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自治体職員必須知識 その6:日本最大の国家課題は『人口減少』だ

みなさんは国家の一部を担っている

今回は正確には「知識」ではなくて戦略眼を持って欲しいという話だ。
自治体職員のみなさんは今の日本の最大の国家課題は何かを意識して仕事をしているだろうか。
「私は地方公務員なんだからそんな権限はないし、そもそも自治権は自治体の地域にまでしか行き届かないし…」いやいや、そんなことは分かっている。明確な目的意識と国家意識を持って日々の職務に対応しているのかと言う点を聞きたいのだ。
確かに、みなさんの職権が及ぶのは各自治体のエリア内だけであるが、そこはまちがいなく日本の一部だ。だとすれば、今の日本国に最も大切な政策課題が何かを、そしてそれを成し遂げるために一自治体職員として何をすべきかを考え、対応していくことが求められていると思うのだが如何だろうか。

国力とは何か

「国力」をどう測るかについては様々なやり方がある。一般的には国土領域、国民(人口、教育水準、国民性、統一性など)、軍事力、経済力、技術力を総合して勘案される。この中で国土領域人口は全ての要素にダイレクトに影響を与える重要な要素だ。国土領域はめったに増減することはないが人口は政策によって増減する。これはGDP(国民総生産)の数字にもはっきり表れる。そのため、絶賛人口増加中のインドが台頭し、人口減少傾向にある中国・日本は近々ランクを落とすだろうと言われている。人口減少はそのまま国力の減少となるのである。
以前「その4:人材の争奪戦が始まっている」に書いた通り、人口減少に伴い労働力人口が大幅に減少し2040年には前代未聞の人手不足となる。
そもそもよく言われる「少子高齢化」と言う政策のフレーミングが問題の焦点をぼやかしている気がしてならない。このフレーミングでは少子化対策と高齢者対策を行えば問題がないような印象を与えてしまうが、国家としての最大の問題点は労働力人口が減少することだ。ちょっと冷静に考えれば、労働力人口が減れば経済力も軍事力もさらには国家の歳入も低下することはすぐに理解できるだろう。
このことから、日本の国家戦略の中心は人口増化・生産性向上による国力の回復になるべきであり、その対策として出生率の向上、生産性の向上を行っていくことがもっとも大切なのだ。

戦略としての人口減少対策

戦略家のエドワード・ルトワックはその著「日本4.0」(文春新書)の中で「もし日本がリアルな戦略を考えるならば、最優先されるべきは少子化対策だ」と述べているが、本当にその通りだと思う。
『永田町』や『霞が関』に過度の期待をせず、まずは自分たちのできることから、自分たちの自治体からこの国家課題に対する解答を導き出してはいかがだろうか。
その意味で元明石市長の泉房穂氏の提言内容について、異論や反論があることも知っているし全てに賛成できるわけではないが、その方向性は間違っていないと思う。自治体に何ができるかを考えたい方は参考にしていただきたい。これからの日本を変えるのは国会議員や官僚ではなく、地方政府である自治体からでもいいのではないかと思うのだが、みなさんはどう思いますか。


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