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自分を「サラリーマン」とは言わないようにしてきたが、そもそも会社は誰のもの?と言った話 

こんにちは!
企業に所属して長いこと建築の設計を続けてきました南です。
この4月から経営企画部に異動になり、ファイナンスや企業経営についてゼロから勉強しておりまして、学んだ内容の定着とアーカイブ化を目的として本ブログを書き始めました。

5本目の記事となる今回は「会社って誰のもの?」と言ったテーマについて書いてみたいと思います。
まだズバリ最終的な答えまで行きついていないので中途半端なところで終わってしまうかもしれませんが、ぜひお付き合い頂けますと幸いです。
また、今回も、「ざっくり」と全体観を理解をしていく事に主眼を置いているため、言葉の定義ほか色々なところでおかしなところ、甘いところが多々出てくるかと思いますが、勉強中ゆえご容赦ください。もちろん、アドバイス等コメント大歓迎です!それでは始めます。

「会社は株主のものである」と言われるときの根拠とは?

「会社は株主のものである」と言われる事がよくあります。
長年身を粉にして働いてきた従業員の立場からはなかなか納得しにくい・腹落ちしない内容ではありますが、法的にはそういう事になるとの事、いちおう頭ではわかってはいるつもりです。

日本では2005年頃に起こったホリエモン(堀江貴文氏)らのライブドア社によるフジテレビ買収の一連の出来事や、村上世彰氏ら「村上ファンド」による「もの言う株主・アクティビスト」の出現、真山仁の経済小説でテレビドラマにもなった「ハゲタカ」(2004年)のヒットあたりから、身近なトピックになってきたような印象を持っていますが、これはもしかしたら私がちょうど大学卒業・就職活動時期と重なっていたからアンテナが立っていただけで、もっと昔から普通にあった議論なのかもしれません。

いずれにしても、建築の設計ばかりやってきた私には、なんとなく聞いたことある「知ってるつもり」程度のレベルでしかないので、これを機にもう少しだけ詳しく勉強してみたいと思います。

株主と会社の関係

ある人が会社をおこして事業を始めようとする時や、会社を拡大して事業を広げようとする時、基本的には相応のお金が必要になります。
頑張って貯めた自分のお金だけでスタートするケースももちろんたくさんあると思いますが、今回はもう少し規模の大きい事業をイメージして、他者からの出資を受けてスタートする場合について考えていきたいと思います。

会社が外部からお金を調達するには、
①金融機関に融資してもらう場合と、
②投資家に出資してもらう場合の
大きく2つの方法があります。
そして、①は返済の義務を負いますが、②は基本的に返済の義務を負いません。

①では、金融機関は期限が来たら貸したお金を返済してもらうのと、利息を手に入れる事ができます。
一方、②の場合、出資者は出資金がそのまま戻ってこない代わりに、様々な権利を手に入れることになります。
持っている株の量「持株比率」によって変わってきますが、以下、代表的な所をピックアップしていきます。

株主の持つ権利(持株比率に応じて)

■1株でも持っていると手に入る権利
⇒株主総会に参加して議決に加わる権利(議決権)/配当金などの利益分配を受け取る権利(利益配当請求権)/会社の解散などに際しては、残った会社の資産を分配して受け取る権利(残余財産分配請求権)/取締役が会社の目的外の行為や法令・定款に違反する行為をした場合に取締役会の招集を請求できる権利(取締役会招集請求権)/定款の閲覧など請求権/計算書類等の閲覧等請求権/新株予約権発行差止請求権/などなど

■1%以上の株を持っている場合
→株主総会における議案提出権

■3%以上の株を持っている場合
→株主総会の召集を提案する権利/会社の役員を解任する訴えを提起をする権利

■10%以上の株を持っている場合
→会社解散の訴えを提起する権利

■三分の一以上の株を持っている場合
→株主総会で特別決議を否決する権利:特別決議とは、株主の議決権の2/3以上の賛成が必要となる決議を言います。なので、1/3以上の議決権を持っていると、自身の持つ議決権にて、この特別決議を否決することができるようになります。
なお、特別決議とは「定款の変更」「非公開会社の新株発行」「資本金の減少」「合併などの組織変更」「解散」といった特に会社にとって重要な事項を決める際の決議のことを言います。

