愛の別名がなんであれ 14話
〜2011.秋〜
五組目の演奏も終わり、六組目の演奏の途中で学校帰りの制服姿のままで古橋さんがやってきた。
「お待たせ」
「うん、じゃあ行こ」
爆音が鳴り響く会場を後にして、こそこそと扉から出て行った。
もうこの時間から入るお客はいないと思い込んでいる受付の女性は、スマホに夢中で自分たちが帰るのにも気づかなかった。
「こっち」
行きに来た道と違うルートを指差して古橋さんは歩いて行った。僕はそれについて行った。
何色に染まったのか自分でもわからない心のままに僕は喋りたくなって