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ビジネスリーダー向け「傾聴」のすすめ|傾聴とは「静かな時間を提供する」ことである

皆さま、こんにちは。
リーダー育成家&作家の林健太郎です。

この記事では、ビジネスリーダー向けに傾聴のコツや考え方を簡単にまとめてお伝えしていきます。
会社で1on1をやっているけど全然うまくいかないという方や、エンゲージメント向上のための方策を探している方部下の本音を引き出したいと思っている方はぜひお読みください。またプロの研修講師の方やコーチの方も、企業のリーダーにどう傾聴を促すといいのかというヒントが詰まっていますので、きっと参考になると思います。

この記事は、私のこれまでの経験や知識を体系立てて書かせていただきますので、途中から有料とさせていただきます。ご興味のある方はご購入の上最後までお読みください。

さて、早速ですが、コーチングと聞いて、読者の皆さまが連想する言葉の代表格と言っていいのが「傾聴」という言葉ではないかなと思います。
英語でいうと「Active Listening」という言葉で、これを日本語にすると「能動的傾聴」となり、その略称として「傾聴」という言葉が一般的に普及しています。

傾聴とは何か

この傾聴という言葉をとてもわかりやすく平易な言葉に翻訳すると「相手の話をとってもとっても丁寧に聞く」ということになります。
これは、逆を返すと私たちは日常的に相手の話をさほど丁寧に聞いていないということにもなります。

例えば、私たちの日常的な「聞く」を描写するならこんな状態のことを言っています。

相手の話を聞きながら、気になる言葉があったらスマホで調べる
相手の話を聞きながら、次に自分が何を言おうかを考える
相手の話を聞きながら、つまらないなぁ、また同じ話?と思ってしまう
相手の話を聞きながら、あなたは間違ってる、とダメ出しをしてしまう
相手の話を聞きながら、自分の言いたいことを言ってしまう

こんな状態でお相手の話を聞いている瞬間、皆さまの日常にもあるのではないでしょうか。

ここで私が言いたいのは、こういった行動態度を根本的に改めましょう、といった精神論の話ではありません

もともと、私たち人間の脳の構造からして、こういった聞き方をより好む傾向があると私は考えていて、ある意味これが「あたりまえ」あるいは「聞くときの標準的な姿勢」と言えるのではないかと考えています。

そして、ここで共通しているのが「聞きながら」という言葉だということにお気づきでしょうか。
私たち人間は、人の話を「聞く」ということに集中できず、何かを同時並行でしたくなるという癖があるということです。
これを本テキストでは「ながら聞き」と呼ぶことにします。

仕事の中でも、例えばラップトップやタブレットなどを机に置きながら部下やメンバーの話を聞く時も多いでしょうし、ノートとペンを持ちながら相手の発言をメモしつつ聞くという形で1on1ミーティングを進めるリーダーの方も多いのではないでしょうか。

これも全て「ながら聞き」です。
この「ながら聞き」ですが、内容を大雑把に理解するには必要十分で、話の大筋を理解することにおいては全く支障のない聞き方なんですが、その実、相手の話している内容のおよそ25%しか聞けていないという研究結果もあります。

これを専門用語で「Passive Listening」、日本語で「受動的な聞き方」と言い、日常的に相手の話を聞くときの標準モードと考えています。
しかし、例えば部下やメンバーの方の持ってくる話の中で、「これは大切だ!」と思う話題や、しっかり聞く必要があるとあなたが捉える局面では、この「受動的」に聞いている状態では十分ではありません。リーダー自らがここぞという時に、「能動的」あるいは「積極的」に「聴く」という状態に移行できなくてはいけないのです。

私はこれを「傾聴スイッチを入れる」と表現することが多いのですが、私たちリーダーは「ここぞ!」という時に、より良く聴くモードである「傾聴スイッチ」を自ら入れることができる必要があるのです。

傾聴スイッチとは何か

それではここから、傾聴スイッチについてお話を進めてまいりましょう。
例えば、こんな会話が起きた時、私だったら「あっ、傾聴スイッチをいれるタイミングだな」と感じたりします。

リーダー:ゆっくり話すの久しぶりだね。どう、仕事順調?
メンバー:ええ、まぁ。仕事自体は順調なんですけどね。
リーダー:そうか、仕事は順調なんだね。
メンバー:そうなんですけど、ちょっと気になってることがあって。

私だったら、この「気になってることがあって」という言葉が傾聴スイッチを入れるタイミングであることにピンとくるのですが、皆さまはいかがでしょうか?

もし気づかなかったとしたら、きっとこんな会話になります。

リーダー:ゆっくり話すの久しぶりだね。どう、仕事順調?
メンバー:ええ、まぁ。仕事自体は順調なんですけどね。
リーダー:そうか、仕事は順調なんだね。
メンバー:そうなんですけど、ちょっと気になってることがあって。
リーダー:なになに、どんなこと?
メンバー:先輩の山田さんのことなんですが、いろいろ相談しようとしてるんですが、忙しそうで話しかけても「後にして!」と強く言われちゃって、どうしたらいいかわからないんですよね。
リーダー:それはさ、少し声かけるタイミングが悪いんじゃないのかな。山田さんには今、かなり重要なプロジェクトを任せてるから、なかなか余裕がないんだと思うよ。そうだな、山田さんは私からもちゃんと話を聞くように言っておくよ。
メンバー:ありがとうございます。

文字でお読みいただくと「傾聴できていない」ということに簡単に気づくことができると思うのですが、これを例えば俳優さんを使って映像化したとしたら、意外と「できる上司」に見えたりするというのも興味深いところです。
この会話の様式を解説すると、リーダー側が「伝える」ということを中心にした会話が展開しているというパターンなんですが、これではメンバーの方が消化不良に陥ってしまいがちです。

ここで「傾聴スイッチ」を入れることができたとしたら会話はこんなふうに変化するという事例もぜひご覧ください。

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