■過半数の株を持っている場合
→株主総会で普通決議を可決する権利:上記の特別決議に含まれない、会社法や定款に定めがない場合の決議は普通決議となります。議決権の過半数を持っていると、他の株主が全員反対したとしても、自身の持つ議決権によって単独で普通決議をすることができるようになります。

■三分の二以上の株を持っている場合
→株主総会で特別決議を可決する権利:2/3の議決権を持っていると、特別決議においても、他の株主が全員反対したとしても、単独で特別決議をすることができます。

さらに、「すべての株式に譲渡制限を付す場合」等にでてくる「特殊決議」といったものや、全ての株式に取得事項を付す場合は全株主の同意が必要、などといった事項もあるようですが、ここまでくるともう私の手に余るため、議決権による株主の権利については一旦この辺にしておきます。

で、根拠法は?

冒頭に会社は誰のもの?という疑問に対する答えは、会社法の定めるところで「会社は株主のものであって、経営者(社長・代表取締役)のものではない」ということになっているようです。「経営者(社長)は、株主から頼まれて(委任されて)会社を経営しているのに過ぎない」とのこと。

経験上、建築基準法や都市計画法についてはそれなりにプロなのですが、会社法については完全に知識ゼロ。しっかり根拠法分まで辿り着きたいとも思いますが、もう少し話を進めていきたいので、会社法について掘り下げていくのはまたの機会にしたいとおもいます。

会社と代表取締役と取締役会の関係、そして社外取締役という存在

上記の最後に、経営者(社長・代表取締役)は株主から頼まれて(委任されて)経営をしているのに過ぎない、と書きました。
「会社とは何ぞや」というところの議論も出てきますが、ざっくりと進めていきます。

「モノ」としての会社は出資比率に応じた持ち分で株主が所有しています。しかし「所有」しているといっても「会社」それ自体はある意味抽象的な概念みたいなものなので、具体的に誰かが何かをしない限り何も起こりません。会社には「モノ」としての側面の他に「法人」としての側面もありますが、「法人」といってもあくまで人のように契約の主体になり得るというだけで実際の人ではないので、やはり具体的な誰かが何かをしなければいけません。

そこで、会社の所有者である株主から委任を受けて事業を運営していく人が出てきます。これが取締役です。そして、取締役の中の代表者が代表取締役となります。株主は直接的には会社の事業運営に参加しませんが、株主総会で取締役を選任する権利を持っているので、取締役に仕事を委任するということになります。

3名以上の取締役によって構成される取締役会の主な役割は、
・会社の取って重要な事項の意思決定(←ざっくりです)
・代表取締役の監督
・代表取締役の解任
の3つが主な内容となります。
取締役会で決められた内容がしっかりと推進するのは代表取締役の役目ですが、それがしっかりと進められているかの監督を取締役が行います。

近年「社外取締役」の存在感が増しています。
その会社で仕事を続けて実績・経験を積み実力を備えた人がいわゆる出世をして取締役になることがもちろん多いですが、生え抜きの取締役では、同じく生え抜きで長年一緒に仕事をしてきた代表取締役に対して、客観的な監督を行えるかは心情的にも怪しいことは想像がつくと思います。また、自社の仕事には精通していても、逆に言うと、自社の内部しか知らないというのも株主からしてみるとちょっと物足りないこと、こちらも想像がつくと思います。

先日、取締役のスキルマトリクスについての記事を書きましたが、社内の専門家だけでなく、社外や世間一般、グローバルな最先端等についての見識等についてもバランスよく揃えることがその会社にとって重要と言えるのかもしれません。

いよいよ、会社と従業員の関係とは

会社に対する出資者(投資家)と株主総会、代表取締役、取締役、取締役会、といった所について触れてきましたが、いよいよ従業員についてです。

会社にとっての従業員とは、会社と雇用契約を結んで業務に従事する人の事を言います。あえて冷たい感じに書くと、株主から委任を受けた取締役が運営する「会社」というものが、利益を生み出すための事業を行うにあたって必要だから契約して確保した労働力、とでも言ったところでしょうか。

