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ただ傾聴すればいいわけじゃない なぜコーチングを使うのかを理解する

皆さん、こんにちは。エグゼクティブ・コーチの林健太郎です。


この記事では私が制作したDELICオンラインから、チャプター3の後半でお伝えしている内容「会話にコーチングを使うと何が変わるのか」についてお話していきます。
動画で伝えていない細かい製作意図などもお伝えしていきますので、ぜひお読みください。(↓動画を視聴されたい方はこちらから)

コーチングを使うと会話はどのように変わるのか

どのようにすれば、相手の真意を効果的に引き出すことができるのでしょうか。ここにコーチングの考え方を活用することができます。

上司:今日話したいことはこのくらいかな。これからも頑張ってくれよな。
部下:あ、部長、ちょっと今日は相談があるんですけどいいですか?
上司:どうした?
部下:あの、私、来期係長に昇進できますかね?
上司:おお、係長に承認できるかどうかが気になってるんだね
部下:そうなんです。実は部長もご存知だとは思うんですが、係長になると実質的な手取りが減るじゃないですか。妻もそのことについて不安を感じていて、今日はその相談をしたかったんです。
上司:係長になると手取りが減るということが気になっているということか?
部下:はい。そうなんです。
上司:わかった。もう少し話を聞かせてくれるかな?

(DELICオンライン・チャプター3の前半でお見せしている上司部下の会話をコーチングを使ってやり直したらどうなるかという動画からセリフを引用しています)
※前半の「コーチングを使っていない会話の事例」についての解説はこちらから。

ステップ1:復唱

この会話には4つのポイントがあったことに皆さんはお気づきでしょうか。

解説付きで、もう一度二人の会話を見てみましょう。

部下係長に昇進できますかね?
上司係長に昇進できるかが気になってるんだな?

まず、上司が部下の言葉を復唱することで、部下が話しやすい安全な場を作ることを心がけています。
ここでは、相手の言葉を変えずに、言われた言葉をそのまま使うことが大切です。違う言葉を使って要約することは、相手の思考を止める可能性があります。

ステップ2:相手の真意を引き出す

これにより、部下は「今日は話しても良さそうだな」と安全性を確認し、本来伝えたかった「真意」を話し始めます。

動画の中では1回のやり取りで真意が表出していますが、日常の会話の中では、丁寧に復唱しながらのやりとりを何度か繰り返す必要があると思います。ここを端折らず、丁寧に時間をかけること、リーダーの皆さんは現場でなかなか難しいかもしれませんが、ぜひトライしてみてください。

ステップ3:テーマ設定

部下係長になって手取りが減ることについて相談したいんです。
上司そうか、係長になって手取りが減ることが気になっているということか?

このように、相手の言った言葉をそのまま単語を変えずに復唱することで相手に伝え返します。
ここでのポイントは「今日はこの話をしたいということだよね?」と口頭でで確認を入れることにあります。

これはDELICにおいて「テーマ設定」と呼んでいるステップなのですが、コーチングにおいては、「何の話をするのか」ということについて明らかにすることが大切だと考えています。

どちらかのアジェンダ(議題)だけを一方的に話しながら、合意形成を目指すことには結果的にリスクが伴うという考え方です。

ステップ4:合意を取り付ける

テーマ設定を完結させるためには、上司からの問いかけに対して部下が「そうなんです」と口頭で合意することが最終的に必要です。

このやり取りの中では、部下としては上司が自分の発言をそのまま復唱しているため、NOと言う理由がありません。つまり部下は「YES」と言うであろうことが想定されます。

と私が書くと、読者の皆さんは「だったら、いちいち口頭で確認しなくてもいいのではないか?」と思われるかもしれませんが、あながちそうとも言い切れないのです。

動画では詳しく触れていませんが、これは「YESセット」と呼ばれている技法で、YESと口に出すことは実質的な契約行為であるという考え方です。
この場合、自分で「YES」と言ったのだから、その言動には責任を持ちたいと自主的に思わせる効果があると言われています。

会話の流れとして、復唱を多く活用しているのはそのためで、自分の言った言葉を的確に復唱し「今、これを言ったよね」という確認をしていくことで、相手はYESと発言する機会が増えます。
その積み上げで、主体的に関わるという効用を狙っています。

なぜコーチングを使うのかを理解して使いましょう

コーチングといえば、傾聴や質問などのテクニックがもてはやされる傾向がありますが、なぜそれらのテクニックを使うのかということ。つまり「Why」からまず理解する必要があります。
そうでなければ、上司は「傾聴してやっている」といった姿勢になりがちです。人間は勘定で動く動物であると考えると、こういった些細な「意図」は相手に伝わってしまいやすく、それが相手の感情をマイナスに作用させる要因になったりします。
職場における多くのコーチング的な関わりが失敗するのはこれが原因だと私は考えています。

コーチングを使って関わる理由があるからそれらのテクニックを使うという考え方が大切です。スキルを闇雲に使えば成立するわけではないのです。

相手が本当に伝えたいことが何かを理解し、それを掘り下げていくことで、会話の質や方向性に大きな変化が出るはずです。部下がモチベーションを上げたり下げたりする理由、実はこんな会話の取り扱い方に要因があったりするのです。
ぜひこの機会にご自身の対話の仕方や部下の受け取り方など、振り返り、どうすればより良くできるかについて考えてみてください。


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