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水蒸気と水(2) 〜水と水蒸気、結露〜

割引あり

前回、物質には3つの相があって、気体・液体・固体、あるいは気相・液相・固相ということを説明しました。特に、水の場合は、気体・液体・固体の場合をそれぞれ特別に、水蒸気・水・氷と呼ぶことを説明しました。

今回は少し水蒸気に着目して説明したいと思います。

水と水蒸気の状態

ここに、何かビンのような水を入れる容器があったとします。この中には水が入っています。水は、なんとなく、分子同士が拘束しあってドロドロと動いている状態であるということを言いました。顕微鏡レベルでの話です。余談ですが、ガッチリ拘束あって動かなくなった状態は氷です。

水と水蒸気

ここでなんとなく動いている水分子ですが、温度が高いと分子の動きがどんどん大きくなり、やがて分子間力の鎖を断ち切って水蒸気になるということを、前回、話しました。ところで、この温度というのは平均値です。水分子の中には活発な分子もいれば、あまり活発でない分子もいます。それらを平均化して表しているのが温度です。従って、温度が低くても、時々、非常に活発な水分子が存在します。そういった元気な水分子は何かの拍子に「えいっ!」と分子間力の鎖を断ち切って、水蒸気になります

分子間力の鎖を断ち切った水蒸気は、このビンの上側の空間、空気の中に出ていきます。最初、ここには水蒸気としての水分子がいません。非常に自由な空間です。分子間力が働かないため、水分子は自由に飛び回っています。さて、このようにたまたま勢いのある水分子がどんどん空気の中に出ていったとしましょう。そうすると、だんだんと上部の空間が窮屈になります。水分子が多くなるんですね。

水分子が少なく、お互いある程度距離をとった状態で動き回っていた時は良かったのですが、だんだんと水分子の数が増えて窮屈になっていくと、お互いがぶつかります。以前、水分子同士はお互い引きつけ合う性質があることを述べました。従ってここで示す例のように水分子同士の距離が縮まってお互い引きつけ合う。それでも元気なうちは、つまり運動エネルギーが大きい場合は、例え、多少、引きつけあったとしても、それを引き剥がして引き続き水蒸気として動き回り続けることができるのですが、ぶつかった時に自分に勢いがない(運動エネルギーが少ない)と、お互いがひっついてしまって、水に逆戻りになります。そしてビンの中の水に戻っていってしまいます。

水面での平衡状態

このように、ビンの中に水がある状態を人間の目視、つまり巨視的な状態で眺めると、変化が無いように思えるのですが、実際は、水から水蒸気になる水分子、水蒸気から水に戻っていく水分子があり、常に出入りがあります。

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