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地震・津波の史料を読む〜04太平武将年代重宝記

地震と津波よりもう少し広い範囲で、ある史料から「出来事」を拾い出してみる。
これもまた手持ちのものだ。

「太平武将年代重宝記」というものの中に、慶長から安政まで江戸期の主な出来事をまとめた一覧がある。これがとても興味深い。

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おそらく、手元に持っていると便利なまとめ資料的なものだったのではないか。
(今でいうと、よく手帳の後方に付録的に書かれているもののように)

一升が一年。その年に起こった象徴的な出来事が小さな欄に書かれている。
「かいてう(開帳)」「吉宗公ご誕生」などといったトピックスが並ぶが、「江戸大火事」「日光山大ぢしん」「大あらし」などの災害を伝える文字も度々登場する。

これらを抜き出してみることにした。

太平武将年代重要記を読み解く_全-01

次のような形でプロットしてみた。

青三角▲:地震
青四角◾️:飢饉(塗四角は記載あり、抜き四角は記載無し)
桃丸●:疫病(塗丸は記載あり、抜き丸は記載無し)
炎:大火
(赤塗り・赤枠は日光に関わる或るイベントをプロットしたもの。黄色塗りは徳川将軍の年忌が記載されている年。)

いかがだろうか。
まだ読み込みの甘いβ版的なものであるけども、こうして眺めてみると、ある程度安定していたであろう時期と、様々な災害や厄災が重なった年代が浮かびあがってくる。
天明あたりは飢饉と疫病、地震、大火も重なっている。
そして、安政期には地震(と大火)、疫病も重なる。
以前のポストでも、こうした事象は時代を転換させる、という趣旨を書いたが、まさにそれが見て取れる。
どのようにして幕府が終わっていったのか、その根源の一端がここに見える。
これは、おそらく安政6年に編まれたものだろうから、その時に、まだ江戸の終わりは知らないわけだが。

ちなみに、プロット部分のみを抜き出してみるとこうなる。

太平武将年代重要記を読み解く_PO-01

以前、「図と地」について書いたが、これもほぼ同じ狙いで作業してみたものだ。

こう抜き出してみると、都市化と大火、疫病(伝染病)の関係性も見えそうだ。

…と、まだまだ読み解きの途中のものだが、途中経過として。

複合的な災害、災害や疫病の併発の恐ろしさをあらためて。

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