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(新) 物語を持つ組織文化

先日投稿した「物語を持つ組織文化」。この投稿の前提には、一定期間の、それも10年以上の、組織としての歴史を有するようなケースを私は無意識に想定していたことに気が付きました。
その気付きを与えてくれた記事がこちらです。
エンジニアだからこそできた組織文化の基盤づくり|あむ🕊薬剤師エンジニア (note.com)

創業まもないスタートアップ企業では組織文化はまだ確立しておらず、これからビジネスが立ち上がって顧客を獲得し、そこに人材が新しくjoinするとともに形成されていくのだと考えると、最初の組織文化の形成はいかにして成されるか? ここにも課題があると認識しました。
スタートアップ企業では、まず会社が世の中に認知されること、取り分け事業目的から自社の顧客層に知られることが第一に重要、そしてそれを可能にする資金調達も事業の運営と継続上も大きなチャレンジになることは言うまでもありません。
そして、事業が軌道に乗り始めると次なる新しいチャレンジは事業の持続性に関わる人材の獲得でしょうか。この段階では、まだ創業時メンバーの想いや起業の理念、ビジョンを後からjoinしてきたメンバーと共有することは難しいことではないかもしれませんが、上記の投稿を拝読して「あっ、これは大事だな」と思ったことは、この段階からValues、すなわち行動規範を作り組織に定着させていくことへのこだわりです。
まだまだ組織機能がきれいに分化していないこのような段階では、メンバーが自律的に、主体性を持ってそれぞれの職務にあたることや、少ないメンバーで協働して事にあたっていくが期待されると考えると、組織として奨励される行動規範の浸透はこの段階から欠かせないと考えます。
では、それを明文化しておけぱ十分なのでしょうか?

組織は準拠集団として人々の行動に影響を与えることができます。それを考えると、この例にあるような、①行動規範の明文化に加えて、特に②その実践を促し奨励する仕組みがとても有効になると感じました。

歴史のある組織は、過去の歴史の中から現在、そして未来に向かっても大切にしていきたい規範や価値観を表現する「歴史物語」を有します。
しかし、スタートアップ企業はそうした「歴史物語」をまだ有していません。まさにこれからそれが出来てくるところであるわけです。
「歴史」は眼の前で起きていることに組織的に意味を見出す、意味を与えることで、その組織固有の「物語」になっていきます。そしてそれは組織内で語り継がれる「集団的記憶」となる。「物語」はこのように意味を与え、それを繰り返し共有していくことで定着します。
仕組みを通じて奨励されるべき行動を習慣化していくことの大切さ、そして、その習慣、行動規範の意味を体現する「物語」。このセットがこれからの組織文化のコアになっていくのではないかと考えます。そうして形成された組織文化は人々が準拠する規範となり、尊重すべき価値観を体現するものになる。

スタートアップ企業が創っていく組織文化は、創業者の想いを乗せた”仕組み”を使って浸透し、やがては組織固有の「物語」となっていくのでしょう。
この事例からのもう一つの学びは、共感を得ていくアプローチにいまの時代ならではのテクノロジーを巧く活用されている点。まさにスタートアップ企業ならではの組織文化醸成の仕組みとして大変興味深く拝読しました。
トップダウンでValuesを伝えるだけでなく、日々の行動の実践の中でValuesを意識していく。すごくいい仕組みだと思いました。しかも内製というところが素晴らしいです。

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