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愛の別名がなんであれ

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小説家志望のライター西村聡は、高校時代から想いを寄せている古橋愛夏と7年ぶりに連絡を取る。7年前に夢を追いかけて別々の道を歩き出した二人の、今と過去とが交錯する恋愛青春小説。プロ… もっと読む
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記事一覧

愛の別名がなんであれ 20話

〜エピローグ〜 オギャア。オギャア。 病室に赤ん坊の声が響き渡る。 おめでとう、おめでとう…

愛の別名がなんであれ 19話

〜2019.冬〜 しばらくの間、沈黙が続いた。 愛夏は涙を拭いて落ち着きを取り戻したようだった…

愛の別名がなんであれ 18話

〜2012.春〜 自分が惨めに感じた。このままじゃいけないと強く思った。 いつか、この人に認め…

愛の別名がなんであれ 17話

〜2019.冬〜 運ばれてきた料理はすっかり冷めてしまった。 「ごめん、俺のワガママだけどさ、…

愛の別名がなんであれ 16話

〜2011.秋〜 上り坂の中腹くらいに、目当ての店があった。 「あ、あったあった。ここのカレー…

愛の別名がなんであれ 15話

〜2019.冬〜 あまり楽しい時間にはならなかったが、やってきた料理だけはどれも美味しかった…

愛の別名がなんであれ 14話

〜2011.秋〜 五組目の演奏も終わり、六組目の演奏の途中で学校帰りの制服姿のままで古橋さんがやってきた。 「お待たせ」 「うん、じゃあ行こ」 爆音が鳴り響く会場を後にして、こそこそと扉から出て行った。 もうこの時間から入るお客はいないと思い込んでいる受付の女性は、スマホに夢中で自分たちが帰るのにも気づかなかった。 「こっち」 行きに来た道と違うルートを指差して古橋さんは歩いて行った。僕はそれについて行った。 何色に染まったのか自分でもわからない心のままに僕は喋りたくなって

愛の別名がなんであれ 13話

〜2019.冬〜 仕事がひと段落して休日を作れたから、すぐに愛夏に連絡をした。 “来週暇ある?…

愛の別名がなんであれ 12話

〜2011.秋〜 舞台上に古橋さんがゆっくりと出てきた。 そしてマイクを手に取ると挨拶をした。…

愛の別名がなんであれ 11話

〜2019.冬〜 記事を書くことに追われていた。 主に家電製品のネット記事を書いている。その全…

愛の別名がなんであれ 10話

〜2011.秋〜 古橋さんから直接ライブの話を聞くか、そのまま会場に行ってみるか、そのどちら…

愛の別名がなんであれ 9話

〜2019.秋〜 愛夏と会った日から一週間が経った頃、連絡があった。 “小説読んだよ! すごい…

愛の別名がなんであれ 8話

〜2011.夏〜 朝ご飯を食べて学校の支度をする。母親がまた進路の話をしてくる。 「大学はどう…

愛の別名がなんであれ 7話

〜2019.秋〜 愛夏と別れた後、自宅の最寄り駅に着いても時刻は七時になったところだったので、たまに通っている居酒屋に寄った。 こんな日にだけは、酒が欲しくなる。 昔からやっているこじんまりとした居酒屋で、平日はいつも繁盛してるとは言えない客入りだが常連は多い。 広くない上に古ぼけている店内が妙に落ち着く。 今日も空いているから、いつも座るカウンターの隅っこで一人酒と決め込んだ。 騒がしくない店内では話し声が騒音にかき消されずに聞こえてくる。 「この国には芸術を理解する土