あくまで株主側の目線から冷たく書いてみましたが、どうやら会社法とはそういう法律のようです。もし従業員が会社の経営者や株主に対して不満や文句があったとしても、会社法の定めるところにおいては、そもそもそれをどうこう言う立場ではなさそうです。(※労働者を守る法律として労働基準法がありますが、今回のテーマから少し離れるので、割愛いたします。)

「株主主権」と「そうではない道」

すっかり長くなってきました。
ここからがようやく面白くなってくるところなのですが、ちょっと長くなりすぎてしまったので、今日はこの先の論の流れだけ箇条書きで書いていき、次回以降(気が向いたら)、私が重要と思うところ:「会社は誰のもの?⇒従業員の位置づけと、これからのポイント」について、もう少し肉付けしていければと思います。

・ここまで書いてきたのは、おそらく「会社法的には正しい」ところで、事実、アメリカの好景気をけん引してきた「株主主権」の考え方はこのようなものでした。

ただし、そんな株主主権にも、徐々に綻びが生じ始めているようです。その予兆となる2つの事件を紹介します。
・エンロン事件:ガバナンスを強化していたはずのアメリカの巨大企業で起こった粉飾決算大事件。会社の経営が傾いている事を隠して、経営層が巨額の富を手にして逃げて、最終的に会社は倒産してしまった事件。

・サーチ&サーチ社事件:ド派手で危なっかしい天才経営者が興した世界一の広告会社にて、そのド派手な経営をよく思っていなかった機関投資家がその経営者を追放したところ、従業員も顧客もその追放された経営者側に着いていってしまい、結果的に機関投資家が大損害を被った事件。

・従業員は「会社が事業のために契約した労働力」と書いたが、近年「人財」との言葉を耳にする機会が増えてきた。会社の財務諸表(バランスシート)には、従業員は財産として出てこないが、これは株主主権にもとづくこれまでの会社の考え方が表れていると言えそうである。

・産業資本主義時代は、大型の生産機械(製鉄とかエネルギーとかの重工業の規模)が利益を生み出した。
お金を集めて工場を建てれば、その後は安定的に利益を出せた(お金の支配力が強かった)が、これからのポスト産業資本主義においては、無形資産・知的資産が差別化の源泉となり、相対的にお金の支配力が弱まってくる。
→株主主権からは違った様相を示すようになってくる。

・カネ余りである。事業者がお金を求めるよりも、投資家が投資先を求めている。需給バランスが変わってきている。

・会社は株主のものだが、従業員の自分は株主のために仕事をしているわけではないし、おそらくそれで間違っていない。

・自分の生活や自分の夢、自分の生きがいのために仕事をしている。会社とは、自分の労働力や専門スキルを提供し、その対価を得る、という雇用契約に基づく関係である。
契約とはいつも対等なものであり、従属するといったものでもない。

・食べるためだけに働くのは、自分としてはちょっと寂しい。
経営者に対して納得がいかなければいつでもその契約を終えられるように、選択肢はこちらが持てるように「総合戦闘力」を高め続けていかなければならない。

・一方で、会社と従業員のWINーWINの関係というのはこれから大いにありうる。
むしろ、スキル・能力・発想力のある従業員の方が会社側から請われる、ということが増えてくると考えられる。会社側は、従業員が自由に創意工夫を行える仕事の場の提供者としての役割を果たすようになっていくはずである。

自分の中での「サラリーマン」に替わる良い言葉、そのものズバリのホームランは今のところまだ出てこないが、「ビジネスマン(ビジネスパーソン)」というのがとりあえず良さそうなので、当面は自分のことは「ビジネスマン」と呼びながら、引き続きいろいろ考えていきたいと思います。

今日はここまで。長くなりました。。。

長くなりました。気軽に読める記事としては1記事2000文字が目安、と何かで読んだのですが、5000字を超えてしまいました。
テーマの選び方や、どこまで書くかと言ったブログのテクニック的なところも、これから経験値を積んでいきたいと思います。

お読みいただきありがとうございました!!

南健太郎

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