が設立されました。

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GitHub JapanのTwitterアイコン(かわいい)

多角化という点を詳しく見ていくと、

2014年5月にGitHub社発のテキストエディタAtomのライブラリがオープンソースとして公開され、翌年の6月にはリリースされました。コードを書き、チームで共有するというエンジニアの開発の流れにおいて、また一つ大きな一手を打ちました。

書ききれなかったので図には載せていませんが、2016年の3月には100万人のユーザーがAtomを使うようになったそうです。(すごすぎ)

また、もう一つ多角化の方向性として、教育分野へ進出したことが注目すべき点です。

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2014年に学生用のパックをプランした

これは、ぼくの勝手な想像なのですが、2. で書いたような創業者自身のプログラミング学習の挫折経験と、もちろん戦略として早期からユーザーにGitHubを使ってもらうということの2つの理由で教育分野に進出したのかな、なんて想像しています。

GitHub自体がエンジニアを育てるプラットフォームであるというような、エンジニアフレンドリーな思想をもっているプロダクトなので、すごく共感できる展開の仕方だなと思います。


5. GitHubの軌跡 〜Exit of GitHub〜

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いよいよ終盤になってきました。最後はGitHubの大型エグジットまでの3年間のストーリーです。

この3年間のハイライトは、

コミュニティ戦略の強化と推進
マイクロソフトによる買収

の2つと言えます。

2015年の10月には、GitHubのカンファレンスである、GitHub Universe の初回がサンフランシスコで開催されました。

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初回の様子はこんな感じだったそう

毎回廃れた感じの、趣のある場所で開催されているみたいですが、写真をみてるととにかくGitHubな世界観にあふれていて、エンジニアの祭典感が満載です。(早く行ってみたい....!!)

GitHub Universe を筆頭にGitHubではコミュニティを大切にしており、コードよりも開発者フォーカスな印象をすごく受けます。人を大事にするGitHubだからこそ、コミュニティを大切に育てているのだと思います。

以降GitHub Universer は毎年9月から10月ごろに開催され、今年も開催されました。


そして、ついにGitHubの買収です。2018年6月に突如買収が発表されました。そしてこのちょまどさんのツイート

ついに先日26日に買収が完了したようです。買収の額は75億ドル、日本円で8200億円だそうです。

GitHubの買収により、GitHubは中立性を失うんじゃないかと言うような声がでましたが、ちょまどさんがツイートされている通り、これからも独立性を保って運営されるとのこと。

ちなみにGitHubによるとマイクロソフトはオープンソースに一番貢献している企業だそう。

2008年からβ版をリリースして10年、オープンソースの立役者は、オープンソースに一番貢献している会社の元へ行ったという、なんともこれからがさらに楽しみになるストーリーでした。


参考文献は以下になります。

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6. まとめ

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

もともと、週末チャレンジとして毎週自分が好きなことに時間を使うことを決めていて、今週はちょまどさんのツイートを受けて、GitHubのプロダクトをトレースしてみようと思ってnoteにまとめていたら、気づけばかつてないほどの超大作になっていました。

僕自身普段プロダクトをつくる立場にいるので、自分の好きなプロダクトのストーリーを追いかけてみることはすごく勉強になりました。

プロダクトが愛されるものであり、熱狂的なコミュニティであること、戦略的なグロースをし、開発者のインフラになっていること、一貫したコンセプトがあること、決して止まらない改善ができる組織があること等々...学びが多すぎて満足度の高い週末でした。

自分もそういうプロダクトをつくっていきたいな...!と思わされる圧倒的にいいプロダクトでした。

ユーザーの課題に基づいて、UXを設計する際に理想のUXを決めるために類似のプロダクトの世界観や展開を分析するのはすごくよかったので、PMやUXデザインを志す方には勉強方法の一つとしてこのプロダクトトレース、おすすめです。

来週は何をしようかな。

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追記:誤字や誤植を修正しました

① 2. の最初の行 ○2007年10月 ×2017年10月

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