フランスの暴動

先週の火曜日6月27日、車を運転していた17歳のNahelくんが、無免許だったんだけどさ、職務質問時、警察に撃たれ、当初警察の発表には抵抗したためとなっていたが、スマホそしてSNS 時代の今、その職務質問の一部始終を誰かがとっていて拳銃で撃つほどの状況でなかったことが拡散され、怒りを買い、今に至ったって感じ。

いくつかの考察;

1)最近の3年間2019〜2022年警察の拳銃に撃たれ死亡する人が急増。2017年に警察官の発砲を容易にする法律改正がその原因とする言説が多いが、その直近の17、18年は横ばいなので僕は別の要因があるのでは、と見ている。

2)2019年にgilets jaunes (黄色いチョッキ団)の乱暴なデモに対抗するためオートバイに乗りデモ団を棍棒で―拳銃は不使用―殴るような警察の介入方法(brigade de répression de l'action violente motorisée)が開発され、その結果警察の介入方法の過激化。

3)それでいてというか、上記のことの原因になりうるのは、警察の人員削減及びそれに伴う警察署の統廃合により、治安が良くない地域での警察の存在感の低下による抑制効果が減り、同時にそれを補うパトロールによる抑圧的介入が目立つようになり、警察の心証悪化。

4)主に移民層―今回殺されたNahel くんもアルジェリア系―が住む大都市を囲む郊外の貧困と荒廃の慢性化により、今回のようなきっかけで不満が爆発。

5)2020年のアメリカでGeorge Floyd さんが逮捕時に殺され、その後Black Lives Matter 運動が出来る以前の2016年に24歳のAdama Traoré さんが逮捕時に死亡し―George Floydさんの時のように警察の暴力があったわけではなく未必の故意による不作為による死亡なのかな?―、それを彼のお姉さんが中心になって問題にしデモを行い、さらに数年後のBlack Lives Matter と連動し、移民あるいは有色人種―アジア系除く―に対する潜在的な人種差別をもとにした警察の暴力に対する抵抗の組織化とともに陳腐化が進んでいる。今回のNahel くんのお母さんはそのみこしに乗り、犠牲者の役割をいささか過剰に全うしている。

6)ちなみにGeorge Floyd さん同様2016年に亡くなったAdama Traoré さんそして今回のNahelくんも前科があり、また今回は平和的抗議デモより暴徒による襲撃が広範囲に行われているため、警察の暴力的介入は等閑視され、政治的スペクトラムの真ん中から右の人々の同情は今回の件に同情はあまり見られない。


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